125話 遺跡探検隊
「中はなんか、明るいんだな」
遺跡は、うっすらと壁全体が光ってる感じ。
まあ、何とか壁や床の形が判る程度だけど。
「ああ、スイッチがあるから、灯りは点けなくて大丈夫だぜ」
そう言ってタケル君が壁を触ると、部屋全体が明るくなった。
電気点くの?
「何も無いですわね」
部屋の中はもぬけの殻、という表現が相応しい様相。
そして逆に、塵一つ無いという不自然さも持っていた。
「ここが、最初に俺たちが召還された部屋だ。しばらく生活もしてた」
「エレメアやアイリスはなんかキュピピーンとか来ないのか?」
新人類な魔法使い的に。
「あなたは魔法を何だと思ってるのかしら?」
「特に無いですね」
ふむ、なら。
「ニーナは?」
「ただの部屋じゃな。この部屋自体に何かがあるわけでもなかろ」
ドラゴンセンスでもそうなのか。
明かりが点くだけでは大したことが無いって扱いな所を驚くべきか。
まあ、アースサーチでもなんで壁が光ってるか解んないけどな。何も無い様にしか見えない。
「次いくぜ、次」
タケル君の案内で進むと、雑多な荷物が置いたままの部屋もあった。
「ここがクソ女の部屋だ。入るなって言われてた」
入ってるけどな。女の子の部屋に土足で。
中は確かに機械っぽいもの、薬品っぽいもの、水槽のようなもの、等が置かれている。
本棚っぽいものもあるが本は並んでいないな。
なんか、カラフルな石が置いてあったりもする。
宝石って感じでもないけど、一回収納だけさせてもらって、元に戻しておく。
こういうの、ちょっと欲しかったんだ。
「こ、ここにある機械は、何の機械なんですか?」
アイリスがこちらに期待の眼を向けてくるが。
「判んないなぁ。あんまり触らない方が良いと思うぞ」
ビクッとして、触ろうとした手を引っ込めるアイリス。
用途は不明だが、日本製品のようにコンパクトさを追求したような感じではない。むしろ、スチームパンク的な大袈裟さを感じる。
スチームパンクといえば爆発だしな。
そして、一番奥の最後の部屋。
「ここから、みんな居なくなった」
と言うタケル君の様子には寂しさが混じる。
そういや、異世界に一人で取り残された形なのか。何だかんだで、心が弱っていたのかもしれないな。
タケル君が立っているのは部屋の中央にある小さな舞台のような場所。それを円状に取り囲むように装置が並んでいる。
タケル君自身、何度も試してはいるのだろう。舞台に立っても何も起こりはしない。
「これは、確かに遺跡だねえ」
「知っているのか? シンディ」
大丈夫か? 禿げたりしないか?
「そういうんじゃないよ。読めない文字っぽいのがあったり、それが欠けてたりって、遺跡って感じだろ」
ああ、確かに壁に文字が彫ってあったりしてるな。
ダンジョンだと、自動修復されるから、欠けたままになってるのは遺跡ってことか。
「魔法文字ですわね。……病と健康のために、ですかしら?」
変なフレーズ。
「病気と健康ってことか? 俺にゃ読めなかったけどな」
「それを言うなら、美容と健康のため、じゃ……」
そう言った瞬間、舞台が光を放つ。
「おい、これは……」
そう言い残してタケル君の姿は消えた。
「ヨシツグ、貴方、魔法文字も読めましたの?」
「魔法文字って?」
「魔法を使う際の呪文詠唱の言葉のことですね」
ああ、エレメアが魔法使うときに唱えてるやつか。世界の根元がどうとか。
もしかして、これも実は翻訳されてた?
「文字は読めないけど、エレメアが読んだのを聞いて、何となくな」
「何となくで、正解を引き当てられたらたまったものではないのですけれど……」
「多分、装置起動の合言葉になってたって所でしょう」
装置回りを調べながら、アイリスが言う。
舞台の上に立つなよ? くれぐれも。




