59話 外大陸に潜む黒いやつ。
翌日は予定通り、対岸で一泊。
時間に余裕があったので周辺を探索。
サトウキビっぽいものに、カカオっぽいものをいきなり発見する。栽培したいのでそのまま荷物へ。
植物や種を石化収納したら、解除後に栽培できるかについては調べてなかったからなあ。まあ、増やす用とは別に食べる用を石化収納しておく。
「のう、その二つで美味いものが作れるのであろう? 今日はまだ日が高いぞえ?」
言葉は懇願だが、圧はほぼ命令ですね。
無視した日にはこっちが噛られそうだ。
しかし、どうなんだろう? 作れるんだろうか?
豆はコーヒーみたいに一度焼くんだっけ? 取りあえずフライパンで豆を焼く。どっちかと言うと、節分に豆を炒ってる感じだな。
カラカラするまで炒ったら、それを粉にする訳だが、一度石化して粉状に変化させてから石化解除。石化と大地変容を利用した粉砕だ。
同じくサトウキビも石化粉砕。
粉にしたサトウキビを絞る。これは絞り器が要るのでクリエイトする。スクリューとハンドル式の単純な構造。今後も良く使うことになりそうだ。
石で作ったフィルターを通して不純物を取り除けば、サトウキビの絞り汁になる。要はこれが砂糖汁だな。
砂糖汁にカカオ粉末を混ぜて練る。
生チョコみたいになったので、お湯を入れて調整。牛乳があればそっちの方が良かっただろうか?
再度フィルターを通して、不純物を取り除く。
最期に暖めれば、なんちゃってココアのできあがり。
分量も適当だったけど、甘くてほろ苦な良い感じではないだろうか? 砂糖とカカオが入ってるんだから当たり前か。
チョコレートにしたり、分量の最適値を探ったりは、未来のパティシエに期待しよう。
「ほあぁぁぁ」
とりあえず、ニーナのお気には召したようだ。
カップを両手にもって、見たことない顔をしている。
市販のチョコレートやココアの味を知っていると、まだ改良の余地はありそうだけど。初めてチョコレートを食べた子供はこんな感じなのだろうか。
口の回りが黒くなってるぞ。




