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正しい土魔法の使い方 ~理系おじさんの異世界生活~  作者: 麻鬼


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11話 異世界ライフをはじめよう。

街にやって来たは良いものの、時刻はもう夕刻。森と違って何をするにもお金がかかるのが街だ。もちろん、お金は一銭もない。

手元にあるのはホーンラビットの肉と角。これは一応売れると教えてもらった。魚も5匹ほど。

あとは石で作った剣と、その他石の工作物。川原の石がいっぱい。


大地収容で収納した石は街の中でも取り出すことができた。ただし、収納するには地面に置かなくてはならず、取り出しても地面に置かれた状態になる。ポケットや鞄から取り出すように見せる、というのはできないらしい。まあ、鞄なんて持っていないどころか、この服にはポケットもついていないのだけれどね。

肉も魚も葉っぱで包んで、蔓草で縛っただけのものを手持ちしているのだ。


夕刻の街はかなりの賑わいを見せている。門から真っ直ぐに大きな通りが続いている。城が建っているわけでもなく、それゆえの単純な道と言えるだろう。外壁はあくまで獣に備えてのもので、戦争のためのものではないということか。


これで、街の道が戦争に備えてわざと迷いやすく作られていたりしたら、はじめての街で迷わないわけがなかっただろう。おじさんだから。おじさんというのは迷い子になりやすい生き物なのだから。


しかし、獣相手にしてはずいぶん立派な外壁とも言えるな。少なくともホーンラビット相手には過剰な防壁だ。やはりもっとでかくて凶悪なのがいるんだろうな。それこそ、魔物と呼ぶべきようなのが。


ともあれ、迷わないように道をまっすぐ進み、開けた場所へ。ここが中央広場か。

目当ての酒場はそれらしい建物がすぐに判った。西部劇に出てくるようなスイングドアの入り口がある大きな建物。そこから夕餉の支度らしい料理の匂いが漂ってくる。


「ごめんよぉ」


声をかけて店内に入る。スイングドアってノックとかしないよな、さすがに。


「お、きたね」


店内には4人娘がいた。丸いテーブルに4人で椅子に掛けている。


「マスター、さっき言ってた魔法使いだよ」


シンディがカウンターに向かって声をかけた。

そこに座っているのは小太りの中年男。

カウンターから動かなかったら、そのまま腹がつっかえて出られなくなった、とでもいうような雰囲気をかもしている。


「よう、期待の新人。なにやら、モテモテのようじゃないか」


マスターがそんな軽口で応じてくるが、テーブルに残った三人からは毛虫でも見るような視線を向けられる。

俺は何も言ってないからね。


「とりあえず、宿をとりたいんだが金がない。肉と魚に角を出すんで買ってくれないか? あと、その金で泊まれる宿を教えてくれるとありがたいんだが」


「そうだな、大銅貨5枚だ。特に依頼は出てないから、通常買い取りになる」


物価がわからんな。シンディたちはなにも言わないようなので、買い叩かれてるわけでは無さそうだが。


「内訳は?」


「魚が一匹で銅貨1枚。ホーンラビットの肉が大銅貨1枚、角が大銅貨3枚だ」


ふむ、すると大銅貨は銅貨5枚なわけか。


「毛皮があれば、さらに大銅貨2枚つくんだが、穴だらけでは買い取れん」


説明は淀みない。まあ、信用して良いんじゃなかろうか?


「宿はうちの二階を貸せる。夜は多少騒がしいが、安くて良い部屋なのは保証する。一泊大銅貨5枚だ」


1日で稼ぎが消えたな。とはいえ、ウサギ一匹で大銅貨6枚というなら、宿代はそれでなんとかなりそうだ。


「で、うちに泊まって今後依頼を受けるつもりがあるんなら、初日の今日だけ宿代はサービスで無料にするが、どうするね?」


これは嬉しい提案だ。が。


「いいのか? 明日すぐに町を出て行くかもしれないぞ?」


そんなつもりはまったくないが、確認はしておく。何か裏があっても嫌だしな。


「そうなったら、宿代はシンディのやつにツケておくさ。紹介するってのはそういうことだ」


「そりゃねえよ。ヨシツグ、あんた夜逃げとかやめてくれよ」


シンディたちの紹介という扱いになっているようだ。


「いや、ありがたいよ。ありがとう、シンディ」


素直に礼を言っておくことにする。


「じゃあ、ここで食事は取れるだろうか? いくらになる?」


4人娘のテーブルにはすでに食事のあとがあった。


「うちは日替わりしか出さん。大銅貨一枚だ。酒を飲むなら銅貨2枚でカップで出す。ジョッキなら大銅貨一枚だ」


「酒はいいよ。食事を頼む」


「あいよ」


マスターが店の奥に伝えると、調理の音と匂いが漂ってきた。そして、差額として大銅貨4枚を受け取る。

飲食は前払いってことか。




さて、一度収支を考えてみようか。

生活するのに必要なのは衣食住だ。


衣は身につける服。今着ているのが一張羅だ。

いずれ予備の服や鞄なんかも必要になるとして、当面は荷物運び用に麻袋でも追加で買っておけばなんとかなるだろう。


食は当然食事。店で定食が大銅貨1枚なら、朝昼晩食べて大銅貨3枚だ。

最低ラインとしては良いところだろう。


で、住についても、宿に泊まるなら宿代で計算すれば良い。大銅貨5枚。


つまり、1日に大銅貨8枚以上を稼げば良いことになる。

ホーンラビット1匹では足りないが、2匹狩れば十分余る計算だな。


そうすると、お金の価値としては銅貨が100円くらいか。大銅貨が500円ってことになるな。


「なあ、パンを1つ買ったらいくらくらいだ?」


「あん? そんなの、銅貨1枚出せばそこらの屋台で買えるだろ」


シンディが答えてくれる。


「そうか。すまんな、助かる」


価値観は合ってそうだな。



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