119話 ドキドキメモリアル
スマホ横の電源スイッチを押す。
待受画面になり、壁紙が表示される。
それは、二人の人物の写真。男女のカップル。片方はさっき襲撃してきた男に見える。
あの服って、学ランだったんだな。詰め襟の学生服。
すると、高校生くらいか。
ちょっと不良風味。
「なんじゃ、それは。凄まじく精巧な絵ではないか」
「あら、本当。またヨシツグが作ったの?」
後ろからニーナが覗きこみ、そのニーナを盾にするようにユキも覗いてくる。
「写真っていってな。目に見たものを紙に写して残す道具だ」
「ほう、もっと良く見せい」
「ああ、まて駄目だ。バッテリが残り少ない」
電池マークが赤くなってる。
「バッテリとな?」
「動かすためのエネルギーだな、このままだと、すぐに動かなくなる」
さっきの男がソーラー発電機とかも持っていれば良いのだけれど。
いや、それなら充電しているはずか。
「とにかく、こいつを調べるのは後だ。まずはシンディ達と合流しよう」
ユキをブラックボルダーの肩に乗せて、道案内してもらう。
ブラックボルダーなら触っても大丈夫らしい。……当たり前か。
「そういや、よく俺だって判ったな。ステイブルフォームは見せたことなかったのに」
「全体の形は違ってるけど、部位ごとに見ると同じ形してるもの。だいたい、こんな変なゴーレムは他に居ないわよ」
まあ、あくまで変形だからな。決して変ではないが。
結構、観察力とか高いのかもしれないな、こいつ。
たどり着いた先は、島の北端近くにある岬を臨む高台。
……本当にとことん北まで来てるんだな。
「旦那、悪ぃ。結局手をかけさせちまって」
「いいってことよ。ちゃんと飯食べてるか?」
シンディ、アイリス、カエデにマーミャさんが揃って出迎えてくれる。
そして、地面から伸びる小さな木の前で何やら作業中のエレメア。
「どういう状況なんだ?」
とりあえず、テーブルを作り、持ってきた食べ物を並べる。
エレメアは……集中してるな。こっちに気づいてもいないのかな?
カレーの臭いとかさせたら反応するだろうか?
飯を食べながら聞き出したところによると、エレメアの前にある木が世界樹の苗で、もう少し成長しないと困るらしい。
本来なら、植えればすぐに育つはずだったのだけれど、成育が悪く、面倒を見るのに手が離せない状態。
それに加えて……。
「おかしな奴が近くに居るんだよ」
世界樹さえ育ってしまえば、魔物からは守られる。世界樹自身も含めて。
そうしたら、此処を探索チームの拠点にして、まずは島全体の掌握。
北に世界樹の苗で蓋をしてしまえばそこより南側は安全が確保できる算段らしい。
囲碁での三間開きって感じだな。
苗を山ほど用意できれば、そこらじゅうに植えたり……いや、世界樹の苗を石化コピーしたら怒られるだけでは済まない気がする。
それはそれとして、苗が育ったとしても、不審者を何とかしないことには、この場から離れられない。
要はそんな状態。
うーん、あの不審者、俺の同郷っぽいって言ってしまって良いのだろうか?




