第45話 鋼鉄の聖女
其処は草原が果てしなく広がる大地。地平線の彼方まで、緑色の大草原と青空だけが続いている世界。そんな広大な大地に、1体の巨人とひとりの少女が向き合っていた。
そよかぜが花びらを舞い上がらせながら、草原をくるくると駆け回る中で、巨人は、少女に問う。
「君は、ボクを使って、何をしたいの?」
少女は答えない。その問に対する明確な答を、少女は持っていなかったから。
だから、巨人の問いかけは、風と共に少女の横をただ通り過ぎ去っていくのであった。
しかし、答える代わりに少女は友達の巨人を見つめ返す。兄のようで、弟のようで、父のようでもあるその巨人を、少女はただじっと見つめるのだ。
もはや瞳を失ったその虚ろなひとつ目に、いったい何が映っているのかは少女には理解できない。もっともかくいう少女も、それと同じくらい、自分の心や気持ちというのも理解できないから、彼女も人のことを言える立場にない。
だが、少女は巨人のことが大好きだった。それだけは誰にも否定できない真実であった。だから、少女は巨人に笑いかけた。
巨人は相変わらず虚ろな目のままで、無反応である。魚のように死んだ目をして立っているだけ。
「私・・最初はどうでもよかった・・・」
チャプター9の結果がどうなろうと、少女にとって特段の利害はなかった。少なくとも、孤独な自分ごと、この世界が消えてしまえさえすればそれでよかったのだ。それが、少女の最終的な願いであり、そのあとに来る世界の変革は少女にとって付随的なものに過ぎなかった。
「でも、アトラスが教えてくれた・・・」
だが、今はそんな少女の心に、純粋な欲望の欠片が生まれつつあった。
自分が望む世界がちゃんとあったのだ。
それは、御伽噺の中だけにしか存在しないような世界。
全てがハッピーエンドの予定調和にある、夢のような世界。
世界は花や木に囲まれていて、たくさんの動物たちも野原を駆け回っているのだ。しかも、そこに住む住人はみなおおらかで、楽しい人たち。朝から晩まで口笛を吹きながら羊を飼い、夜は皆でキャンプファイヤーを囲み、踊ったり、謳ったりする。それはまるで、この少女が幼い頃に絵本で見た世界そのもの。
そこは、文明が生み出した資本主義という欠陥だらけのシステムから完全に解き放たれている。さらにはそこに異文化との外交という軋轢も存在しない。ひとつの小さい集落こそが、その世界の全てである。これこそはまさに回帰的原始世界というべき夢のファンタジー世界。
過去に置き忘れ、長いこと冬眠していた人間の本性に基礎付けられるノスタルジアこそが人類普遍の最高価値なのだ。最高の価値とは民主主義でも、平和主義でも決してない。
―調和-
そう、ここでは便宜的にこれを調和主義とでも称しておくとして、これこそが停滞してしまったこの社会を根底から揺さぶるに必要な基本原則である。人間はあくまで自然の一部であり、世界を分類してしまう理性などというものはここには存在してはならない。世界の調和をことごとく分断し、破滅させてしまうから。
人間は、その本能や感情に従って行動すればよい。それこそが、その小さいコスモロジーの内部にあるひとつの歯車として、人間に求められるただひとつの役割なのだから。
少女は、そんな世界を胸に抱いた。
「袴田先生・・・ごめんなさい・・・あなた・・・もう邪魔・・・・」
袴田の世界などくだらない。欺瞞と世俗にまみれた劣悪な世界である。
彼の世界は、厳格に機会の平等を貫く世界であり、時には隣人同士で蹴落としあいが生じかねない闘争世界である。そのうえ、闘争の勝敗を決めるのは、人間の観念により作り出された財の総量ということになるだろう。それならば、俗の域を全くでないのであり、チャプター9を実行する意味がない。
そんな男にこの世界を明け渡すくらいならば、このアトラスを駆り、自分が最終の債権者となるしかない。そして、袴田にはここで退場してもらうのである。
「そのまえに・・・・あの子を斃さないとね・・・・」
巨人はゆっくりと頷いた。
皇居外苑付近において、山のようなオーガと非常に小さな聖女が戦っていた。もっとも、聖女が小さいのではなく、相対するオーガの方が桁外れにでかいだけである。
「エネルギー流入開始。同時に、ゼロ収縮開始。出力安定・・」
聖女メイデンの右手には、大きなエネルギーソードが形成される。異次元から流入した外法エネルギーに秘められるあらゆる移動可能性を、ある特定の方向のみに100パーセント向かうようにする。それによって、膨大な量のエネルギーが一点のみに向けられるから、純粋なエネルギーソードを作り出せるのである。
「行くよ」
新生メイデンの碧きメンタルスフィアが燃える。すると、虚物化の外法技術を会得したのだろうか、一瞬にして、アトラスの喉笛にたどり着き、エネルギーソードを突き刺すのだ。
「・・・・・」
だが、アトラスの装甲表面には無数の対空砲が備え付けられており、敵が現れることを条件に、すぐさま反射的行動にでるのだ。レーザーの雨が、メイデンを襲う。
「簡単に攻めさせてはくれないのね」
「うん・・・ごめんね・・・」
しかもこの対空砲火は、あらゆる属性・方法によって侵入者を撃退せんとする。そのため、メイデンの周囲を舞うシールドによってしても、これを全て防ぐことは不可能だ。
「でも、それがどうかして?」
だが、そのようなダメージなど、この聖女の前では大したものではない。多少の肉を切らす代わりに相手の骨を断てればよいのだ。
メイデンのエネルギーソードが一瞬にして火を噴いたように巨大化する。それは巨大なアトラスを十分に貫き得るほどの大きさにまで膨れ上がったのだ。ただ一点のみにしか向かうことのできなかった膨大なエネルギーたちのフラストレーションが、ついに爆発したのである。
アトラスの喉笛から背中までを、巨大エネルギーソードが貫いていく。
「あはははははは。すごいよ、メイデン。いったい、アナタ、どうしちゃったの」
まもるは、うれしくてたまらなかった。つい最近まで、プロトオーガに歯が立たなかったこのメイデンが、これらと互角以上の戦いができるようになったのだから。
傷ひとつ負わすのが困難であるプロトオーガに、攻撃を到達させ、そのうえで多大な損害を生じさせているのだ。これがうれしくないはずがない。こんな自分でも、プロトオーガを斃し得るのであるから。そのためか、まもるは、早く次の攻撃をしたくてうずうずしている。
「その程度なの・・・まもる・・・」
だが、そこにアトラスの本体は存在しなかった。アトラスは、その装甲のうち一部を犠牲に空虚なハリボテを作成し、身代わりとする。メイデンが破壊したのはこの外殻にすぎない。
「今度は、私の番ね・・・」
アトラスは、バズーカと融合したような右腕を構え、メイデンのはるか後方に出現する。すると直ちに、そのバズーカのような武器が桃色に輝く威光を放つ。それと同時に、アトラスの中にいるフォースが愉悦に浸った気がした。べたつくような嫌な感じが、まもるの肌をそわそわさせて仕方がないのである。
そしてまもなく、衝撃とともにこの皇居周辺を漂っていた濃密な同色の霧を吹き飛ばし、光差す途がアトラスとメイデンをつなぐ。
「まもるは、その子を使って何をしたいの・・・?」
ミラーボールのように周囲を満遍なく照らしていた桃色の光が、轟音を立てながらメイデンという唯一点を目指してゼロ収縮する。もちろん、光の絶対量があまりに多すぎるため、唯一点のみに光が収まるべくもなく、アトラスの腕よりも大きい光の筒となってようやく落ち着くのだ。そして、その光に触れるものを全て朽ち果てさせる。まさにそれは、巨人アトラスにふさわしい、光の巨剣である。アトラスの右腕は、兇器そのものと化したのだ。
「きゃああああああ!!!」
光り輝く天の川にも似た、その強大なつるぎは、メイデンをすりつぶしていく。肉を浄化し、血を沸騰させ、生命の根源を否定する巨大な力。この高等執行官アトラスに秘められた、圧倒的パワーが炸裂したのだ。
「まもるには理念がない・・・チャプター9はイデオロギー同士の戦い・・・・世界を創っていこうとする強い意思だけが全て・・・・・でも君にはそれがない・・・」
さらにアトラスは、その巨体を宙へ持ち上げる。100メートルもの超巨体が、重力法則に逆らって天を舞うのだ。他方で、その右腕の剣には、メイデンが突き刺さったままである。
それにもかかわらず、ある程度の高さまで来ると、アトラスは急降下する。そのままアトラスは、剣を大地に突き刺そうとしているのだ。想像を絶する質量を有する巨体が落下するのだ。その時に生じる重力加速度をアトラス固有の攻撃力に乗じた場合、その破壊力はいかほどのものであろうか。
「まもるは出直して・・・」
大地に剣が突き刺さると同時に、磁気嵐が発生する。土地が勢いよく隆起すると、衝撃波が周囲に拡散し、大地に埋まっている巨大な岩盤を持ち上げて、それを粉砕する。皇居そのものが吹っ飛んでしまうのではないかと思うほど、大地がメリメリと引き剥がされていく。
無論、この強大なジェノサイドの中心にいる敵が生きている可能性など、万に一つもありはしない。いかなるものであろうとも、例外なく塵となって、大地へと還るのだ。
「まもる・・・楽しかった・・・」
フォースは、大地の破片が宙に舞う、濃密な桃色の光の中心を見て笑う。
「チャプター9・・・?なにそれ、おいしいの?」
「え・・・?」
だがフォースは、激動の世界の中で、聞こえるはずもない声を聞いた。敵の声をはっきりと聞いた。
アトラスの巨大なエネルギーソードをもって、その全体重をもって、アトラスの最大出力による大災害をもたらしたというのに、敵はまだ生きているのだ。
(この子、アトラスの攻撃を耐えたというの・・・)
小隕石が衝突したかのように穿たれた大地。大地が一部、ごっそりと抉り取られているのだ。だが、それにもかからわず、粉塵のはれゆくさきには、忌々しい鬼女が仁王立ちする。
ありえない。ありえるはずもない。これは、下級執行官ですら蒸発させる一撃なのだ。これをまともに喰らって生きているはずがない。
しかし、前方の鬼女は、その両手で、アトラスの大剣を受け止めていたのだ。10倍以上もあるこの巨体を、その華奢な身体だけで受け止めているのだ。
フォースは、いったん、メイデンに刺さろうとしている剣を引き抜いて、これと距離を置くことにする。対して、メイデンは、服についた汚れでも払い落とすかのようにして、余裕綽綽、体裁を整えるだけである。
「さっき、アナタ、私にチャプター9はイデオロギー同士の戦い・・。そう言ったわね」
「それが・・・何?」
「アナタたちがやろうとしていること、それがチャプター9ってことは、なんとなく気づいてはいたけど・・・、それっていったい何?アンタたちは、いったい何を目的にチャプター9を引き起こそうとしているの?」
「団堂先生・・言ってなかった?」
「あの野郎が言うわけないだろ」
「随分と彼のこと・・嫌っているのね・・・」
「そんなこと、アンタには関係ないだろ」
「そう・・まあいいわ・・。チャプター9とは、この世界の倒産手続をいうの。わかりやすくいえば、会社を倒産させると、その法人格が消滅するでしょ。チャプター9は、会社の倒産とパラレルに考えてくれればいいわ」
「要するに、世界を滅ぼすつもりね」
「そういうありきたりで無目的なものとは一線を画するものよ・・チャプター9は・・。終わりは、始まりのためにある。新たに生まれた新世界で、再生を担っていくのもチャプター9の役目・・・。私の理想はそこにある。チャプター9で、私にとって、すばらしい世界を創っていけるのだから・・・。一応ね・・、そのメイデンに乗るまもるにも、これに参加する権利がある・・・そして、チャプター9を生き残ったものには世界のルールを定めることができるとされるの・・どんな願いでも叶うのよ・・・」
「どんな願いも・・・」
願いが叶う。
その魔法のような甘い言葉は、すぐさま、まもるの思考を溶解させる。
(私の願い・・。決まっている)
自分が切望する願いを認識した途端、彼女は、急に動悸が強くなり、興奮を始める。
「死んだ人も生き返らせられるっているの?」
「うん、まもるがそういうルールにしたいなら・・・」
フォースはゆっくりと頷いた。
「そうなんだ・・。しーちゃんが生き返るのね」
「うん・・・規定上は問題ない・・・」
「しーちゃんと私だけの、幸せな世界を創れる。それって、すごくいい!」
まもるは、コクピットの中で飛び跳ねそうになった。
「でも無理・・・君はここでアトラスに食べられちゃうから・・・まもるの夢は、ここでおしまい・・・残念でした・・・」
フォースがそういうと、メイデンの身体に突き刺さろうとしている剣は、さらに膨大な量の外法エネルギーを外部から調達し、倍加する。それはまるで、天を焦がす火柱のように、大地から空へ向けて燃え上がる。一気に出力が向上し、メイデンの腕を吹き飛ばすほどの威力となる。それによって、メイデンのボディに剣が突き刺さるのだ。
「それに・・まもるの世界は最低・・・そんな世界を創って誰が喜ぶの・・・?そのお友達も喜ぶの・・?」
「うるさい!!」
「・・・・」
「お前に、私の苦しさが分かる?はじめての信頼できる友達なのよ。その子が私の目の前で殺されたの。しかも、その子が一番大好きだった人に・・・。私は、その子の幸せな顔を見ているのが好きだった。私と同じくらい辛い思いをしてきたのに、真直ぐに生きているあの子が好きだった。その子と、また一緒になれるの。そのためなら、こんな世界、片っ端からぶち壊してやる!」
メイデンは、できる限り多くのシールドを前方一点に集め、桃色の光の途を逆走する。一気にアトラスの元へと駆けるのだ。
「そんなのただのひとりよがり・・・・そんなの誰も望まない・・・望みたくもない・・・あなたの欲望に付き合わされるお友達も可哀想・・・」
「うるさい!うるさい!お前なんかに、私の気持ちがわかってたまるか!しーちゃんは、生き返りたいに決まっている!お前みたいなやつが、しーちゃんを騙るな!」
突如として、アトラスの右腕が切り落とされる。巨大な構造物が、ゆっくりと陥落していく様子は、ビルの倒壊にも似ている。
「ひとつ、忠告するわ・・・死んだ人は、あくまで死んだ人・・・必ずしもそこに同じ魂が宿るとは限らない・・・下手をすれば、最悪の世界が、まもるに待っているかもしれない・・・」
「それでも私は、可能性がある限り、なんだってする。もう一度、しーちゃんと一緒になれるなら!」
メイデンは、さらにアトラスの真上に飛んだ。
「メイデン、ファイナル・バースト・モード・・・」
「馬鹿な子・・・」
メイデンは、ありたっけのシールドや装甲を胸部に集める。そして、それらを再構成し、巨大な砲台へと作り変えた。
「ブラック・マリア、発射・・・」
聖女の青い心の光に、暗黒の力が結集する。すると、大巨人の心が急にわななきだした。およそ阻却することが不可能な攻撃能力に加え、計測不能なほどの攻撃力を感じる。それは、この巨大なアトラスの耐久能力をゼロにしてもなお、有り余るほどの力を秘めている。
「何・・・この力・・・」
フォースにとっては信じられない出来事だ。自分は、まぎれもなく鬼どものヒエラルキーの高層部に君臨する高等執行官である。にもかかわらず、この高等執行官を易々と凌駕する存在などありえないのだ。それが最高執行官でないかぎりは・・。
「さようなら。フォース・・・」
「そう・・・アトラス・・・私のことを見捨てるのね・・・・あの子の方が気に入ったの・・・」
巨人は最後にゆっくりと頷いた。
そして、メイデンの巨大な砲台から、ものすごい量の黒い泡が、すごいスピードで放出される。すると、それは直ちにアトラスとメイデンとの間に、黒い泡の架け橋を形成する。無数の大きな泡だけで作られた、黒くて異様な橋である。それはまるで、天空にかかる暗黒の天の川。闇の水泡で生まれた川の流れ。
巨大な黒い泡の群れは、アトラスの全身を包んでいく。まるで泥水を上からどっぷりとかけられたようになり、全身は黒一色となる。その中では、溶解もしくは圧縮などが起こっているのであろうか、外からは全く明らかではない。大巨人の咆哮も含めて、その黒い泡の中に閉じ込めてしまっているのだ。
しかしながら、いずれにしても、泡たちはみるみるアトラスの肉を吸収し、その体積を小さくしていっているのは外形上明らか。アトラスという巨大な存在が消滅しつつあることだけは、どうにも確からしい。
泥の山が、まるで雪崩のようにすそを伝って、頂上から崩れていく。
しばらくすると、それは広大な湖のようになってしまうのだ。もっとも、湖というには、あまりにも黒くて気持ちが悪いものであるのだが。
「あーはっはっはっは。斃しちゃった」
まもるは、高笑いしながら、その黒い泡の溜まったところへ向かう。
すると、メイデンの接近に反応して、役目を終えた泡たちが、メイデンの身体にずるずると引き寄せられては、そこに吸収されていってしまう。みるみるうちに、メイデンも黒い聖女に変貌させられてしまうのである。
「くくくく・・チャプター9ね。これに生き残れば願いが何でも叶う。いいこと聞いちゃった」
つい先ほどまでメイデンであった黒い塊の中から、強い青い光が瞬き始める。それと同時に、黒い固まりは巨人の外形に再構成されていく。また、肉を割くようなみしみしとした痛々しい音が聞こえると、肉を突き破って何かが次々と出てくる。どうやら、アトラスの力を承継したメイデンに変化が生じているらしい。
その肉体から生えたのは、なんと巨大な腕と足である。もっとも、アトラスほどの巨大さはないが、それでもメイデンは、何もかも粉砕しかねないほど巨大な手足を手に入れたのだ。
次第に、黒い泡は完全にメイデンの内部に吸収されてしまい、中にいる聖女本来の姿がようやく現れる。基本的には、もとのメイデンの身体を媒介としているので、美しい聖女の顔は残されている。だが、これが纏う新たな鎧はあまりに兇悪な漆黒の鎧である。
もう聖女などとは呼びたくもない。どちらかといえば、これは魔人である。
「すごい・・・これがプロトオーガ、アトラスの力なのね」
まもるは、改めてその巨大な右腕を見つめる。それだけで、彼女はこのオーガの得た桁外れの力を実感することができた。あまりに感動的であり、その指を動かすしぐさひとつでさえ、しびれてくる。今までのメイデンにはなかった、圧倒的攻撃力をようやくものにしたのだ。
「これなら団堂に勝てる。行くわよ、アイアンメイデン。団堂をぶち殺して、しーちゃんとの世界を創るの」
アイアンメイデンは、桃色の霧に紛れながら、どこかへ消えてしまった。