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東都探偵物語 ~三つの探偵ストーリー~

予告状

作者: 如月いさみ

その連絡を受けたのは2月初日であった。

 大寒と言われる一年で一番寒い時期である。

 

 それでも水仙が花開き高い香りを広げる季節でもあった。

 

 蜂須佐助は取るものも取り敢えず大学の為に一人暮らしをしていた浜松から新幹線に乗って実家のある九州へ戻ると出迎えの執事に

「それで父に予告状が届いたって話だけど」

 と聞いた。

 

 執事の友坂は恭しく頭を下げながら

「はい、昨夜」

 郵便受けに手紙が入っておりました

 と告げた。

「いま他の皆様も集まっております」

 

 佐助は小さく息を吐き出すと

「予告状を出した人間がわからないのに……人を集めるのは危険だと思うけど」

 とぼやきながら

「あ、これ出しておいてくれ」

 せっかく印刷まで終わらせておいたのに急ぎ過ぎて忘れてた

 と封書を出すように友坂に頼み、屋敷の二階にある広々としたリビングに姿を見せた。

 

 そこには父の蜂須洋蔵に佐助の異母妹となる蜂須律子、また正妻の子供で異母兄となる蜂須太助が豪華なテーブルを中央に椅子に腰を下ろしていた。

 

 佐助は中に入りもう一人、見知らぬ人物がいるのに気が付いた。

 容貌の整った凛とした青年で

「俺の名前は箱島飛鶴……はこしまひづる……と言います」

 予告状の話を聞いて駆け付けました

 と告げた。

 

 佐助は怪訝そうに

「ってことは探偵?」

 と聞き

「確か手紙が届いたのは昨日の夜だって聞いたけど駆けつけるのが早いよな」

 と告げた。

 

 緋鶴はにっこり笑って

「昨夜、別件で偶々蜂須さんと話をしている時に執事の方の手紙に慌てる声が聞こえたので」

 と告げた。

 

 佐助は太助と律子をチラチラとみて二人ともが沈黙を守っている様子に

「そうなんだ」

 と言い空いている椅子に腰を下ろした。

 

 以前に異母妹の律子を紹介された時も突然呼び出しがあってのことだったので佐助はこの箱島飛鶴という人間もそうなのかもと疑ったのだ。

 が、よくよく考えると

「今回は予告状だったな」

 でも

「探偵と聞いても探偵とは応えていないし」

 いや別件とも言っていたし

 と心で呟いた。

 

 太助も律子もこの謎の人物、箱島飛鶴を見つめていた。

 

 洋蔵は全員が揃うと咳ばらいをして

「お前達を呼んだのはこの手紙のこともあるが」

 財産分与の話もあってのことだ

 と告げた。

「色々、お前たちの中で私の遺言書の話も出ていると執事から聞いたのでな」

 ちゃんと話しておいた方が良いと思ってな

 

 佐助は目を見開くと父の洋蔵を見た。

 

 妹の律子から

「お父さまが遺言書の準備をしていて」

 執事の友坂が太助が相続する形になるって家政婦に話しているのを偶々聞いたんだけど

「長男ってだけで全部相続って」

 ムカつくー

 と聞いていた。

 

 蜂須家は九州では大きな力を持った島津家と昔から繋がりがありその庇護下で安定した経営をして財産がかなりある。

 つまりそれが遺産となるのだ。

 その蜂須家の財産について自分と妹の律子は取り分が無いということだ。

 

 佐助は律子をちらりと見た。

 律子が予告状を出してもおかしくない。

 

 沈黙を守る太助と律子と佐助を前に洋蔵は息を吐き出した。

「まだ遺言書など書いてはいないがお前たち三人には等分にしようと思っている」

 

 佐助は目を見開くと律子を見た。

 話しが違う、である。

 律子は知らぬふりをしたまま視線をよそに向けていたのである。

 

 洋蔵は息を吐き出し

「それで、予告状はこれだが」

 と広げてみせた。

 

『蜂須洋蔵さま

 貴方の命を下記の時刻に頂きに参ります』

 

 そう書かれており下に

『2.2.23.2』

 と刻印されていた。

 

 全て印刷文字である。

 

 佐助はあっさり

「これって2月2日23時2分ってことじゃないのか?」

 と呟いた。

 

 太助も頷いて

「そうだよな」

 と呟いた。

「明日の午後11時2分にお父さんの警護を頑丈にすればいいってことだな」

 

 それに緋鶴が

「ただ気になるのは刻印に重なるように書かれている10円の図柄ですね」

 と指をさして告げた。

 

 律子はそれに

「普通の十円の絵でしょ?」

 『10』に今年の刻印だから今年の2月2日23時2分ってことじゃない?

 と告げた。

「明日の11時2分に全員ここに集まっていれば大丈夫じゃない?」

 

 佐助も頷いた。

「だよな」

 

 飛鶴は少し考えたように

「そうですね」

 と呟いた。

 

 佐助はちらりと彼を見た。

 

 父親の洋蔵は『三人』と遺産配分のことを言っていたので関係ないとは思うが……とにかく怪しい人物である。

 

 佐助は話しが終わると家にいた頃の部屋に戻り、律子も太助もそれぞれの部屋へと戻った。

 洋蔵も自身の部屋に戻り、緋鶴は友坂と共に客室へと立ち去った。

 

 佐助が部屋に戻って少しすると律子が姿を見せた。

「あの予告状、佐助兄さまかと思ったわ」

 

 佐助は彼女を睨むと

「お前、やっぱり俺を嵌めようとしたんだな」

 と怒った。

 

 恐ろしい妹である。

 

 佐助は反対に

「本当はお前じゃないのか?」

 金に目がくらんで俺や太助を嵌めて財産を独り占めしようとしてるんじゃないのか?

「お前だって俺と同じ立場なんだからな」

 と吐き捨てた。

 

 彼女は肩を竦めて

「それよりも、あの箱島って人が怪しくない?」

 偶々電話の時にとか

「偶々って言うのがねー」

 と告げた。

 

 佐助は腕を組むと

「確かに、俺もそう思った」

 けど

「俺を嵌めようとしたお前も信用できないな」

 出ていけよ

 と腕を払った。

 

 律子は唇を尖らせると

「さっきお父様が遺言書のこと言ったからそんな風に言うけど」

 佐助兄さまもやっぱりお金お金でしょ?

「あの時『何で太助ばっかり』て言ってたもん」

 私と同じじゃない

 と怒って立ち去った。

 

 佐助は憤慨して

「塩があったら撒いてやるのに」

 と窓の外を見た。

 

 正直、確かに律子からその話を聞いた時は憤慨した。

 それは兄を父が依怙贔屓したと思ったからである。

 だが今日、父の口から等分だと聞いたので安心したのである。

 

 その日の夜の食事は静かに過ぎ去り、翌日を迎えると箱島飛鶴があちらこちらを歩き回っていた。

 

 佐助はトイレに行くときにその様子を見て

「怪しい奴だな」

 と呟き、自室から時々だが外を見た。

 

 偶々電話……というキーワード。

 別件……というキーワード。

 佐助は彼が予告状のことを聞いてというが、本当は何のためにここへ来たのか気になっていた。

 

 だが迂闊に話しかけて反対に疑われるのも嫌だったのである。

 

 佐助が悩んでいる間に時間は止まることなくゆっくりと過ぎ去り、夕食が終わるとその飛鶴から提案があった。

「一応、今から0時までここにいたらどうでしょう?」

 

 それに太助と律子が驚いた表情で見た。

 

 太助は腕を組むと

「23時2分だから23時前に集まればいいかと思っていたから何も持ってきていないし」

 と呟いた。

 律子は肩を竦めると

「それって私も必要?」

 私は予告状なんて送ってないんだから関係ないわ

 と告げた。

 

 佐助は二人を見ると

「でもいないと疑われるぞ」

 と釘を刺した。

 

 二人とも佐助を見ると立ち上がって「「用意だけして戻る」」と10分程して戻ってきた。

 

 そのあいだ、飛鶴も佐助も洋蔵も椅子に座ったまま待機していたのである。

 リビングの時計はゆっくりと時を刻み外ではすっかり闇が広がっていた。

 

 それぞれが椅子に座りパソコンで作業していたり、雑誌を読んだりして時間を潰していた。

 

 ただ飛鶴だけは窓際に立つと携帯を手に唇を動かしていたのである。

 何をしているんだか。

 本当に怪しい。

 

 佐助はそれを見ながら時折時計に目を向けていた。

 

 針は午後11時1分を指し、誰もが固唾を飲み込んだ。

 そして、2分を指したときに何処からかガラスの割れる音が響いたのである。

 

 同時に執事の友坂が廊下を駆けて部屋へと飛び込んできたのである。

「今、旦那様のお部屋の窓ガラスが……」

 予告の時間でしたので様子を見に行ったら

 

 それには全員が驚いて立ち上がった。

 佐助は「まさか」と呟き、部屋の中を見回した。

 が、そこに飛鶴の姿が無かったのである。

 

 律子もそれに気付き

「そう言えば、あの箱島って人がいないじゃないの!」

 あいつが犯人なんじゃないの!?

 と叫んだ。

 

 洋蔵は息を吐き出し友坂を見ると

「それで部屋の方は?」

 と聞いた。

 

 友坂は頷いて

「部屋はガラスの破片で……明日にでも業者を呼んで清掃させます」

 しかし旦那様がおられてなくて良かった

 と告げた。

 そして

「その旦那様には言い難いのですが」

 と呟いた。

 

 洋蔵はそれに腕を組んで

「なんだ?言ってみなさい」

 と告げた。

 

 友坂はおずおずと

「実は私も予告状のことが気になって……調べておりましたら……あることが分かりまして」

 と告げた。

「その印字されたプリンターの文字がその……佐助さまが使っておられる文字だと気づいたのです」

 今回もですが……こちらにおられる時にも良く封筒の宛名に印刷されていたので

「まさかとは思いましたが」

 

 佐助は目を見開くと全員の視線を受けて立ち尽くした。

 

 洋蔵は佐助を見ると

「お前が予告状を出して私を殺そうとしたのか?」

 友坂から遺言書の噂に惑わされている人間がいるという話があったが

「お前だったのか?」

 と聞いた。

 

 佐助は息を飲み込んだ。

 

 友坂はそれに

「佐助さま、調べればわかることです」

 ここは正直に

 と告げた。

「まさか本当に実行するとは思いもしませんでしたので……私は心で打ち消しておりましたがこうなっては」

 

 佐助は拳を握りしめると

「……律子に兄貴だけが全ての遺産を受け取ることになっていると聞いて……正妻の兄貴だけ何時も兄貴だけと思って」

 だけど

「俺は何もしてない!」

 予告状を書いただけだ!

「今だって俺は一歩も外に出ていないじゃないか!」

 元々脅かすだけのつもりだったし

 と告げた。

 

 洋蔵は律子を見ると

「お前がそんな噂を流していたのか」

 と見た。

 

 律子はムッとすると

「まるで私が嘘を吹き込んだみたいじゃない!」

 私は本当のことを言っただけよ

 と腕を組んだ。

 

 友坂は息を吐き出し

「それから箱島さまの姿が……」

 言い難いのですが手紙が届いたタイミングでのお電話と言い

「もしや、佐助さまと組んで……ということも」

 佐助さまが出したというなら届くタイミングも分かりますし

 と告げた。

 

 佐助は驚いて

「違う!」

 俺こそあいつが何者かって疑っていたくらいだ!

 と叫んだ。

 

 彼らを見ていた太助は息を吐き出すと

「あの人は関係ない」

 と告げた。

 

 洋蔵は太助を見た。

 

 太助は視線を下に向けながら

「俺が……相談をしていたんだ」

 と告げた。

 

 洋蔵は太助を見て

「それで電話をかけてこられたのか」

 と告げた。

「話を聞く前に友坂から連絡があったので聞けてはいなかったが」

 何の相談があったのだ

 

 太助は洋蔵を見ると

「俺、貴方の子供じゃないのかもしれないと」

 と告げた。

 

 それには全員が驚いた。

 

 洋蔵はふらりと椅子に腰を下ろした。

「何をバカな……あれが妊娠して産むのを私は見届けた」

 血液型も私と同じA型だ

「あれはO型だからおかしくはない」

 

 その時、扉が開き

「そうですね、けれど」

 相手の男性がA型だったら血液型に矛盾は生まれにくい

「そう言うことです」

 と箱島飛鶴が姿を見せた。

 

「そもそも発端は友坂さんが」

 太助さんに多くの遺産を継がせるために業と律子さんがいる近くで遺言書の偽の情報を流したことです

「それに関しては友坂さんは律子さんでも佐助さんでもどちらでも良かった」

 

 遺産の為に犯罪を犯せば相続人はその権利を失う

「だから嵌めようとした」

 予告状通りのことが起きれば今回は佐助さんが資格を失う

「貴方は部屋を見回る序でに確実に罪になるようにした」

 

 友坂は首を振ると

「私は……そんなことを」

 それに

「佐助さまが出した予告状通りに事が起きました」

 佐助さまも出したことを認めているではないですか?

 と告げた。

「全て佐助さまがしたことです」

 

 飛鶴は息を吐き出し

「佐助さん、あの予告状の本当の犯行日時……教えてあげてください」

 と告げた。

 

 それに友坂は首を傾げた。

「は?2月2日23時2分では」

 

 佐助はそれに

「2月3日の22時2分だ」

 と告げ

「あんたは気付いていたんだな」

 と告げた。

 

 飛鶴は笑んで

「10円の裏の絵が描いていたので、予測は」

 2時22分か22時2分かは迷ったけどな

「最後の点の位置から後者かも知れないとは思った」

 と答えた。

 

 律子は驚いて

「え!?あの絵が裏って?」

 と叫んだ。

「表じゃないの??」

 10って書いているじゃない

 

 飛鶴は首を振ると

「金額と年が書かれている方が裏なんだ」

 と言い

「友坂さん、貴方が律子さんを嵌めようとして業と在りもしない遺言書の話をしているのを……それこそ偶然太助さんも聞いてしまったんです」

 太助さんは蜂須さんが遺言書など作成していないことを知っていた

「そこで初めて疑問を覚え、何故貴方がそこまでするのかを疑い、調べて欲しいと依頼をしてきたんです」

 それで執事である貴方と蜂須さんの正妻であった貴子さんがかつて恋人同士だったことがわかったんで

「俺の探偵事務所の方で貴方と太助さんのDNAの親子鑑定をしました」

 貴方が蜂須さんの部屋にいる姿を写真で押さえています

 と告げた。

 

 友坂は太助を見るとがっくりと崩れ落ち

「なんてことを……俺の浅はかな考えのせいで……太助さまにそんなことを思わせてしまうなんて」

 と項垂れた。

 

 それに律子が

「ってことは、佐助兄さまは資格を失ったし」

 太助兄さまは元々なかったってことでしょ?

「遺産は私のものじゃない」

 と笑顔を浮かべた。

 が、飛鶴は息を吐き出すと

「太助さんは間違いなく蜂須洋蔵さんの息子です」

 と告げた。

 

「佐助さんの件は蜂須さんがどうするかです」

 被害届を出して事件にすれば資格を失うでしょう

 

 洋蔵は太助を見ると

「お前は貴子に似ている」

 と言い

「確かに私は友坂から貴子を奪った」

 その後、貴子に対する態度に友坂が怒りを覚えても仕方がない

「私はずっと貴子の中に友坂への思いがあると思っていたんだ」

 お前の出生のことも半分は疑っていた

「すまない」

 と告げた。

 

 太助は首を振った。

「いえ」

 俺は自立して生きて行こうと思ってます

「遺産は佐助と律子に継がせれば良いと思う」

 友坂にこんなことをさせてしまったことが俺は辛い

 

 友坂は頭を下げると

「太助さま、すみません」

 本当に申し訳ございません

 と涙を零した。

 

 佐助は身体の力を抜くと

「俺もバカみたいだったな」

 太助ばかりと思ってたけど

「何してたんだろ」

 とぼやいた。

 

 洋蔵は息を吐き出し

「そう言うバカな息子に育ててしまったのは私のせいだな」

 二度目はないぞ

「佐助」

 だが誰に対しても私は心が足りてなかったということだ

 と告げた。

 

 佐助は「ごめん、ごめんなさい」と謝った。

 

 律子は溜息を零すと

「な~んだ、三等分なんだ」

 と言い

「まあ、愚痴る相手いなくなるとつまらないし」

 我慢するわ

 とぼやいた。

 

 佐助は律子を見ると

「お前なー」

 と怒った。

 

 箱島飛鶴は太助を見ると

「じゃあ、後は家族でゆっくり話して道を決めればいいと思う」

 向き合って言葉を尽くして話し合えば分かり合えると思います

 と言い、洋蔵に視線を向けて

「俺はこれで」

 と立ち去った。

 

 洋蔵は深々と頭を下げて見送った。

 

 佐助も父の様子を不思議そうに見ながら彼を見送り

「……結局、探偵だったのか」

 と呟いた。

 

 しかも、別件で異母兄の呼んだ探偵だったのだ。

 

 太助は頷き

「ホームページでみた畳探偵事務所に依頼のメールを送ったら折り返し電話があったんだ」

 と告げた。

 

 最終的に全員等分ということで決着がついた。

 

 ただ、佐助は浜松に戻って大学後の進路を真剣に考えることにしたのである。

 自分がどれだけ父の金を当てにしていたかを思い知らされたのである。

 異母妹の律子を責めることは出来ないと反省もした。

 

 自立して生きていく。

 それが大切なのだと気付いたのだ。

 

 数日後、律子から電話があり

「あのねー、太助兄さまが依頼した畳探偵事務所からこの前ね、遅くなりましたが調査の件お引き受けしますって返事があったんだって」

 太助兄さまが蒼褪めて

「あの人誰だったんだって言ってたの」

 やっぱりあの人犯人なんじゃないの?

 と連絡してきた。

 

 いやいや、もうそれは済んだ話だろ、と佐助は突っ込んだ。

 

 もっとも、それについては太助からも連絡があって

「父は大丈夫だ心配する事じゃないって言ってたけど……これからは気を付けようと思う」

 と言っていた。

 

 佐助は大学の授業に出ながら

「本当、誰だったんだ?」

 とフムッと悩みながらぼやき、不意にあることに気付いた。

「あ、れ?……もしかして……まさか……そうなのか?」

 だから親父は

 

 はこしまひづるってアナグラムだ

「島津春彦……島津家の人間だったんだ」

 

 佐助はそう呟くと兄や律子と違う意味で蒼褪めたのである。

 父以外誰もが彼に騙されていたのだ。

 

 彼は探偵ではなく。

 そう……知らぬが仏だったのかもしれなかったのだ。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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