104話 祭り酔い。
そして、本日が祭り当日。
準備は色々難航した。
結局、森をさらに1区画切り開いて、会場として整備することでなんとか収まった。春になったらここにも家を建てて人を呼ぶ事になるだろう。
祭りの度に街が大きくなって行く気がする。
「活気のある街は、見ているだけでわくわくするでござるなぁ」
俺の隣にいるのはカエデ。他の連中は仕事中とのことだ。まだ街に馴染んでいないカエデを、俺が面倒見ている形になる。
住民たちは力の限り祭りを堪能しようというのか、朝から絶えることなく盛り上がり続けている。
来年からは一日で済まなくなるかもな。
「さて、そろそろかな?」
街を軽く一回りして雰囲気を楽しんだ後、やって来たのは中央広場前。
今日ここでやっと完成した酒場がオープンする事になっている。
建物だけはもっと早くに出来上がっていたのだけれど、オープンには色々準備が要るものらしい。
「ん? あれ、なんか目がおかしいな?」
酒場は予想通りというか、どこの街でも変わらない外見で建てられている。鶏肉の揚げ物メニューのチェーン店か、という様相。
店の前には一目で判るマスター。
そこまでは予想の範囲内だったのだが、う、三半規管が……。気持ち悪い……。
「おお、ずいぶんと大きな御人が居るでござるな」
カエデが指差して見上げる。
……目の錯覚ではなかったらしい。マスターのサイズがおかしい。普段の二倍くらいある。
いつから、ここは世紀末になったんだ。こんなデカイ爺ぃがいるか?
いけない、長く見てると酔うな、これ。
店のオープンはもう済ませているようだが、今いるのは店の前にある特設会場。
ここではこれから、料理コンテストが開かれる事になっている。
「さあ、審査員を紹介するぜ」
司会をしているのがマスター。そして奥の机に並んでいる審査員が、シンディ達。
あいつら、仕事ってこれかよ。
こういうの、なんて言ったっけな? 職権乱用?
「食材は準備済み、飛び入り参加も可能だぜぇ」
山と積まれた食材には、収穫祭らしい農作物の他にも、カカオやサトウキビなどの試験作物に、ニーナ印の豆や香辛料の類いまで揃っている。
あわよくば、新メニューを開発しようという目算が透けて見えるな。
景品も食材詰め合わせらしいし、運営的には二重に美味しいイベントか。
参加者の方も、優勝できれば珍しい食材が手に入る、と士気も高い。
で、その後の顧客開拓にもなるわけだな。
でもな、ここぞとばかりに知らない食材の調理に手を出してくる、チャレンジングな参加者が居ないとも限らないと思うんだが、大丈夫なのかね、あいつら。
まあ、この辺りのイベントは、言わば前座。
メインイベントは、やはり闘技大会だ。
もう少し後になると、こぞって会場に人が移ることになるだろう。
今のうちに席の確保でもしておく方が良いのかもしれない。
え? 俺は参加しないのかって?
するわけないじゃん。




