ヒーローは海が似合う
海の似合う仮面ライダーといえば、Xライダーが思い浮かぶでしょうか。
私は波しぶきを背景に立つ新1号ライダーが好きです。
放映開始から50年を過ぎても人気のある『仮面ライダー』ですが、放映当初より『早期打ち切り』も懸念されていたようです。
武 頼庵(藤谷 K介)様主催『if物語企画』参加作品です。
1971年4月に放映開始した仮面ライダーは、その後の後継シリーズやリメイク作品が次々と登場しました。
今でこそ日本の特撮ヒーローの代表とされる仮面ライダーシリーズですが、最初の『仮面ライダー』の制作側では放映開始前から大きなトラブルに見舞われていました。
主役の本郷猛役の藤岡弘氏が撮影中の事故によって、足を骨折して主演を続けられなくなったのです。
藤岡弘氏の映像は10話まで撮ってあり、11~13話では過去の撮影分を使いまわしました。
さらにアクション担当としてFBIの滝和也というキャラクターが登場しました。
(滝和也は漫画『仮面ライダーSPIRITS』ではガイコツ型スーツのヒーローになってます)
1971年の夏、第14話で佐々木剛氏演じる一文字隼人が登場し、主役が交代となりました。
本郷猛は外国のショッカー支部と対決するために日本を離れている、という設定になっています。
この一文字ライダーの登場を機に、『仮面ライダー』は大きな転機を迎えます。
まず、このような感じで番組のイメージが一新されます。
・変身ポーズが導入され、マネをする子供が増えた。
おもちゃの『変身ベルト』がヒット商品に。
・それまでの怪奇・スリラーという作風から、ヒーローアクションものに変わった。
・仮面ライダーのマスクや体に銀色のラインがはいって、よりヒーローらしくなった。
・コミカルな一文字隼人のキャラクターが子供にも人気が高かった
この変更によって人気・視聴率が爆発的に上がり、『変身ブーム』というある種の社会現象にもなります。
スナック菓子のおまけカードが人気を博した一方、『ライダースナック投棄事件』もおきました。
40話・41話では足の手術の終えた藤岡弘氏が一時復帰し、1号2号の共闘するダブルライダーとなりました。
53話以降は、藤岡弘氏が新1号となって主役に復帰。
2号はその後も何度かゲスト出演していました。
仮面ライダーは高い人気を誇ったまま約2年放映されて98話で終了、後番組の仮面ライダーV3に引き継がれます。
さて。もしも藤岡弘氏の大怪我がなかったら『仮面ライダー』はどうなっていたでしょうか。
この物語は、悪の組織に改造されたバッタ怪人が他の怪人と戦うものです。
ヒーロー番組というより『怪奇もの』であり、暗い話が主体でした。
良作の番組ではありましたが、小さい子供からの人気は限られていたかも。
怪奇もののままで進んでいた場合、その後のヒーロー番組の定番となる『変身ポーズ』もなかったでしょう。
番組に深みを与えた滝和也も登場しなかったと思われます。
この場合の『仮面ライダー』は社会現象までは至らず、『70年台を代表する特撮ヒーロー番組』の1つにとどまっていたと思われます。
石ノ森章太郎原作のテレビヒーローは、二部作になることが多いです。
以下のものが代表例です。
『人造人間キカイダー』と『キカイダー01』
『アクマイザー3』と『超人ビビューン』
『宇宙鉄人キョーダイン』と『大鉄人17』
『秘密戦隊ゴレンジャー』と『ジャッカー電撃隊』
おそらく、仮面ライダーも後継番組が1回だけ(2部作)で終わっていたかもしれません。
一文字隼人役の佐々木剛氏は当初から『藤岡弘復帰まで』という約束で出演していました。
藤岡氏の完治後、約束通り主役を藤岡氏に戻しています。
この交代劇でも番組の改変が行われ、人気上昇の一因になったと思われます。
まさに藤岡弘氏の怪我の功名……というより、リハビリを乗り越えて復帰した藤岡弘のがんばりのおかげですね。
もちろん、藤岡弘氏の復帰を信じて番組中で本郷猛を消さなかった平山プロデューサーをはじめとする制作陣の英断もありました。
他の出演者の皆様のがんばりもありますね。
『仮面ライダー』は、これからも日本の代表的なヒーローでありつづけるのでしょう。
『夏物語』……のはずなんですが、夏の部分が弱いかも。(汗)