57話 外の大陸。
結局事前情報通り、その日の内には大きな陸地は見つからず、夕刻に見つけた島へ上陸してキャンプした。
翌日も朝一で出発して、夕刻になってようやく大地を発見。
空からみても見渡す限り緑が広がる広大な大陸だ。
「これが、一つ目の大陸か?」
「そうじゃな。南北にもずっと続いておるぞ」
とにかく、着水して上陸する。山地はなく、海沿いには浜辺が、内陸には森が見渡す限り続いていた。
今日はここで夜営になる。
まずはストーンシェルで寝場所を作り、風呂を作って沸かした後、夕食の準備をする。
作業の順番が違うって? 俺一人ならそうなんだけどな。
黒竜様が湯船で休憩モードに入って、やっと本命の作業であるアースサーチを行う。
浮かんだ形は、まさしく大陸と言って良い姿だった。
南北に長く連なる大地。北半球と南半球にそれぞれ大きな大地があり、それが比較的細い陸地で繋がっている。
そして、大地は北極と南極を通り、星の裏側へ。そちらでも北半球と南半球の大きな大地があり、陸地が繋がっている。
つまり、陸地が星を南北方向に一周していることになる。
陸地で分断される形で大きな海ができている、という言い方でも良い。片方がジェル島のある海ってことだな。
海はさらにもう一つ、北の極点にもあり陸地が囲む形になっている。こっちは凍ってそうだが。
ジェル島のある海を表海、反対を裏海、北極を北海とでも呼ぼうか。
今いるのは、表海の西の海岸で、北側大陸の根元付近だ。
最初の一発で一気に世界儀が埋まってしまったな。
早速、世界儀の玉に陸地を彫り込む。
ジェル島の位置を現在地の緯度に微修正。
陸続きでないとやはりアースサーチには表示されないらしく、東西位置については仮位置だ。
ただ、北から伸びる細い陸地があり、ジェル島の北に繋がってるのではないかと予想される。
そうだとすると、ほぼ海の真ん中ってことになるな。
「それが、陸地の形かえ?」
ニーナが世界儀を覗き込んで来る。
「ああ、なんかずっと裏まで繋がってるみたいだな。通過する予定の陸地が三回って言ってたけど、どの辺りになりそうなんだ?」
三回のうち二回はここと反対側の陸地になるとして、もう一ヶ所あることになる。
「ふむ、そうじゃのう。島の反対にある海に大きな大陸があるの」
裏海側か。
「そっちは島じゃなくて大陸なのか?」
「うむ。まとまった陸地としては最も大きいと言えるであろ」
今いる外周の大地にはジェル島から見て北西、南西、北東、南東にそれぞれと、南極を含めた5つの大きな大地がある。
それに加えて、裏海にもう一つ大陸か。
「大きなところは、それで全部なのか?」
「そうじゃの。あとは島じゃな」
どうやら、結構簡単に地図が埋まりそうだ。
「しかし、なるほどのう。こうして見ると形が良く判って面白いの。色は塗らんのか?」
石だしな。
いやまてよ、石でも色はあるか。少なくとも黒い石と白い石は河原で見かけるよな。
取りあえず、陸地を白で海を黒のイメージ。
できるじゃん。
地図っぽくするなら、森を緑? 海や湖を青にして、陸地を茶色系にできればいいけど、それって宝石がいるんじゃ? 準輝石とかなら安く済むのかなぁ?
まあ、見つけたら収納して出せるようにしておこう。作っても人には見せられないけども。
山地をそのまま凹凸で表現するくらいはアリか。
うん、まだ白黒ではあるが、なかなかカッコいい世界儀ができた。




