71話 幻の鳥の真実
弾丸はホロウ鳥に命中。
見事な腕前だ。まあ、アースクリエイトで土台に固定して撃っているから、素人が撃ったからといって、照準がブレることもない。
ホロウ鳥の群れはその瞬間に姿を消し、撃たれたホロウ鳥は木から落下。
このままだと他の動物に横取りされるリスクもあるので、大地変容を遠隔発動。
落ちたホロウ鳥を石で出来た箱の中に確保した。
塀の外に出て、ホロウ鳥の回収を行う。
近づくのにさんざん苦労した距離だが、普通に歩くだけならたいした距離ではないな。
アースクリエイトで石箱の蓋を開ける。
そこにいたのは、薄茶色の特徴の無い鳥。
長く伸びていた飾り羽も抜け落ちて、みすぼらしい。
「……死ぬとこんな風に変化してしまうってことか。そりゃ見つからない訳だ」
これでは剥製にしても飾りにはならないだろう。
せめて、食べる事にするか。とはいえ、食べるところ少なそうだな。小鳥だし。
と、羽が僅かに動く。
「まだかろうじて生きていたか」
そうは言っても、既に瀕死。意識もないだろう。
あとは何の抵抗も出来ず、すぐに死ぬと言うだけ。
「ふむ。何の抵抗も出来ず、というのは検証の価値があるか」
ホロウ鳥の負傷箇所を調べる。
弾丸は貫通した様子。それでも胴体をしっかりと貫いている。
「石化」
瀕死のホロウ鳥に石化付与。
全身ではなく部分石化を意識する。銃弾がえぐり取った箇所のみに限定しての石化付与。
いつもなら、生きている動物への石化は弾かれてしまう。しかし、瀕死のホロウ鳥は石化を始めた。
傷口が石となり、出血が止まる。
「ここからはスピードの勝負だな」
アースディテクトで石化した部分を解析、把握して、アースクリエイトで修復する。
死体の傷であれば何度も修復した。見た目上は元通りになった。
傷が消えていることを確認する。
「石化解除」
部分石化していた箇所を戻す。
「どうだ?」
ホロウ鳥に指をあててみる。
「生きて……はいる、か。まあ、自己満足だな」
一度瀕死になったホロウ鳥が、傷を治しただけで元気になるかどうかは判らない。
餌になる実を周囲の木から確保して、こっそりと自宅へ帰ることにした。




