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正しい土魔法の使い方 ~理系おじさんの異世界生活~  作者: 麻鬼


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109/127

109話 戦い終わって。

「だんなぁ、宴会には参加しないのかい?」


家に戻って休んでいたところに、シンディがやって来た。


「晩飯は食べたぞ。この後って、あれだろ。田舎で良くやる婚活パーティーみたいな? 俺がいたって居たたまれないだろ」


定番と言えば定番だ。きれいに着飾った年頃の娘に、青年連中がアプローチして、冬の間にカップル成立、とかそんなやつ。

今回は近隣の街や村からも人が集まってるはずだし、さぞ盛大にやるだろう、


「ま、好きにすりゃいいけどねぇ」


そう言ってシンディは手に持った瓶をそのまま口に運ぶ。

お前らは逆の意味で逃げてきたのかな?


「……なあ、だんな。だんなはこれからどうするんだい?」


「え? これからって?」


とりあえず、冬はこたつでミカンは欠かせないな、くらいは思っているが。


「外の世界の探検に行かないのかい?」


「行かないよ?」


「は? なんでさ」


なんで行くのさ?

いくら、世界地図を手に入れたからって、世界の隅々まで旅行しようとか、思わないだろ?

世界中の国に旅行する、なんてやったとしても、点と点での観光にしかならないよね。身近にだって知らない街や村なんて山ほどあるだろうに。

まあ、前人未到の秘境に、自分の知らない素晴らしいものがあるんじゃないか、とか思っちゃうのかも知れないけど、そんなものは無いのよ。

快適な自宅が一番素晴らしい場所なんだよね、結局。


「あたしは、てっきり、だんなは海の向こうに行っちまうもんかと思ってたんだがねぇ」


「ないない。そりゃ、何か用事でも出来れば行くかも知れないけど、目的も無しに行ったりはしないよ」


「……そうかい」


なんでそんな勘違いをしてしまうのかね。


「……あたしは、行くよ。北の大地への探索チームが組まれるんだ。それに参加する。冬の間に準備して。春には出発する」


ふうん。


「まあ、良いんじゃないか。行きたいって言うのなら」


「ああ。行きたいから行く」


こいつも、若者の顔してるんだなぁ。普段は苦労人って感じが強かったけど。


「骨休めに戻ってきたら顔出せよ」


「そうだねぇ。ここは、休むのには良い場所だ。土産話くらいは持ってくるさ」




そうして、慌ただしく準備の冬は過ぎ、春になってシンディ達は旅立った。

地図作成のエキスパートであるマーミャさん、連絡係のクロウディアさんも一緒だ。

一気に人が少なくなってしまったな、マッターホルンも。

まあ、すぐ隣のバードマウントはどんどん人が増えて大賑わいなのだけれどね。

ニーナは相変わらず突然にやって来るが、それ以外でもライオネルさんにドラスレ君、酒場のマスターまでやって来ては、たまに温泉で酒を飲んでいく。

……なんか、おっさん率上がったな。


そんな、ある日のこと。


「ヨシツグさん、緊急連絡ですっ」


俺の寝室に入り込んできたのはエヴァンゼリンさん。

本の在庫でも切れたかな?


「王女様達との連絡が途切れました。指名依頼です。救助に向かって下さいっ」


また、少し忙しくなりそうだなぁ……。

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