98話 すべては愛のタメ。
早速、カレーの調理を敢行するっ。
まず用意するのは出汁。
丁度ウィステラソンで入手した昆布の出番だぜ。
風味付けに魚醤を少しだけいれるか。
あとは塩で味を整える。ここまでは料理の基本だな。
そして、クミンとコリアンダーを加えて行く。
カレーの風味が出るまで分量を少しずつ増やして行く。
ターメリックを次に入れて、さらに香りを近づける。ターメリックは少な目で良いみたいだな。
香辛料の分量は、後でメモろう。本来なら、具材に火を通してからの方が良いだろうし。
今回はスピード重視でライブ感満載だ。
なので、野菜をここで煮詰める。
ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、とオーソドックスなラインナップだ。
十分煮込んだなら、一旦火から降ろして小麦粉を溶かす。
スープ風のさらっとしたカレーもダメとは言わないが、やはりカレーライスと言うからにはとろみが欲しい。
片栗粉を入れてもとろみになるけど、すでにジャガイモが煮崩れてるからな、こっちでも賄えるだろう。
ちなみに、小麦粉がちゃんと混ざるまで鍋を沸騰させてはならない。温度が高すぎると、小麦粉がそのまま団子になって固まってしまうからだ。
市販のカレーのルーでよくやる失敗だな。
ルーの箱には確かにそう書いてあるんだけど、ちゃんと赤文字で"注意っ"とか目立つように書いておいて欲しい。
さて、問題はここからだ。
鍋を3つに増やす。
そのうちの一つには、バランス良く唐辛子を利かせる。
具材は肉。……あれ、これ何の肉だっけ?
……ま、いいか、なんでも。
「な、なんかすごい香りがしますよ?」
「あら、これは期待できそうですわね」
「そうかしら? 私はそこはかと無い不安を感じるのだけど……」
もう一つには魚介を入れた、
そして、がっつりと唐辛子を利かせる。
俺でもたくさんは食べられないな、これ。
「なんか、寒気がするねぇ」
「風邪でござるか?」
最後の一つは唐辛子を控えめに。
鶏肉とリンゴの角切りを入れて煮込んだ。
おっと、鶏肉じゃないな、ウサギ肉だ、これ。
まあ、チキンカレーってことで良いだろう、ウサギだし。
さあ、トリプルカレーの出来上がりだぜ。
なお、米はインディカ米の玄米である。玄米は独特の香りがあって食べにくいという人もいるが、カレーにすればそんなものはどうでも良くなるだろう?
「さあ、おあがりよっ」
机の上には三種類のカレーが入った鍋。それぞれの前には米を盛った皿。
……誰も手を出さないな。珍しい。
まあ、俺だけでも食べるけどね。
まずは普通の肉カレーから。
「うん、うん、これだよ、カレーだよ」
もう、ここまで来れば、異世界生活も完成と言って良いのではないだろうか?
いや、まだまだ現代日本には敵わないだろうが、大きな節目を迎えた感じはあるなぁ。
「そうか、鍋の汁を米にかけて食べるんだね」
ん、なんだ、食べ方が判らなかったのか。
シンディたちが鍋に手を出そうとしたその時。
「臭いの元はここじゃなっ」
黒い影が来訪された。
まあ、ニーナの持ってきてくれた食材で完成したわけだしな。思う存分食ってくれ。
しかし、7人で座ると少し小さいな、ちゃぶ台。今度拡張しておこう。
それぞれの鍋を一口ずつ確認し、激辛海鮮に行ったのは予想通りエレメア。
他には目もくれず、一種類だけを食べている。
辛いものに飢えていたのは本当らしい。
三分の一ずつ綺麗に分けて一皿完成させてから食べているのがアイリス。
あいにく、三色カレーとは行かなかったが、そのうちバリエーションが増えたら喜びそうだ。
気の向くままに一口ずつ味を変えて、さらには複数を混ぜ始めたのがニーナ。
まあ、好きにすれば良いけどね。ある意味豪華主義なのかもしれない。
そして、甘口チキンカレーだけを黙々と食べていたのが、シンディだった。
お子ちゃま舌ってお前かよっ。




