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第4話  鬼ニ宿リシ、心之光

『先生、おはようございます』


自分の前に、ゆらゆらと浮かぶ八つの影がある。それはまるでモザイクのようで、実体がなく、どの影が誰のそれであるか判別できない。いや、そもそもそれは、人間のものであるかどうかすらも疑わしい。


『先生・・・』

『先生・・・』


そして、その奇怪な影たちは、どうやら自分の方を向いている。腰をくの字に曲げて、ひたすらに『先生』とだけ言葉を発するのだ。


『やあ、捕まえたよ・・・』


すると、八つの影のうち、ひとつの影が躍り出てきた。その影は、見るもの全てを切り刻んでしまうかのような細い目をこちらに向けた。それによって、自分の身体は恐怖に支配される。


「なんだ、お前は・・。来るな。来るな」


怖くて、逃げ出したい気持ちでいっぱいであるが、金縛りにでもあったかのように身体が全く動いてはくれない。


『チャプター9・・・待っていたんだ・・ずっと・・・』


そして、動けない自分に影が絡み付いてきた。そのあとに続くように、残りの影もハイエナのように群がってくる。叫び声を挙げたい。でも、声すらでない。完全なる無抵抗である。絶望を甘受するのだ。そのときの自分の恐怖は、とうに絶頂を迎えていた。



(二)

「うわぁぁぁぁぁぁ」


ナインは、突然にして飛び起きる。

汗びっしょりで、シャツが身体にはり付いてしまっているほどだ。


「夢か・・・」


辺りを見渡すと、天井際に取り付けられた日差窓から薄い朝日がこぼれ、すずめがチュンチュンと鳴く音がするので、いつのまにか朝になったのがわかる。そうだ。自分は、東京陸運保険機構に設置されている狭い喫煙所に泊まり、そのまま眠りに落ちていたのだ。俺は、先ほどの恐ろしいものが夢であると知り、ほっとしていた。だが、心臓の高鳴りは暫く落ち着きそうも無かった。


「ナイン君、大丈夫?」


事務所に隣接しているこの喫煙所での会話は、ある程度、事務所にもれてしまう。そのため、俺の叫び声は事務所に到達していたのであろう。そこで心配になった桐生詩季が、俺の様子を窺いにきたのだ。


「怖い夢でも・・見たの?」


彼女は目が見えずとも、俺の心拍数の異常性からして悪夢にうなされていたと感じとったようだ。さすが、人の鼓動を読み取る力が常人よりも格段に優れているようで、彼女は俺の鼓動のリズムが人が驚いたときのそれと一致しているのを感じたのだ。


「いや、すまない。大丈夫だ・・・」


なんとか落ち着きを取り戻してきたのでそう言ってあげた。それにしても、怖い夢を見ていたのはたしかだが、具体的にどのような夢であったのかは、もうほとんど記憶に無かった。なにが怖かったのかすら思い出せないのだ。


「そう・・・」


詩季は、なんとなく下をうつむいてしまった。だが、ワン・クッション置いてすぐに、彼女は顔を上げて、俺に笑顔を見せた。


「とにかく、おはよう。ナイン君。といっても、まだ朝の7時すぎだから、出勤時間までまだ少し時間はあるけど・・・。もう少し寝てる?」

「いや、もう目が覚めちゃったよ。だから、俺も起きるさ」


そういって俺は重い腰を持ち上げた。そして、ふと、詩季は部屋に違和感を感じて、俺の身体を触りだした。


「あ、ナイン君、すごい汗。着替えないと風邪ひいちゃうわ」


そういわれて、自分の汗の様子を見てみた。やはり、けっこう汗で湿ってしまっているようだ。


「そうはいっても、着替えなんて無いぞ。それにこれくらい、問題ないだろう」

「だぁめ。最初に着ていた戦闘用スーツあるでしょ。ひとまずそれに着替えなきゃ」

「あれか・・」


戦闘用スーツ、たしかに最初はそれを着衣しており、そこに脱ぎ捨てたのを置いているが、強く身体を絞めつけるので、できればあまり着たくはない。


「わかった・・」


俺はびっしょり濡れて、脱ぎにくくなったシャツを必死に脱ぐと、上裸になる。


「てか、別にこれでもよくないか?君は、目が見えないし・・」

「そうだけど・・・。気分的に嫌・・・。それに、そのままだと寒いよ」


外を見ればわかるが、季節はもう秋の終わりである。上裸でいられるほど温かい気温はとっくに過ぎ去ってしまっているのだ。それにしても、彼女に毛嫌いされている気がしてショックであった。


「これも、インフォーマルな生活に似つかわしくはない代物なんだがな。気分的に嫌ならしょうがないか・・」


事務所において、ひとり戦闘服を着ている光景を想像すると極めて滑稽であった。だが、女性に嫌と言われては仕方がない。


「あ、ちがうの、ナイン君の裸が嫌とかじゃなくて、なんとなく、私が恥ずかしいから、気にしないで」


詩季は、慌てて訂正してくれた。それを聞いて、俺は結構救われた気がする。


「いいよ。俺も女性の前で、不適切な行動を採りたくないからな。ひとまず、これを着ておくよ」

「ありがとう」


俺は改めて、きつきつの戦闘用スーツに足を滑り込ませていった。


「ひとまず、それを着たらナイン君の服、買いに行こう」

「って、これで外を出歩くの?」

「うん。だって、私、紳士服なんて持ってないし、ここにはそんなものもないよ」

「そうなのか・・。なら、詩季が適当になんか買ってきてくれよ」

「私、目が見えないから、ナイン君が似合う服なんて全然わかんないもん。間違って、スカートとか買ってきちゃうよ」


詩季は、いたずらな笑みを浮かべて答えてくれた。それにしてもこの女、自分に都合の悪いときだけ、盲目の少女でいるとはふざけている。どうやっても、生きた感度センサーである彼女が間違ってスカートなんて買うわけがないだろう。どうやら、彼女は一人では買い物に行きたくないようで、少しだだをこねているのだろう。


「ったく、わかったよ。でもさ、仕事までそう時間ないだろう?」

「え?そんなの全然大丈夫。一応、拘束時間は8時30分からだけど、私たち何にもやることないもの。社長には、ナイン君の生活必需品を買いに行ってましたって言えば、オッケー」

「ええ?いいのか、そんなんで?」

「大丈夫だよ、ほら。早く行こう」


詩季は、なんとなく要領の得ない俺の背中を押して、事務所の外へと追いやっていく。

ふと、そのとき俺は彼女の足元に這いつくばっているきゅうすけと目が合った。

彼は、俺に対して同情をしてくれているようであったが、すぐに知らん顔して目を逸らした。


外に出ると、ひんやりとした冷気がふたりと一匹を包んだ。事務所の中にいる限りわからなかったが、外は結構寒い。あのまま湿ったシャツを着ていれば、高確率で風邪をひくという結果になっていただろう。


「それで、どこに行くんだい」

「えぇっと、町田の駅前にファスト・ファッションのお店があったから、そこまで歩いて行きましょ」


早朝であるということもあってか、街は相当に静まり返っていた。そもそも町田市自体、人口の多い街ではなくなっていたため、すれ違う人はほとんどいない。どうやら、すれ違う人々に蔑まれながら歩くという可能性は低いようで安堵した。


「それにしても、君は歩くの早いな。そんなに早く歩いて怖くはないの?」


詩季は、きゅうすけに引かれながら、まるで盲人とは思えないほどのスピードですたすたと歩くので、俺は舌を巻いた。


「もう、ずっとこの街を歩いているもの。それにきゅうちゃんがいれば、私、最強よ」


少女は、さらにスピードをあげてみせてくれた。きゅうすけも、なにやらどや顔で俺の方をみて、調子に乗っているようだ。


「おい、そんなに早く歩いたらさすがに・・・」

「きゃあ」


言わんこっちゃなかったようだ。調子に乗った彼女は、石に気づかず、そこに蹴躓いてしまった。


「いたぁい・・」


詩季は、転んだ拍子に膝をすりむいたらしく、負傷箇所をさすった。


「大丈夫か?」


俺は急いで彼女のもとへ駆け寄り、スーツに装備されていた簡易救急セットを取り出した。そこには、消毒液に浸しこんだガーゼと、絆創膏が内蔵されていて、擦り傷の手当にピッタリであった。


「調子に乗るからだ。ほら、足をみせて」

「あ、うん・・」


俺は、パックをあけて消毒液でびっしょりのガーゼを取り出し、傷口に当てる。すると、血液と混じった消毒液が滴り落ちてくる。


「しみるか?」

「ううん、大丈夫」


負傷箇所の防腐処置が完了すると、そこに絆創膏を当てた。


「よし、これで大丈夫だろう」

「あ、ありがとう・・」


彼女は、しりもちをついたまま張られた絆創膏を数回指でさすり、少し赤くなった顔でぼぉっとしていた。俺はなぜかそんな彼女の様子にどきっとした。


「それと、詩季」

「何?」

「パンツ見えてる」


彼女は、俺の助言により現状を認識すると、顔を真っ赤にした。


「もぉやだぁ。最低」


彼女は慌てて立ち上がった。すると、どこからともなく俺の頬に強烈な平手が飛んできた。


「ナイン君の馬鹿」


そして、彼女は俺を置いて、ひとりすたすたと先に行ってしまった。


「なぜ俺は叩かれなければならないんだろう・・・」

「わんわん!!」


頬をさすりながら、ぼそりとつぶやいた。


(あれ?でも俺、よく救急セットがこんなところに入っているなんてわかったな)


取るに足らないことだけれど、とっさの判断で救急セットを出していた自分に驚いた。なにせこんな服のポケットにそんなものが入っているなんて、誰も疑わないから。やはり、以前の記憶がそうさせたのだろうか。いろいろ腑に落ちない点が残ったが、ふくれている少女をなだめに行くことにした。


(三)

その後、ナインが公益社団法人東京陸運保険機構に入社して3日が経過した頃である。


最近、俺は読書にはまっている。実はここの事務所から徒歩5分のところにそこそこ大きな本屋があって、仕事が19時に終わると毎日(といっても3日だが)本を買いにいっては仮眠室で読み漁った。ちなみにこの時にはまっていたのはニーチェの著作であり、かなり難解であるが時間を忘れて読みふけっていた。よって、今ではこの喫煙所は簡易的ではあるが、俺のための書斎と化しており、所内の喫煙者も気軽に利用できずに困っている。中には、近くのカフェテラスまでたばこを吸いに行く者まででる始末である。しかし、言い分があるのならば代表理事に言ってもらいたい。ここに俺を置いたのは紛れもなく彼女である以上、自分が非難されるのは筋違いだろう。という感じで開き直っているくらい、もう事務所のメンツとしてなじんでしまった。


そんなこんなして、3日が経過した次の日であった。弥生遼子から新しいことがわかったから早くガレージに来るよう連絡が入った。

弥生は、待たされると怒るので、すぐに事務所の隣にあるガレージへ向かう。今はもう、あの時に持ち帰ってきた鬼の残骸はとうに処分されており、すっかり片付いてしまっているようだ。俺のオーガはガレージ隅のほうに立っていた。


「あ、ナイン君、遅いわよ」


弥生はなにやら落ち着かない様子だ。連絡を受けてすぐに出向いたつもりであったが、それでも怒られる始末。とはいえ、彼女が落ち着かないというのであるから、何か大きな発見があったのであろうか。


「まず、君に渡しておきたいものがあるから・・、これ」


それはなにやら鍵のようなもの。ようやく自分の部屋がもらえるのであろうか。いや、そうだとしたら、この弥生という人間はわざわざこんなところに俺ごときを呼んだりはしないはずだ。なぜなら、彼女にとって俺の部屋など心底どうでもよいから。他人の新しい部屋など、彼女にとっては瑣末なもので、関心などあるわけがない。ましてそのために焦燥しているなどありえない。弥生遼子という女性は、喫煙所で寝ているこの男の近くに鍵を投げておいておくような人間なのだから。ならばこれは一体何であろうと、ナインはありとあるゆる角度からまじまじとそれを観察する。


「あんた、何でそんなに懐疑的に調べてんのよ?これはただの『オーガの鍵』よ。オーガのコックピットに入るのって結構厳しいみたいだったから、私たちがプログラムをちょっといじって簡単に開けられるようにしたの。見てて、こんな感じ」


弥生は、鍵についたスイッチを押した。

すると、鬼は身体の間接部分などから薄緑色の光を一瞬だけ放っては鬼の股間のあたりの筋肉が遅滞なく開き、同時に鬼は人が乗り込みやすいようにしゃがんでくれた。まるで車のエンジンキーであるが、これならば、すぐにでも乗り込むことができる。しかし、プログラムなんてどうやっていじったのだろうか。


「ね、簡単でしょ。この鍵はあなたにあげる」


弥生はこちらに近寄り、鍵を手渡してくれた。鍵には、変な生物を象ったキーホルダーが付着していた。彼女の趣味であろうか。


「ありがとうございます」


俺は変なキーホルダーが心底疑問だったが、一応彼女に対して頭を下げた。だがその時、弥生は何かを呟いた。


「ねぇ、ナイン君。あなた本当にこれに乗るの?」


頭を上げて、弥生の表情を見ると、いつもは強く頼りがいのある表情をしていた弥生であったが、この時ばかりはそんな弥生の強さも忘れてしまうほど暗く沈んでいた。


「あのね、実は昨日整備の子が調整のためこれに乗って、sword プログラムを起動させたんだけど、そのせいで謎の病にかかっちゃったのよ。幸い命に別状はないみたいだけど」


swordプログラムとは始めからこの鬼に積んであったもので、自己の腕を剣にかえるものである。まさか、たしかに俺はあの時そのプログラムを実行しているが、少しぞっとする程度の気持ち悪さしか生じなかったはず・・。


「そんなことって・・」

「ほら見て、鬼の胸部」


弥生はオーガの胸部の光る部分を指差した。俺もそれに続く。


「あれはオーガの心の光なのよ。薄緑色でなんだか宗教的色彩があって薄気味悪いでしょ。基本的にはどのオーガもあの光を持ってて、講学上は精神球体とかメンタルスフィアとかいわれているわ。そして、オーガは殺した人間の魂をその光の中に吸収するとされているのよ」

「じゃあ、その整備員の人も、これに魂を吸われたってことですか」


弥生は頷く。考えてみれば、対峙した鬼全て、このような光を胸から放っていたのだ。しかし、この目の前にいるオーガの光の強さは質的・量的にも他の鬼のそれとは比べ物にならない。おそらく、このオーガは無数の屍を積み重ねた上、その怨念や憎しみすらもその糧として用いているのである。まさに外法の賜物といわざるを得ない。


「このオーガは、間違いなく乗り手の魂を食らう鬼。これに乗り続けていたら、あなたはナインですらなくなる時が必ず来るわ。それでもあなたはこれに乗るの?」


弥生はいつもよりも強いまなざしで俺を直視する。この人の人柄でもないのだが、彼の身を案じてくれているのだろうか。否、俺が万が一心を失ったとき弥生自信やその仲間に生じる危険を懸念しているのだ。しかし、もう戻ることは許されない。

俺はゆっくりと、かつ深く頷いた。


「そう、決意は固いのね。この文書に私が調べたことは全部書いてあるから、しっかり読んどいて。それから明日からはちゃんとそれに乗ってもらうわね」


そういって、弥生はいつもの彼女に戻り、2,3枚のレポートを私に手渡して行ってしまった。レポートのアウトラインだけを見るため、ぱらぱら紙面をめくると、彼女にしてはやや内容の薄いものを作成したようである。早速、俺はこれを見ることにした。


―The executioner 9について―

おそらく、the executioner 9とは、あらゆる鬼の試作機的存在であるとして、ここではこれを『プロトオーガ』と呼ぶことにする。

まず、巷にあふれている餓鬼(いわゆる下等オーガ)とは明らかにその構造を異にする。

第1は、一般的な鬼の筋肉には人工筋肉(これは我々も入手可能素材)が用いられるのに対して、プロトオーガのそれは、塩基配列構造がきわめて人間のそれと似通っているということである。このことから、プロトオーガは人間の死体か何かを培養して作られた、外法学上の外法物であると推論する。なお、外法物の定義に関してはここで詳説しないが、外法学概論でも説明されている通説的見解を前提とする。すなわち、実物のアンチテーゼである虚物を全部ないし一部分でも有しているものを外法物という。たとえば、実物に1パーセントでも虚物を含むのならそれは外法物にあたる。

第2に、操縦者の有無という点が挙がる。そもそも、我々を含めて、オーガは無人、もしくはそれ自体の意思を持って動いているものと考えられていたが、このプロトオーガの操縦者である『ナイン』という人物を発見したことで、これまでの通説的推論が根底から揺さぶられたのである。したがって、幸か不幸か、学会でも少数派であった鬼有人説が日の目を見ることになる。もっとも、ここで鬼有人説を詳説しない。なお、いわゆる下等オーガに関しては、人間の搭乗記録はないので、これは無人であると見てよさそうである。

ここで、鬼有人説が妥当するとすれば、少なくとも鬼は自然発生的に出現したのではなさそうだ。とすると、この鬼による叛乱はおそらく人為的な結果であろうか。早く首謀者を特定する必要があろう。ただ、間違いなくその首謀者はいずれかの本隊に潜んでいるはず。


また、プロトオーガの正式名称がthe executioner 『9』 であることと、敵の本隊が『9』あったこと(浦和の本隊は先日壊滅しているので残りは8だが)は偶然ではないと考えられる。つまり、それぞれの隊の隊長機的役割を担っているのがプロトオーガである。このことから、少なくとも我々はあと8体ものプロトオーガを破壊する必要がある。

私自身プロトオーガを観察したところ、あれは恐ろしすぎる力を秘めていた。操縦者のナイン氏は恒常的な記憶喪失であり、ほとんどこれを使いこなしてはいないようであるが、記憶が戻った時、どれほどの力を発揮するのか全くもって未知数である。少なくとも、現在我々が難攻不落であると考えている通称、赤鬼以上の強さをこのプロトオーガは有しており、逆説的には赤鬼を倒せないようでは、その後ろに控えているプロトオーガをはじめとするより凶悪な鬼に勝てるはずもないのである。

 

プロトオーガは、操縦者のメンタルポイント(MP)を吸収して、それを動力として活動すると解される。ここで、メンタルポイントとはおそらく操縦者の精神力を数値化したものである。もっとも、個人のメンタルポイントをどのように算出するかその基準は全く明らかではないが。個人差は非常に大きいと考えられる。

実際に、作業員である甲がおよそ600MP使用しただけで倒れたのに対し、ナイン氏は前回の戦闘記録からおよそ8000MPも使用したにもかかわらずこれといって問題が生じなかった。

また、人間から抽出されたメンタルポイントは、オーガ一般にとってその中核をなすいわゆる精神球体(メンタルスフィア)によって吸収される。


さらには、このプロトオーガ自身に備わっている自己再生機能も見逃すわけにはいかない。我々がこれを回収した時点において、戦闘による損傷があちこちに見られていたが、その3時間後にはその損傷も綺麗に治癒されていたのである。このことからも、オーガの生命体的な側面が窺えるといえよう。


あとはプロトオーガの写真などが6葉添付されている。




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