127話 グレートエスケープ
開口部をくぐって外へ。
地面までは二階から臨むくらいの高さがあるが、壁に足場をクリエイト。
そのまま、エレベーターの要領で下に降りて、草むらに一旦身を隠す。
「アースコスプレ」
タケル君を追っていた鎧の一団は、みな揃いの全身鎧だった。
それと同じデザインで鎧をクリエイトして身に纏う。
対象は限られるが、神通力による変装術である。
鎧の集団に紛れてタケル君を追う。
あーあ、完全に取り囲まれてるじゃん。
ハンマーを振り回して牽制してるけど、そのハンマー、人に向けちゃダメなやつだぞ。
「大人しく縛に付け、侵入者め」
「うるせぇ、こっちくんな」
ハンマーを大きく振り回すので、鎧集団も取り囲むばかりで近づけない。
取り押さえようとしているところを見ると、兵士かな? この鎧集団は。
まあ、近くの石柱とかを易々と破壊してるハンマーだし、怖いだろうね。
そんなタケル君の隙をつき、一人の兵士が後ろから羽交い締めにせんと飛びかかる。
しかし、振り回されたハンマーはその兵士をも襲う。とっさに姿勢を低くしてハンマーを避けるも、兵士はそのまま地面に転がる。
転がった兵士はタケル君の足元へ。
ハンマーを振りかぶるタケル君。
「土遁、アースハイドッ」
タケル君を囲む形で砂煙が上がる。
一瞬怯むものの、すぐに兵士達はそれを取り囲んで警戒体制を崩さない。
しかし、煙が晴れた後、そこには誰も居ない。
「に、逃げたぞ、探せっ」
兵士達はそれぞれに捜索へと移る。
アイリス達もうまく隠れてくれているといいんだけどな。
もし見つかっても、大人しく捕まっておけよ。すぐ助けるから。
アースコスプレを解除して、灯りを点ける。
「大きな声出すなよ、タケル君。まだ上に兵士が居るからな」
「……おっさんか……」
はーい、おじさんですよぉ。
もちろん、背後から近寄って、そのまま足元へ近づいた兵士が、コスプレした俺である。
アースハイドは以前にも説明した通り、目眩ましをしてから地面の中に空間を作って身を隠す逃走技ね。
さて、落ち着いたところで、改めてアースサーチ。今いる場所は……。
「なあ、おっさん。ここって何処なんだ?」
「……ファティマ教国の山の上、だね」
総本山とか言ってたとこ。
あの鎧が神殿騎士団なのかな?
「……?」
ああ、タケル君は地理とか国とか全然知らないか。
とりあえず簡単に説明しておく。
「じゃあ、この国のどこかに、俺の仲間も、あのクソ女もいるってことか」
「さあね。可能性は高いと思うけど、聞いたところによると、ファティマ教って宗教は異世界とかの存在を認めないって話だったんだけどな」
というか。
「タケル君がこっちに来てから、何か判った事とか無いの?」
「……部屋には何も無かったから、外に出て、人に話しかけようとして、そしたら騒ぎになって……」
何にも判らなかったのね。
タケル君はバツが悪そうに舌打ちする。
と、空気取りに作った地上部分からノック音。
壊れた石柱にカモフラージュして作ってるから、簡単には見つからないと思ったんだけど。
「ヨシツグさん、いますかぁ」
なんだ、アイリスじゃん。
「ここにいるぞ。タケル君も無事だ。外は大丈夫なのか?」
「もうしばらく、隠れていてください。夜になったら迎えに来ますから。私たちの方は大丈夫です」
ふむ、なんとかなってるらしいな。




