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第十五話:目覚めし闇


ギルドの医務室。デスストーカー戦闘からの疲労検査のために訪れていたコウタとリア。治療師がリアの検査結果を手に、驚いた表情で入室してきた。


「これは…驚いたな。君、知っていたか?」


「何がですか?」リアはきょとんとした表情で治療師を見つめる。


「君の体内に、闇属性の魔力が覚醒している。ごく初期段階だが、紛れもない魔法適性だ」


「え…?私に…魔法が?」


リアは自分の手のひらを見つめ、信じられないという様子だった。コウタも息を飲む。まさかあの事件がきっかけで、リアに魔法の才能が目覚めるとは。


治療師が詳細を説明する。

「《シャドウ・ボール》や《ダーク・シールド》といった初級闇魔法が使えるはずだ。Eランク相当の魔力だから、大した威力はないがね」


「私…魔法が使えるんだ…」

リアの声は感動に震えていた。


内心リア:(これで…私もコウタくんと並んで戦えるかも)


その瞬間、コウタの視界に《クエスト視認》が表示された。


【緊急クエスト】

『闇の誘惑からの保護』

内容:リアの闇魔法が暴走しないよう見守る

警告:この力は彼女の深層心理と直結しています

失敗条件:リアの暴走


医務室を出た後、リアは早速訓練場へ向かいたがった。

「コウタくん、私、魔法の練習をしてみていい?」

彼女の目は期待に輝いていた。


「ああ…いいぞ。でも、無理はするなよ」

コウタは複雑な胸中を隠しながら頷いた。


訓練場でリアが初めて《シャドウ・ボール》を放つ。小さな闇の球が、ゆらゆらと空中を漂う。


「わあ!すごい!私、本当に魔法が使えるんだ!」

リアは子供のように嬉しそうにはしゃいだ。


内心リア:(この力で、今度は私がコウタくんを守る番だ)


しかしコウタは、その無邪気な笑顔の裏で、ある違和感を覚えていた。この闇の魔法が、デスストーカーを消し去ったあの不可解な現象と、どこか似ているような気がしてならなかった。


「コウタくん、見て!《ダーク・シールド》もできるみたい!」


リアが必死に小さな闇の盾を展開する。その姿は愛らしく、同時にどこか危うげだった。


(この力が、お前を幸せにするものならば…)

(だが、もしこれがお前を苦しめるものなら…)


コウタは固く拳を握りしめた。


夕暮れの訓練場に、リアの喜びの声が響く。新たな力を手に入れた無邪気な少女と、その未来を案じる少年――二人の絆は、また新たな試練に向き合おうとしていた。


(第十五話 了)

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