106話 緊急動議
「だんなっ出番だっ!」
家に帰って一眠りしていた俺を起こしたのは、シンディのそんな声だった。
「んぇ? 俺のやることなんて、もうないはずだろぉ?」
闘技大会の準備も、予定外に押し付けられただけで、今日の俺は本来、お客様のはずなのだ。
「ってか、闘技大会は終わったのか?」
誰が優勝したのかな? まあ、聞いても明日には忘れてるだろうけど。
「決勝戦が中止になっちまったんだよ」
「うぇ? なんでまた」
闘技大会の決勝戦といえば、祭り最大のイベントじゃないか。
「準決勝で二戦とも相討ちになっちまってな。試合ができねぇ」
なんじゃそりゃ。
「なら、組み合わせを変えて再試合とか」
「全員、まだ意識が戻らねぇ」
酷いな、それ。
「4人分のベッドを並べて、最初に目覚めたのが優勝でいいんじゃないか?」
「いいわけないだろ。客が収まらねえんだよ」
まあ、そうだろうなぁ。
ぶっちゃけ、賭け事とかもしてたはずだし、暴動でも起きそうだ。
代わりに5位決定戦とか……。ダメだろうな。
「どうしようもないんじゃないか? それ」
「それで、ノストとのエキシビジョンをやるってことで、一旦休憩にしたんだよ」
ああ、優勝者への副賞のやつね。
「なるほど。まあ、いいんじゃないか? 誰がやるのか知らんけど」
「だんながやるんだよ。他人事みたいに言ってんじゃねぇ」
パードゥン?
……いや……いや……。
「いやいやいやいや、無理無理、無理だって、嫌だって」
「この間の、あれでいいんだよ、ブラックボルダー。ちょいと盛り上げてくれれば収まるってアイリスも言ってる」
ア・イ・リ・スかぁぁぁ。
「幸い闘技場はでかいし、なんとか行けるだろ」
まあ、予選バトルロイヤルのために大きく作ってはいるな。
うーん。
「わかったよ。じゃあ、俺の方でもちょっと考えてみるから、準備時間をくれ」
「休憩時間が終わるまでで頼むよ」
……こっちの要望、完全無視じゃないか、それ。
しょうがない。とにかく、協力者になってくれる人を集めないとな。
酒場あたりでも探してみるかぁ。




