128話 運命の出会い
さて、夜まで待つのか。
「おっさん、茶碗とか持ってるか?」
と、タケル君がそんなことを言う。
まあ、茶碗くらいならいくらでも作れるけどね。
茶碗を二つアースクリエイトして床に置く。
すると、タケル君が収納袋から取り出したのは、手のひらサイズの小さな米俵。
茶碗の上で米俵を逆さにすると、そこに落ちてきたのは……。
「ほかほかご飯っ!」
湯気をたてる白い粒。それは紛うことなき、ジャポニカ米っ。
そして、ドヤ顔風味のタケル君。
「とりあえず、飯にしようぜ。おっさんも食うだろ」
……と、いうことは……。
「これが、タケル君が使える神通力の本気っ!」
「いや、何言ってんだよ。どっちかと言うとおまけだろ」
は? 何言ってんの?
ジャポニカ米だよ? ジャポニカ米。
「というか、なんで米俵から炊いた飯が出てくるの?」
「生じゃ食えねぇだろ」
まあ、そうだけど。
「ちなみに、玄米とか出せたりは?」
「なんだ、おっさん、健康志向か?」
「いや、炊いてない米も出せるのかなーって」
米俵って本来そんなものだし。
「ああ、最初に出したときは、炊いてない米だったんだよな。ほら」
そうして見せてくれた米俵の中には、玄米の粒。
「つまり、いろいろ応用が効くってことだね」
「応用っつってもなぁ」
まあ、そう謙遜するでない。
とりあえず、今入っている玄米は別の容器に移して、と。
「カレーとかも出せたんじゃないのか?」
「出せねえよ。ずっと白米だけ食ってたんだよ、俺」
ああ、それでカレーに感激してたのか。
白米オンリーは体に悪いぞ?
でもなあ、何だかんだで神通力って、結構応用が効くみたいなんだよな。
「チャーハンとかどうだ? 細かく刻んだ人参、玉ねぎ、ベーコンなんかが入ってるやつ」
細かくイメージ出来れば、それが現実になったりするのが神通力っ。
「それって、ピラフじゃね?」
と言いながら、米俵を覗きこむタケル君。
「げ、出たっ」
米俵から茶碗へ出てきたのは、チャーハン? ピラフ? なんかそんな感じの物体。
行ける行ける。どんどん行こう。
大量の茶碗をクリエイト。研究あるのみだ。
結果。
チャーハンもピラフも出せる。
でもカレーは結局出せなかった。
ドライカレーなら出せた。
牛丼は出せない。
赤飯はいけた。
要するに、具が小さくて、米主体であれば出せるということらしい。
「タケル君。君に出会えて良かった……」
「大袈裟だろ、おっさん。ってかキメェ」
まあ、そう言うな。玄米から芽を出させれば、育てて増やすことも出来るんだぞ。品種改良済みの日本の米を。
ニーナの日本酒造りでも、専用の品種があったはずだし、もち米なんかもいけるだろ、これ。
君には、この世界で米を流通させる義務があるのだっ。




