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第十三話:守るための暴走
デスストーカーの出現に、Bランクハンターたちは瞬時にしてパニックに陥った。
「撤退だ!これでは勝てない!」
ガルドが叫ぶが、デスストーカーは他の者には目もくれず、鋭い赤い瞳をただ一人――リアに向けてゆっくりと歩み寄る。
「な、なぜあの娘を!?」
コウタの視界に、緊急クエストが表示される。
【緊急クエスト】
『デスストーカーからリアを守れ』
達成条件:リアをデスストーカーの攻撃から守り抜く
報酬:守護者の経験値+300
「離れるな、リア!」
コウタは『守護者の誓い』を発動し、リアの前に立ちはだかる。デスストーカーの爪がコウタを襲う。
「ぐはっ!」
一撃で吹き飛ばされ、地面を転がるコウタ。しかし、彼はすぐに起き上がる。
【クエスト進捗】
リアへの攻撃を1回防いだ
「くそ…もっと…もっと強く!」
デスストーカーは再びリアに向かって突進。コウタは渾身の力で盾となり、再び跳ね飛ばされる。
「がっ!」
肋骨が軋む音がする。それでもコウタは立ち上がる。
【クエスト進捗】
リアへの攻撃を2回防いだ
スキル『不屈の守護者』を習得
「コウタくん!やめて!もういいから!」
リアの泣き叫ぶ声が響く。
「逃げる…んだ…!」
コウタはデスストーカーの注意を引きつけようと、必死に剣を振るう。しかし、デスストーカーの一撃がコウタの胸を貫く。
「ぐああっ!」
【クエスト達成】
『デスストーカーからリアを守れ』成功
報酬:守護者の経験値+300
レベルアップ!
新スキル『最後の砦』を習得
しかし、コウタはその報酬を知る由もなく、血の海に倒れ込む。
「コウタくん―――ッ!!!」
その瞬間、時間が止まった。
リアの長い黒髪が静かに浮き、瞳が深い金色に輝く。周囲の空気が歪み、地面に無数のひび割れが走る。
「■■■―――」
理解不能な言葉が彼女の唇から漏れる。
次の瞬間、リアの手がデスストーカーの胸部を貫く。まだ鼓動している心臓を握りつぶし、続いてその首を一撃で吹き飛ばす。
「ずぶっ」「ばしっ」
血の雨が降り注ぐ。その中心で、金色の瞳を光らせたリアは、無表情で崩れ落ちるデスストーカーを見下ろす。
そして、血まみれのコウタの元へ歩み寄り、跪く。彼の頬にそっと唇を寄せ、優しくキスをする。
「もう…誰にも…コウタくんを…」
その言葉を最後に、リアはコウタの胸の上で気を失う。
血の海と化した戦場に、無人の森の中、倒れた二人だけが残された。
Bランクハンターたちは、恐怖のあまりとっくに逃げ去っていた。
誰も見ていない。ただ、月明かりだけが、この残酷で美しい光景を静かに見守っている。
(第十三話 了)




