152話 WXY
家に帰った俺たちを出迎えてくれたのは、管理人と化しているエヴァンゼリンさんと、メイベルだった。
家のすぐ横に、今までなかった木が伸びている。
これも世界樹なのかな?
「お帰りなさい、お父様、お母様」
そう言って抱きついてくるメイベルは、日本人女性二人に大人気。
移動中は塞ぎ込んだ様子であったが、一転して女子高生らしく転げ回っている。
妖精セラピーだな。
うちって、異世界なわりにモフモフ居ないしな。
食い意地のはった最強魔獣なら遊びに来るけど。
ユキの尻尾とか触ると命が危ないし。
男の子二人は、お母様呼びされたエレメアと俺を見比べては表情を都度変えている様子。
うかつなことを言うなよ? 頼むからな?
「とりあえず、風呂があるから、女性陣から交代で入ってきなよ。エヴァンゼリンさん、すみませんが彼女達に服を貸してあげてくれませんか?」
とりあえずはメイド服でも。
一休みしたらバードマウントの方に買いに行こう。
タケル君達のほうは、結構ボロボロだな、制服。
捨てるのも忍びないし、大地変容で修復できるだろうか。
「なあなあ、おっさん、おっさん」
女性陣が風呂にいったので、残っているのはタケル君、ユウタ君、爽やか青年、ヒース君と俺で5人。
男しかいないのに声を潜めてくる。
「あの女の子達って、みんなおっさんの嫁だったりするのか?」
Y談か。
「そんなわけ無いだろ。メイベルは木の妖精みたいなもんで、育てたときに面倒を見てた相手を親呼びするってだけだよ」
「そ、そうなんだ。それだとみんな今はフリーってこと? この世界、美人が多いよね」
ユウタ君の趣味は猫耳巨乳美少女だったっけ?
「あ、あー、その、複数の嫁とか制度的に有りなのかな?」
爽やか青年め、中身は同じか。
しかし、その辺知らないな。
「どうなの? ヒース君」
「国にも依りますし、身分にも依りますね」
と、そこでヒース君が残っていたことに気付いてビビる三人。
男だからね、彼。
「ファティマ教では、絶対ではないですが一夫一婦が奨励されています。国に関わらず教徒には一夫一婦が多いでしょう。逆にエルフ族には婚姻という制度そのものがありませんし」
「え? エルフってあの美人な人だよな。結婚しないフリースタイルなのか?」
「一応言っておきますけれど、エルフ族では混血は認められません。迫害の対象にすらなりますよ」
と、蔑む視線で爽やか青年を見るヒース君。
好感度が急降下したな。
まあ、ヒロインじゃないからいいか。
しかし、ハーフエルフとかいるのかな。
「つか、んな先のことより、俺らってこれからどうすりゃいいんだ?」
「とりあえず、ここに住んでもらって大丈夫だぞ。ここって土地全部が俺の私有地だからさ」
「まじかっ。やるじゃねえか、おっさん」
はっはっは。崇め奉るがよい。
ただなあ……。
「君らの扱いがどうなるかが心配なんだよな。大きな被害は無さそうではあるけど、戦争じみた騒動を起こしたわけだし」
「ええ、俺らって被害者だろ?」
「いや、メダル盗んでいったじゃん、君ら。それで神兵が復活しちゃったわけだし」
主犯のアオイがいない以上、立場は悪いんじゃないかな。
「いや、最後の一押ししたのおっさんだっただろ」
ち、見ていたのか。
タケル君は人に責任を押し付けたりする子じゃないよね。信じてるよ。
ま、大丈夫だよ。最悪でも逃げる場所はたくさんあるから。




