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コウタの意識が途切れた瞬間――
空間が、凍りついた。
闇が、動いた。
リアのいた地点から、
何かが這い出るように現れる。
それは人の形をしていた。
いや、形だけが人に似た、何か。
影よりも深い闇を纏った、その姿。
コウタを刺す棘に、それが触れた。
棘は音もなく霧散する。
コアが反応し、無数の刺を放つ。
しかし、闇に触れた瞬間、
すべてが崩れ落ちた。
その影が、コアに向かって歩む。
一歩、また一歩。
触れた。
コアの表面にひび割れが走る。
内部から黒い液体が噴出し、
空間全体が震動する。
闇がコアを包み込む。
抵抗する間もなく、
コアは内側から崩壊していく。
やがて――静寂。
その影が、力なくコウタの傍に倒れ込んだ。
闇が晴れると、そこにはリアの姿があった。




