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変態医者

「ごめんね。君を診察するのが僕みたいな医者の卵で」

 内科医が申し訳なさそうに言うと、患者の少女は「私は先生が良いんです! 先生に診てもらいたいんです!」と強い口調で言った。

 内科医はずっと悩んでいた。未熟な自分と、真の医者と変態の間で。僕は変態になって良いのだろうか? いや果たしてなれるのだろうか。いやなれる。僕は変態医者になれる。僕は変態医者になりたいんだ!

 気づいたら内科医は「はぁはぁ」と興奮していた。

「先生。大丈夫ですか?」

 少女が上目遣いで僕に言う。

 この少女は僕の事をこんなにも医者として信頼してくれている。変態医者になるならこの少女がきっかけでなりたい! 

 内科医は強く思った。

「ふ、服を脱いでごらん。はぁはぁ」

「は、はい」

 少女は恥ずかしそうに服を脱ぎ始めた。

 その時だった。内科医が鼻血を出し股間が膨らみ始めた後、床に倒れてしまった。

「せ、先生! 先生!?」

 少女は困惑し気絶している先生に呼びかけた。

 それを見ていた看護師が「大変だわ」と言って別の医者を呼びに行った。

 しばらくすると、看護師が連れて来た外科医がやって来て、内科医を見下ろす。

「素晴らしい。君もようやく医者の卵から真の医者になれるのだね」

 変態外科医は目を潤ませ感動した様子で内科医を見下ろしていた。

 内科医は蛹が蝶になる様に変態の準備に入った。

 この世界ではどんなに素質があっても変態していない医者は医者の卵として扱われる。変態する事で腕が2本から4本になり、目の構造も変わり、診断や外科などの能力がぐんと上がるのだ。

「先生はこれからどうなるのですか?」

 少女は心配そうに聞いた。

「これから先生はね。変態するんだよ。見た目は今までとはちょっぴり変わるけど、今までより更に立派な医者になる為の準備に入ったんだ。変態するきっかけって言うのは使命感を強く持った時に始まる事が多いんだ。君のおかげだよ。君が先生を変態医者にしてくれたんだよ」

 少女は鼻血を流し、股間が膨らませながら気絶している、これから変態医者になるであろう医者を見ながら、少し恥ずかしそうにそして嬉しそうに笑ったのであった。

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