135話 うつるんです
「ヒースクリフ助祭より、更なる証拠品が提示されています。これに」
指示を受けて運び込まれたものは、布の被った箱。
俺がアースクリエイトで作ったものだ。横には小さな穴が空いている。
「では、此方の者より説明を」
ヒース君に促され、俺が前へ出る。
「はい。取り出したまるは此方の品、なんと現在南方の、ハンドレッドは王技研、最先端の発明品だ」
ベベン、と紙で作ったハリセンで机を叩く。
なお、そういう事にするとアイリスに話を通した。……後で技術供与することで、嘘にはしないことを約束して。
「此方の箱を前に向け、狙って構えて、はいパシャリ。そして取り出したまるがこれ。近くば寄って目にも見よ」
口上と共に取り出す紙片。
それはおっさん枢機卿が写った写真。
「はい、こちらもこちらもはいパシャリ。これぞ最新の発明品、カメラで~ございます」
教皇の並ぶ壇上、傍聴席、とそれぞれカメラを向け、撮影を行う。
さて、このカメラはピンホールカメラと呼ばれる、簡易カメラである。
光を遮った箱の中へ、小さな穴から外の光を取り入れると、内側の壁には外の風景が像を結び、映像として映る。
内側の壁も石の板になっているので、これをアースディテクトし、映った像を紙にアースクリエイトで転写コピー。
そのための紙と色の付いた粉が箱の中に仕込んである。
色はプリンターのトナーと同じで、青、赤、黄の3つがあればどんな色でも作ることは可能。丁度良い素材をタケル君のいた遺跡でゲットしていたんだよね。
「……いったい、その絵がなんだと……?」
おっさん枢機卿は話が見えてないのかなぁ? もちろん、これは前置き。
「そして、こちらがカメラで撮影した証拠品であります」
提示したのは地下霊廟の様子が写った写真。
そこにはおっさん枢機卿とタケル君の友達である四人、そのうちの一人が初代教皇のメダルを持っている姿。
ヒース君が説明を受け継ぐ。
「ご覧の通り、初代教皇の秘宝はベルンシュテルン枢機卿の手の者により奪われておりました。この写真が証拠です」
写真は壇上に並ぶ教会お偉いさんの手に渡り、一人ずつ確認して行く。
「ここに写っている者たちは、確かにベルンシュテルン枢機卿と共に居るのを教会内で目撃されておりますな」
一人がそう認めれば、話は一気に傾いて行く。
大慌てなのがおっさん枢機卿。
「馬鹿なっ。その様な怪しげなものが信頼に値するものですかっ。絵など如何様にも描くことが出来るでしょう。それは私を貶めるための偽の証拠ですっ」
ま、そう来るよねぇ。新技術の提示だとやっぱり弱い。証拠として採用できるかどうか、には技術への信頼とかに時間がかかるものだしね。
指紋照合とか、DNA鑑定とか、証拠採用されるまでには長くて深い物語があるのだ。
でもまあ、インパクトはあったんじゃないかな?




