89話 閑話休題。
ニーナは大量の蒸留酒をせしめて帰って行った。
いろいろ漬け込みを試してみるらしい。
梅やグミのような果実に心当たりがあるそうだ。
そっちは期待できそうだから、できたら分けてもらおう。どうせ増やせと言ってくるだろうし。
早くて三ヶ月後ってところか。
神通力だと熟成とかはできないしな。
どれだけ保存しても、大地収納してしまうと樽の香りがついたりもしない。
世界樹の葉だの実だのを漬け込むというのが、どこまで本気かは伺い知れない。エルフに知られると殺されるんじゃなかろうか。
ワームだのバイパーだのも注意が必要だな。
こうして、今後はいろいろな酒を楽しめるように……。
いや、違うよ。お酒を作ってた訳じゃないよ。
閑話休題。
作りたいのは燃料である。バイオディーゼルと呼ばれるやつだ。
車を動かす燃料になるのだ。
植物油とアルコールを混ぜたところに、濾した灰汁を入れて軽く加熱しつつ混ぜる。
元が水と油なので、混ぜるのは大変だ。
しばらく混ぜていると、だんだん固まってきて、沈殿物が……できないな。
ちょっとでも形になれば、あとはコピーで増やせるのだけれど。これは試行錯誤がいるか?。
材料を変えて、いくつか容器に納め、それをガラスの容器に入れて加熱しつつさらに容器を変形させることで撹拌する。
ああ、これって結構時間がかかるんだな。小一時間混ぜていたらなんかいくつかクリーム状になった。あれだな、マヨネーズ作ってる感じ。
そのまま一晩放置。
液体が分離するもの、全体が固まるもの、バラエティな結果になった。
欲しいのは分離した液体の方。
とにかくいい感じに出来たものを石化収納コピーで増やす。
ある程度の分量になったら、お湯を混ぜて撹拌して、さらに一晩置いておく。
中身が分離したものがいくつか出来た、これは水と油で別れてるってことだろう。いい感じだ。
バイオディーゼルは水よりも軽いはずなので、上に溜まった液体を集める。
容器に入れて、試しに着火。
うん、ちゃんと燃えるな。液体も油の時よりも、とろみが少ない感じだ。
出来たバイオディーゼルを少量、石の容器に入れ、空気と共に密封する。
容器をシェイクしてから、アースクリエイトで容器ごと密封圧縮。
パンッ。
爆発音が発生した。
……容器が破壊されるかと思ったけど、結構強いな、アースクリエイト。さすが神通力。
でも、現状とても怖いことになっていると思うので、遠くに離してからクリエイトで容器を破壊する。
バフッ。
うわあ、なんか、爆発物って感じだ。日曜朝にテレビで良く見るやつだ、採石場とかで。
燃料の方は行けそうなので、エンジンの本体作り。
ピストンシリンダの容器に、回転に連動して動くバルブを組み込んで吸気と排気を制御。
フレーム構造は例によって神石によるオイルフリーなセラミックエンジンである。
ピストンの圧縮時にバイオディーゼルを入れた容器から燃料を噴射するように連動ポンプを組み込めば、あとは連続動作してくれる……はず。
ズパパパパパパッ
「ぐわっ、うるさっ」
連続破裂音が響き渡る。
これは、あれだ。千葉の山奥とか走ってる珍妙な走り集団のやつだ。
街中でこんな音させてたら、おまわりさんがすっ飛んでくるよ。
と、思ったらおまわりさんの代わりにシンディたちがやって来た。
「………………!!」
うん、何言ってるか聞こえなーい。
仕方がない、一旦止めよう。
「なんだい、これは! 喧しすぎるだろ! 街の方まで響いてたじゃないか!!」
「まったく、何事かと思いましたわ」
「ちょっと、実験だったんだよ。悪かった」
マフラーつけないと、そりゃそうなるよね。




