116話 再会
サバイバル3の法則。
呼吸ができなければ3分で死ぬ。
顔全体を炎で覆われてしまえば、呼吸はできない。
生き物ならね。
これで、実はゾンビなので息してませんー、とか言われた日には、観念してニーナに泣きつくしかなかったな。
何だかんだで安全マージンにはなってくれている。
「まったく、搦め手の好きな男じゃのう」
「好きなんじゃなくて、真っ向勝負じゃ勝てないのっ」
弱いんだから、俺は。
「なんなら、妾も絡んでやろうか、ほれほれ」
「やめんかっ」
座席の後ろからヘッドレスト越しに足を首もとへ絡めてくるニーナ。
こいつ、前に短足扱いしたのを根に持ってるんじゃないだろうな。
根と恨は似てるからなぁ。
ニーナの足を引き剥がし、一旦外へ出る。
傷ついたブラックボルダーを大地へ収納。
よく戦ってくれた。すぐに元に戻してやるからな。
保管用ブラックボルダーから収納コピーしてすぐ直しました。
「おおーい」
声をあげて駆け寄ってくる人物。
一見ドワーフのような外見だが、体型は痩せている。
……どっかで見たような?
「おんし、ヨシツグ=マツダじゃな。助かったぞ、礼を言う」
「あ、はい、私がヨシツグです。隣にいるのは……ええと、私を手伝ってくれている者で、ニーナといいます」
改めて、紹介に困るやつだな、よくよく考えると。
「おう、そっちの嬢ちゃんも良くやってくれた」
まあ、そんなことよりも、だ。
「物資を預かってきましたよ。浜の方に置いて来てしまいましたが」
「おう。助かる。重ね重ね礼を言わせてもらうぞ」
「それで、状況説明をお願いできますか?」
行方不明の件とか、襲撃されていた件とか、どれから聞けば良いものやら。
「それじゃ、シンディ達は北に向かったんですね」
探索チーム全体が離散というわけではなく、連絡が取れなくなったのはシンディ達のパーティだけのようだ。
「まあ、単に遅れとるだけじゃとは思うんだがの。予定の連絡がなかった時点で本土への連絡に入れたんじゃが」
あれ、行方不明じゃないの? 誰だよ、大袈裟にしたの。
「正確な場所は判らんがの。とにかくできるだけ島の北へ行って、良さそうな場所に世界樹の苗を植える役じゃ」
と、探索チームでリーダーを務める、痩せ型ドワーフことフランソワさんは語った。
しかし、すごい名前だな。外見は腐乱死体とかが似合いそうなのに。顔色悪いし。
なお、世界樹の苗を植えることで、その周囲を安全地帯にすることができるとのこと。
で、そのために選ばれたのがエレメア。エルフ族において、お偉いさんの一角である彼女はかなり重要人物らしい。
辛いものを食べたあとの、汗だくでへにゃへにゃした姿を見せてやりたい。
まあ、そんなわけで、その護衛の形でシンディ達含めパーティで探索し、一方で上陸した場所でも拠点を確保、の予定だったと。
拠点、半壊してるけど。
「拠点作りと、周囲の安全確認は急務じゃけいの。向こうでトラブルでもあったなら、なお此処での拠点確保は急がねばならん。すまんが、おんしらはそのまま北へ向かってくれんか」
まあ、予定外人員だしね。
俺なら、最悪でも逃げて連絡に戻るくらいはできるだろう。
ニーナが力押ししてくれるのが早いんだけどなあ。
「ところでおんし、以前にも会ったことがないかの?」
「えー、気のせいでしょう。無いと思いますよ。まあ、俺なんてあんまり特徴の無い人間ですし、むしろニーナの方が目立ちません?」
「まあ、そう言われれば、嬢ちゃんの方は一度見たら忘れんじゃろうな」
危ないな、さっさと出発しよう。




