113話 ヒーローの出番です。
長いサルガッソを抜けると海であった。
当たり前か。
陸地は左側、西方向に見える。
地面がそのまま北へと延びているが、そこここに海も見える。
要するに、島が連なって北に向かっているわけだ。
断続的に切れた陸地の伸びる様は、下手くそな包丁裁きで切ったネギのよう。
あいつらも、消息不明とか言いながら、うまい食べ物でも見つけて夢中になっているのかもしれないな。鴨とか。
次点で、食中毒で倒れている、あたりか。
腹痛の薬、あったっけ?
クロウディアさんの補給物資に入っていることを祈ろう。
一番近い大きな島に上陸して、拠点を作ったということなので、それらしき島へ向かう。
何か目印でもあったらいいんだけどなあ。
と、そんな風に思った直後、島の方で炎が上がる。
「こっちに信号として上げてくれた、って訳じゃなさそうか?」
「戦闘じゃろうのう」
島の手前は砂浜になっているが、そこから高台を登った先。
近づくに連れて金属を打ち付けるかのような音も聞こえる。
ようなではなく、そのものだとは思う。
「このままいくぞ。チェンジ、ステイブルフォームッ」
浜にコンテナを残し、ブラックボルダー単体で上陸。
人型形態へと移行する。バトルフォームではない。より、実用性のあるステイブルフォームだ。
「前のときよりも、低くないかのう? 中からだと良く判らぬが」
まあ、4頭身くらいだからな。
「コクピットの位置が高いと危ないからな。こういう時はこっちの方がいい」
地面から2m離れれば高所作業扱いなのである。危険は避けるべきだろう。
足が短いので、移動はホイールだ。
丘を越える。そこにいたのは人間の集団と、……虫?
黒くて平べったい虫が人に襲いかかっている。数もサイズも人側より上だ。
「よし、いくぞっ」
ブラックボルダーを虫の群れに向ける。
「アースホールッ。そしてマグマ投入っ」
先頭近くの虫をまとめて穴に落とし、穴の中にマグマを満たす。
ドラゴンならともかく、虫には耐えられまいっ。
「こりゃ、手を抜くでないわっ」
後ろからニーナの踵が俺の頭に落とされた。
「何すんだよ。危ないだろっ」
「そのようなやり方、格下にしか通用せんわい。今のうちに正面から戦う実績を積めと言うておる」
「んなこと、言ってる場合かっ。襲われてるんだから助けないといかんだろうがっ」
「人間どもなら、今ので距離を稼いでおるわ。残りをお主とブラックボルダーで倒すがよい」
まあ確かに、既に防備体制を固めたようだが。
「そんなんで、ピンチにでもなったらどうすんだよ」
危険が危ないんだぞ?
「そのときは妾が助けてやろう。じゃが、実力を示す方が褒美は大きいぞえ?」
ふむ、そういうことならいいか。
……いいのか? ホントか?
まあ、しょうがない。せっかくだからやってみようか。




