138話 進行する計画
「とにかく、頭をあげてください、世界樹さん。俺は気にしてませんし、それでは話ができませんから」
大柄なおっさんに頭を下げられるの、むっちゃ怖いです。
謝罪でも何でも受け入れるよ。最初から気にしてないし。
「おう、こっちには聞きたいことが山ほどあるぜ」
タケル君も、そろそろ待てが我慢できないっぽいし。
「貴方の見極めについてはまだ結論は出ていません。貴方の仲間である他の四人についても、です」
タケル君に対しては、ヒース君パパから釘が刺される。
ま、俺とは信頼の実績が違うからね。仕方ないね。
「しかしながら、当の四人はアオイの影響下にある様子。いえ、支配下と呼ぶ方が良いでしょうな」
「その、アオイって女の人は何なんですか?」
たしか、俺をこの世界に呼んで、日本にいた俺が死ぬ羽目になったのも、その女のせいなんだよな?
おのれ、俺の仇めっ。
「アオイと名乗るその少女は、ホムンクルスである。かつての教皇の一人が作り上げた最初のホムンクルス。ナンバーA-01。それがアオイである」
「ホムンクルスってなんだ?」
たしか、人間が作った人間って感じだっけ? 人造人間だったり、魔法生物だったり。
タケル君はそっちの知識は持ってないのかな?
「そうであるな、どこから話せば良いであろうか……」
要約するとこんな感じ。
この世界では人族はとても弱い存在で、魔物や強力な生き物に成す術無く脅かされていた。
まあ、北の大地でも壊滅寸前だったしなあ。
それを不憫に思い、世界樹が作ったのが、守りの結界に覆われたこのジェル島。
しかし、外敵への対策として行われたものはもう一つあった。世界樹が守りの対応とするなら、もう一方は攻撃的対応。
それが神兵と呼ばれる、人の作った戦うための生物。
しかし、神兵は強大な力を持っていたものの、使われることはなく、大地深く封印された。
それを呼び起こそうとしたのが件の教皇であり、そのために作られたホムンクルスがアオイ。
教皇は既に他界しているが、その命令はホムンクルスの中で現在でも生きていて、神兵の復活をさせようとしている。
「アオイはこの大陸には危険な存在であるゆえ、結界により排除の対象であったのであるが……」
「ベルンシュテルン枢機卿との繋がりについて、我々は後手に回ることになった次第です」
うん、目的は判った、けど。
「それで、俺たちや後の四人は、何でこの世界に呼ばれたんです?」
そこが判らない。
「神兵に命を吹き込むため、と考えております。それが異世界人の命であれば、強力な力と共に神兵を動かすことができる、というところでしょう」
「狙われるのは長い寿命を持つエルフ族であろうと考えていたのであるが、異世界召喚などという手段を見出だすとは、想定外だったのである」
「ちなみに、命を吹き込むのに使われたら、どうなるんですか?」
「もちろん、命の全てを吸いとられて死ぬである」
デスヨネー。
タケル君の友達、連れ去られてるんだけど……。
既に手遅れだったり?
「命を吹き込むには、初代教皇のメダルが必要です。あなた方の友人は、そういう意味では無事でしょう。アオイも一人でも多く注ぎ込みたいと考えているはずですから」
メダルを守りつつ、助け出さないといけないわけか。




