7話 改めて、ここは何処だろう?
さて、最悪森の中でも生きて行ける算段はついた。砂漠でなくて良かった。しかし、やはり一人でできることには限界がある。
「なんとか、人里を探したいところだな。人間はいるような話だったよな。いや、人間とは限らないのか。知的存在とかなんとか」
まあ、それも予想という話だし。
大地知覚の脳内マップを表示して少しずつ広げる。
すると、川の下流に人工物のような形が見える。
「これは、城壁?」
かなり広い範囲を、歪ながら円形状に囲む壁。これは人が住んでいるのではないだろうか?
川を真っ直ぐに下れば着くようだ。距離は最初の森を歩いた分の4倍くらい。単純に考えれば8時間かかる。
「今から行っても真夜中になっちまうな」
どうやら、どこかで一夜明かさなくてはならないようだ。
「だが、心配はいらない、俺には神通力がある」
石のトゲを出すことができるのだ。石の壁も出せるはず。
目の前の地面から石の壁が出てくるイメージ。
縦横2m、厚さ10cmくらいの四角い壁が地面から生えてきた。
「よし、これをストーンウォールと名付けよう」
ついでに作った壁を3枚ほど収容しておく。
「ストーンウォールとアースホールがあれば、なんとでもなるよな」
まずは場所を決める。川沿いに移動するのだから、あまり川から離れたくはないが、夜中に増水するかもしれない。草の生えていない場所は水が押し寄せる危険があるエリアと思った方が良い。
少し森に入って川を眺められる位置に移動する。
「まずは、ここでアースホール」
一人分の空間があればそれで良い。人間、起きて半畳寝て一畳だ。でも余裕をもって2畳くらいにしよう。
アースホールで1mくらいの深さにする。
「床と壁も補強した方がいいよな」
もしかしたら地面の中から虫が出てくるかもしれない。きっちりと石床、石壁にする。固くて寝苦しいのは我慢だ。
「最後に天井、と」
穴の上に石の屋根を作る。完全に密封してはマズイので、煙突のように突起をつけて空気穴にする。穴は突起の上から下向きに付けているので、雨が降っても大丈夫だ。
「拠点完成。ストーンシェル、と名付けるか」
また、新たな魔法が完成した。まあ、一晩しか使わない予定ではあるが。
「今日は色々あったしな。移動は明日にして、ちょっとのんびりしよう」
明日は8時間の距離を歩かなくてはならない。
だが、まて。ちょっと違わないか?
水もある。食べ物もある。安全な拠点も確保した。
いつまでも森の中で原始生活を送るのはどうかと思うが、別に明日頑張って8時間歩く必要もないんじゃないだろうか?
永遠の命を手に入れたのだ。生き急いでどうする。
「まあ、のんびり行こう。無理しない方向で」
横になってそんなことを考えているうちに俺は眠ってしまった。




