115話 受けろファイヤー
ティラノサウルスの攻撃は、その強靭な顎による噛みつき。
それだけは食らうわけには行かない。
一定の距離を保っての砲撃で牽制する。あわせて横移動で円を描くように回り込みを続ける。
「逃げておるだけかのぉ」
「攻撃してるだろ」
ナパーム弾による炎攻撃を繰り返す。
「ゆうておくが、あやつは熱にはそこそこ強いぞ。おぬしのマグマ攻撃でも致命傷にはならぬ程度にはの」
「それ、本当に生き物か?」
「それでも、生き物じゃよ」
究極生物でもマグマには負けると言うのに。まああの漫画でも対処はされたし、この世界ではドラゴンには全く効かないらしいが。
うまくすれば、体温上昇で行動不能になるのを狙えるかと思ったけど、それも望み薄か。
こんなことなら、火薬の開発をしておけばよかったかなぁ。
あと、狙えるとしたら……。
ブラックボルダーを操作し、左右移動から大きく回り込みを仕掛ける。
「突貫っ」
アースソードを構えての突貫攻撃。
狙いは尻尾、その付け根部分。
ガキッ。
狙い通り命中しているのに、ソードの刃も突進の勢いも共に止められる。
体重でも勝てないのかよ。
間髪入れず、先手を取って逆方向に再度回り込み。
「アースソード、バーニングチャージッ」
アースソードでのバーニングチャージ。
刀身は炎を纏い、赤熱する。
再度の突貫。
あえなく攻撃は止められ、さらには尾を振ることで弾かれる。
「熱には強いとゆうたじゃろうに」
「試すくらいいいだろ。ビームが効かなくてもビームサーベルなら倒せたりするんだよ」
「どういう理屈じゃ、それは」
知らんっ。
しかし、尻尾の攻撃で弾かれたことで、ブラックボルダーの体勢が崩れ、動きを止めてしまった。
ミスったな、これ。
こちらを正面に捉えたティラノサウルスは大きく口を開けて突っ込んでくる。
それは巨大な穴としか見えなかった。鋭い歯を回りに備えて、殺人穴が迫ってくる。
「チェンジ、バトルフォームッ」
ステイブルフォームからバトルフォームへ変形。必要な稼働部分は少ないので、変形はなんとか間に合った。
バトルフォームの大きく異なる点は、その身長と腕の長さ。
「ふんぬぅぅ」
ティラノサウルスの頭部を全身を使って上から抱え込む。そのまま腕を伸ばして口を閉じさせ丸ごと固定。
全身をさらに地面に固定する。
「ファイヤーッ」
ティラノサウルスの頭部へナパーム攻撃。
直接燃料を浴びせ、頭部全体を炎が包み込む。
その熱はこっちのコックピットにまで伝わってくるほど。
我慢比べだな、これは。
なんとも、泥臭いことだ。まあ、土魔法ならそんなものか。
暴れるティラノサウルスの力を受けて、ブラックボルダーの各所にヒビが入る。それでも拘束は緩めない。
「また、熱での攻撃かの? 効果は薄いとゆうとるのに」
「いいんだよ、これで」
暴れるティラノサウルスは、やがてその動きを止めた。




