122話 関門突破
「ってことで、こちらタケル君な。みんな、仲良くするんだぞ」
シンディ達と合流して転校生、もとい、転世界生のタケル君を紹介する。
タケル君は……おお、照れてる照れてる。
あたかも、一人だけ女子高に転入を許された男子生徒のようだ。
差し詰め、俺は担任教師ってとこだな。
「のうのう、ヨシツグよ。そんなことより、先ほどの写真とやら、そろそろ妾にも使わせてはくれんかの?」
うん? ああ、それかぁ。
「タケル君、充電器持ってないの? スマホの」
「ねえよ。あればどんだけ……」
「充電ケーブルとかは?」
「それぐらいなら、鞄に入ってるけどよ」
お、やった。
「ちょっと貸してくれ。なんとかなるかもしれないぞ」
受け取ったのは普通のUSBケーブル。
学校鞄に入れてるものなのか。もしかしたら、こっそり学校で充電してたりしたのかな?
ま、何はともあれ、コピーしておく。なにげに消耗品だしな、これ。
パソコンや充電器に繋ぐ方のコネクタは、中に4つ端子が並んでいる。
この端子の外側二つに5Vの電圧をかければ充電できるはずだ。
……どっちがプラスか憶えてないな。逆にしちゃうと壊れると思うけど、まあ収納コピー品だし壊れたら逆ってことで。
で、充電するには直流電力を起こさないといけないわけだ。以前作った手回し式電灯は交流だから、そのままでは使えない。
とはいえ、原理は同じで良い。ブラシと呼ばれるパーツで電気の流れを切り替えれば、直流電源として取り出せる。
DCモータと呼ばれるやつだ。田宮さんとか馬渕さんとかが有名。
あとは、それをエアロバイクに組み込む。ダイエットとかするのに使う運動器具だが、人力発電機には良い形状だ。
「できたぞ。あとはペダルを漕いでくれれば充電できる。電圧は漕ぐ早さで調節することになるから、充電ランプを見て判断してくれ。早く漕ぎすぎるとスマホが壊れるから注意な」
一心不乱にエアロバイクを漕ぐタケル君を余所に、ニーナに耳打ち。
さあ、悪巧みの時間だ。
汗だくになりつつも、やり遂げて満足げなタケル君にドリンクを渡す。
レモンと蜂蜜に少しの塩で作った、新作のスポーツドリンクだ。
黒いシュワシュワのとか、胡椒博士とかは遠いなぁ。
「それで、スマホの方は使えそうか?」
「おおよ、充電はバッチリだぜ。すまねえな、助かった」
うんうん。好感度がピロリロリ、と上がったな。
「一回、再起動した方が良いと思うぞ」
「ん? そうか?」
しても特に意味はないけどな。
好感度上昇の効果で、素直に再起動してくれるタケル君。
そして、それ以降はスマホに没頭する。
電源がないせいで、使えてなかったんだろうね。
大事なデータとかあったのだろうから、暫くはほおっておこう。
「どうだった、ニーナ?」
「バッチリじゃ」
タケル君が再起動処理しているところを、ニーナにテレパシーで読んでもらった。
起動時のパターン認証ゲット。
これで、スマホが使えるようになるな。良きかな良きかな。
泣きそうな目でアイリスが睨んでくるので、一台あげた。
充電は……家にも一台、エアロバイク式発電機を置いておけば良いか。
風呂に入る前にエアロバイクとか、ますますスーパー銭湯みたいになっていくな、俺の家。
漫画コーナーもあるし。
そのうちマッサージチェアでも作ってみるか。
なお、エアロバイク式発電機はタケル君が購入を希望。
金貨を支払ってくれた。
どこから手にいれた金貨なのかは知らないが。
で、エアロバイクはタケル君の持つ袋に収納された。魔法の鞄ってやつかな?
あれも神様的なアイテムなのだろうか。




