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正しい土魔法の使い方 ~理系おじさんの異世界生活~  作者: 麻鬼


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107/125

107話 VSドラゴンスレイヤー。

ステージでは件の司会者がテンション高く場を盛り上げている。


「さあ、予定は変わってしまったがぁ、お待ちかねのエキシビジョンマッチだぁ」


舞台の一方にはドラスレ君。軽装にも見える鎧姿に、腰には両手剣を吊るしている。

そこに向かい合うのが、俺。


「バードマウント領主、ノスト=グランバードがぁ、マッターホルン領主、ヨシツグ=マツダと一騎討ちを行うぜぇぇ」


いや、俺って領主って訳じゃないんだけど。あれはただの私有地よ?

だが、訂正する間もなく、観客は勝手に盛り上がる。

ほんと、あの司会者の盛り上げスキルは何なんだろうね。負けてられんな。


「ヨシツグさん、よろしくお願いします」


く、爽やか青年オーラ満載で、ドラスレ君が声をかけてくる。


「俺は手加減なしだ。出来る全てでやらせてもらうよ」


「望むところです。楽しみですね」


……言ったな。後で後悔するなよ。


「カモンッ、ブラックボルダー召喚っ。ビーグルフォームッ!」


宣言すると共に、地面から出現する車形態のブラックボルダー。

ちなみに、指パッチンは未だに鳴らせない。

出現箇所は俺の真下。そのままブラックボルダーの上に立つ形になる。


「いくぞっ、とうっ」


掛け声と共に運転席へと飛び降り、着座。

このために天井にも出入り口を作ってあるのだ。


「チェーンジッ、ブラックボルダーッ」


前輪が跳ね上がるように車体を起こしたブラックボルダーは、その形を変える。回転し、伸縮し、その変化一つ一つがポーズを取り続ける。

両の足が地面を踏みしめる。

両の手が地面を掴む。

背に大きく広がる翼。

頭部を長い首が持ち上げ、雄叫びを上げる。

同様に長く伸びた尾が地面を叩く。


「ブラックボルダー、ドラゴンフォームッ」


そこにあるのは、黒い竜の姿。

ふはははははははっ。人型にしかなれないと言った覚えはなぁぁい。

当然、他にもマイ・ジェット形態にもなれるのだっ。

変形し始めは静まり返った観客席も、盛り上がりを取り戻す。

一方で、未だに度肝を抜かれたままのドラスレ君。隙だらけだぜっ。

まあ、気持ちは判る。聞いてないよー、とでも思っているのだろう。

だが、世の中とはそういうものなのだ。今日はそれを心の髄まで教えてしんぜようぞ。


「がおぉぉぉぉぉぁ!」


先制攻撃の前爪による横凪ぎの攻撃。

これをとっさに下がることで回避するドラスレ君。

だが、こちらの攻撃はまだ続くぞっ。

ブラックボルダーをその場で一回転させる。

回転に合わせてしなり、伸びる尾。

それは巨大な鞭となってさらにドラスレ君を横から襲う。


「くっ」


ドラスレ君は迫る鞭を背面跳びでかわして着地、剣を抜刀する。

カッコいいな、おいっ。


「行きますよっ」


律儀に宣言してから突っ込んでくる。

それを真っ正面から竜の頭が迎え撃つ。


「ファイアブレスッ」


大きく開いた口から、炎を吹き付ける。

咄嗟に横ステップでドラスレ君は逃れ、炎は当たらない。

しかし、まだっ。

竜の首は炎を吹き出したまま、首を振り、炎による範囲攻撃へと移行。

逃げ道を失ったドラスレ君は再び後退し、距離を取る。


「やりますね。楽しくなってきました」


意外と、バトルジャンキーなのかな?

しかし、君の思うような勝負にはしてやらないもんね。


「今度は、こちらの番ですっ」


そういうと共に、姿を消すドラスレ君。

いや、その素早い動きを捉えられていないだけ。

しかし、ここはステージの上。俺の死角を突いたとしても、観客は目で追っている。

ドラスレ君が、いるのは、上っ。


「まずは、その炎を止めさせますっ」


そう宣言すると同時に、剣を一閃。

それはブラックボルダーの長く伸びた首へと打ち付けられた。


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