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その血は人を狂わせる。  作者: ありま氷炎
第四章 アステライゼ
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アステライゼに集結


「お帰り」


 家に戻ったテイラーをセオは出迎える。

 あの後、後で返事をするということで、テイラーは隠れ家から家に戻ってきた。

 この潜伏先はマリーナが手配したものなので、居場所は把握されている。

 居心地の悪さを感じながらも他の場所へ移動することをテイラーは考えなかった。


「眠っていると思っていましたよ」

「レイアは眠ったよ。俺は話があるから待っていた」

「レイアのことですね」

「うん。俺はレイアを殺してほしくない。大体、不死身の兵士を全部眠らせて、毒薬を全部回収か破棄すればレイアは自由になれるだろう?」

「レイアがそう言ってましたか?」

「いうわけないだろ。あいつは償いたいって言っていた」

「でしょうね」

「テイラーは殺したいのか?」

「……正直、レイアを殺したところで、問題は解決しません。チャーリーは森の民の村の場所を知っています。正確ではありませんが……」

「だったら、レイアを解放して」

「それは無理です。レイアは、その母のイザベラは掟を破りました。そのために問題が起きているです。それは償うべきでしょう」

「母親の問題だろ。すでに死んでるし」


 セオは思わず大きな声で怒鳴りそうになり、口を押えた。


「そう思わない者が多くいます。実際、森が襲われたらどうします?物量ではかないません。あなたのご家族もどうなるか」

「……」

 

 セオは何も言えなかった。

 確かに村を襲われるのは嫌だ。

 家族だっている。

 襲われたとしたら、その原因を作ったのは村から出たイザベラ、レイアの母親だ。


「私は、おそらく私だけでなく、アーロンやリアムも考えていると思いますが、チャーリーを殺すことが最善です。そうすれば森の民の秘密は守られます。彼はなぜかマルク以外に秘密を漏らしていないらしいですから。そうそう、マルクも共に殺すべき人物です」

 

 テイラーは淡々と、レイアの父、大叔父を殺すことを告げている。


「私たちしか皆の命を守れません。わかりますね。セオ」

「わかってる。わかってるけど」


 テイラーの言うことは理解できていた。 

 けれどもセオはレイアを傷つけたくなかった。



「何の真似でしょうか?」


 テイラーは家に誰から侵入したのがわかり、その人物を待ち伏せして問いかけた。


「ああ、わかっちゃった。流石ね。私よ、マリーナよ」

「あなたですか。こんな時間に返事を聞きにきたのですか?それとも殺しに?」


 マリーナから全く殺気を感じないが、テイラーは念のために聞いてみた。


「王が動いたわ。こちらに向かって動いている。不死身の兵士を眠らせることのできる王女を利用する、反カルシア軍を壊滅させるために来るそうよ」

「王女……。とうとう公表されましたか」

「まさか、王女様だったとは。それが反カルシア軍の味方になるわけないわよねぇ」

「なりますよ。彼女の目的はすべての不死身の兵士の無力化と毒薬の回収と廃棄ですから」

「父親の邪魔をするの?」

「さあ、それは。けれども利害一致でしょう?」

「王女が私たちの場所を知らせる可能性もあるじゃない。またあなたが」

「私たち、私はチャーリーを殺したいと思っています。王女も一緒に」

「はあ?どういうこと?」

「深くは説明できません。ただ利害は一致してます」

「いいわ。信じてあげる。ただし、王女を監禁するわ」

「いいですよ。私の部下も一緒にいれてあげてください。監視と世話役を兼ねて」

「……やけに素直ね。昨日は渋っていたのに」

「王がわざわざ出向いてくれるのです。これは好機なので、利用するしかありません。あなた方も私たちを利用して、祈願を達成してください」

「淡々と言われると、なんだか気持ちが萎えるわね。まあ、いいわ。今から隠れ家に来てくれる?」

「ええ。子供たちを起こしましょう。おそらくもう起きてると思いますけど」



「また船かあ」


 翌日、再び船に乗り込む兵士たちは内心同じことを想っていたが、口に出したのはリアムだけだった。


「女の子もいなかったしなあ」

「次のアステライゼは期待できると思うぜ。俺の先輩が言っていた。遊び放題だって」

「羨ましい。俺もアステライゼに駐屯したかったぜ」

 

 船に乗り込んだ兵士たちは、リアムの発言を発端に軽口を叩き始める。


「王女を助けにいくのだ。不謹慎なことを言うではない」


 中隊長の一人がそう言って、兵士たちは女の子のことを言うのをやめた。


「王女奪還が一番優先すべきことだ。それを果たし、反カルシア軍を叩く。今度こそ王太子を探し出し、処刑するのだ」


 熱く語っているのは、アステライゼを攻め落とした時に参加していた中年の兵士だった。階級は中隊長。隊員の軽口は大概リアムから始まるので、退屈そうに欠伸をしている彼を睨みながら兵士に告げる。


「王女を奪還するぞ!」

「おう!」


 声を上げると、それに兵士たちが追随して拳を上げ、叫ぶ。

 士気をあげ、カルシア王国軍はアステライゼに向かっていた

 軍全体で陸路を使ってアステライゼに戻ると移動時間がかかる。なので、クルスナラハに来る際に利用した港へ戻り、そこからアステライゼに移動することにしたのだ。王都からアステライゼは近い。王都で兵を再編成することも可能だった。




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