143話 防衛作戦会議
さて、教国に急いで戻った俺達。
ちゃんと話を通しておいたので、ブラックボルダーで飛んで都市に乗り付けても、騒ぎにはならなかった。
いや、騒ぎにはなっていたか。弓や魔法で撃たれることはなかった、くらい。
なお、ブラックボルダーのコックピットは狭いので、シンディ達はコンテナに入ってもらった。
合体させて五人くらい乗れるようにするのも良いかもしれない。
「これより、教皇メダルの防衛会議を始める」
いつもの黒板を会議室の前に出してそう宣言する。
「一つ言っていいかい?」
「なんだ?」
「まず、旦那の考えてるプランを先に教えてくれるかい? あたしらはそこに追加で案を出すからさ」
「その方が早そうですわね」
そうか? 俺の知ってる前例だと、どれだけ敏腕な警部が作戦を練っても、裏をかかれて盗まれちゃうんだけどな。
「そうだな、まずはメダルを保管した場所を、建物ごと俺の石壁を使って囲む。そうして、人の出入りをできなくする。と言っても、これは敵の持つイレイズで消されることになるが、それで敵がやってくることを感知できる」
人感センサーの代わりだな。
「そして、中の部屋には教皇のメダルそっくりに作った偽物を大量に用意する。本物も中に混ぜる」
室内の半分が偽物のメダルで埋まっている状態にしてしまえば、運良く本物を引き当てられる確率は低いはずだ。
「あとは、俺達で侵入者を取り囲んで、気絶させて取り押さえることになるな」
全員が魔法打ち消しと瞬間移動の能力持ちとなると、拘束は難しい。気絶させるくらいは必要だろう。
当て身の練習をしておかないとな。
「という感じで考えてみたんだが、どうだろうか? 相手の能力でこちらを出し抜く方法が思い付くなら挙げてもらいたい」
会議室を見渡す。
参加者は全部で十一名。俺、五人娘、タケル君、ヒース君、教皇、世界樹、メイベル。
「教会から人員は出せないのかい?」
「すみません。教会内に敵の仲間になっているものがいる可能性を排除しきれません。人数差を覆されると命取りになると……」
教皇に代わってヒース君が答える。
なんか、ヒース君が教会側担当者みたいになってるね。
「相手が人数を増やしてくる可能性はあるんじゃないかい?」
「ない、……とは言えないか……」
「その時には、神殿騎士団を介入させましょう。二段構えの形になります。そうなった時にさらに騎士団から裏切られたとしたら、もうどうしようもないかと」
最悪を想定するとしても、そこまで考えてしまうのはかえって悪手にもなるか。
警官隊が全員、泥棒の味方になるようなもんだしな。
「解った。じゃあそれはいいよ」
可能性としては考えておくけどね。
そのときは……この神殿の山ごと崩壊させるとかかなぁ。自分達の命が優先だ。
「メダルの偽物作戦ですけど、偽物も含めて全部持ち去られる可能性はありませんか?」
「それができるだけの余裕を相手に与えた時点で、負けって感じかなあ」
「本物はやっぱり別の場所に保管した方が良くないですか?」
「経験上、それをやると絶対に本物の方が盗まれてしまうんだよ」
「あなたにはいったい、何の経験がありますの?」
良くあるパターンなんだって。
「せめて、ここも二段構えにできませんか? 最初の部屋に偽物だけたくさん置いて、隠し部屋にさらに偽物たくさんと本物を置くとか……」
「よし、採用だ」
いいね。案は多いに越したことはない。
「相手は瞬間移動の能力があるのよね。出入りが出来ないようにしても、それで中に入って来る可能性はあるんじゃない?」
「うん、可能性は捨てきれないな。建物自体を俺が作ると、それこそ消されてしまうから、既存の建物を使わないといけないしな」
建物ごと消されたのでは、それこそ無防備になってしまう。
「で、食料なんかは結局必要になるから、極力俺が収納するとしても、それを使って移動して来る可能性をゼロには出来ないかな」
「いつやって来るか判らない、という警戒はした方が良いでござるな」
これも、どこまで警戒するかって話ではあるな。
もう、ここまで来たら、絶対に裏をかかれてなるものかって気分になってるけど。
「あれ、今の話だと、さっきの偽物作戦も相手の能力で偽物を消されてしまうんじゃないですか?」
「いえ、そうすると教皇のメダルやその能力自体を消してしまうリスクがあります。向こうもそれは出来ないでしょう」
「というか、後で本物と偽物はどうやって見分けるんだい?」
「ああ、それは俺が収納できたら偽物、出来ないのが本物だ。俺の収納の不便なところを、逆手に取る」
前の時、メダルの収納は弾かれて出来なかったんだよな。多分、ニーナの鱗と同じ扱いなんだろう。
「それで、どのくらいの期間を籠城することになるのかしら?」
どうなんでしょうか? 世界樹さん?
「十分なサポートをするのである……」
事が起きるまで、無期限か。
あんまり長引くようなら、保管方法から見直した方がいいかもね。今まではお墓に保管していて大丈夫だった訳だし。
とそんな時、会議室に一人の神殿騎士が飛び込んできた。
「敵の一味と思われる少年の身柄を確保しましたっ」
……え?




