18話 神通力は止まらない。
さて、ヤバいことが判明したアースクリエイトであるが、もう少し実用性のある使い方はできないだろうか?
あると便利なものというと。
「アースクリエイト、磁鉄鋼」
磁石だな。作り出せるなら、ゴーレム素材に含まれていて、一度収納することでクリエイトの条件を満たしていたと思って良いだろう。
長方形の棒ができる。
棒で地面をほじくり返す。棒の先には細かい粒が縦に立つような特徴的な張り付き方をしている。
「砂鉄だな」
鉄片も取り出して近づける。
カチッと音を出してくっついた。
「磁石成功。……まだまだ行けるぞ、これは」
磁石を薄い破片に整形。中央の重心位置に突起を作る。
円筒形の容器を石で作成して、中央には上向きに針。
針の上に磁石を乗せた。
バランスを取って針の上で動く磁石片は、次第に動きを止める。
そうすると、容器の方を動かしても、磁石片の指す方向は変わることはない。
コンパスだ。
「これで、常に方角を確認できて、迷うことがなくなるな」
羅針盤は、大航海時代を支えた大発明だ。……がしかし。
「よく考えたら、アースサーチで方角は判るんだよな」
せっかく作ったコンパスではあるが、収納の肥やしとする。
「磁石ができて、銅も作れる。となるとアレも行けるか。ちょい大がかりになるが」
銅を細く長く。間に石の層を挟んで折り返す。
返して返して、巻いて巻いて、一塊に。それを二つ作る。
さらに向かい合わせて容器に設置。
間に磁石を設置。軸を作ってハンドルで回転できるようにする。
銅線を繋ぐ。片方は少し距離を空けて隙間が見えるように。
そしておもむろに、ハンドルを回転させた。
銅線の隙間にパチッと火花が生まれる。
「できたぞ、エ・レ・キ・テ・ル~」
要するに発電機。平賀源内御用達だ。
しかし、これだけではつまらない。
銅線を今度は炭の棒で繋ぐ。炭もクリエイト出来るんだよね。カーボンファイバーだな。
最初の偉い人は竹を炭にしたもので作ったんだったか。
その全体を透明な石でくるむ。
成功した。これは、川原で採取した石に石英なんかが含まれていたってことだろう。完全に透明とはいかない様子だが、とりあえずは大丈夫か。
アースクリエイトで半透明膜を密封状態で膨らませる。このあたりは力押しになるが、真空状態を作らないとすぐに燃えてしまうからな。
コイルには鉄芯を入れる。
再び、ハンドルを頑張って回す。
赤熱した炭素棒は明るい光を放った。
「これこそが文明の光だよ」
電灯が完成した。
研究のやり甲斐があるじゃないか。
間違いをご指摘いただき、修正しました(20251210)。




