㉙
ラルクの殺人の理由とは・・・。
-㉙吐露、そして計画実行へ-
ラルクが逮捕され数日、警視総監から直接博のもとに電話が来た、拘置所にて取り調べを行うので立ち会って欲しいとの事だ。学園で起こった殺人事件について真相が明らかになるのだ、博は喜んで協力すると答えた。
まず、4組の教室であった殺人についてだが学校全体の偏差値を少しでも上げなければという理由で生まれた極端な考えで起こったもので武器を仕掛けたのはラルク本人だという事だ、その時彼は英語の特別講師として侵入していた。
また3組で起こったものについてだがその理由は不明だとの事だ、殺人を行っただけだという。どちらも義弘の指示で動いたとラルクが吐いた。
因みに今回は特別に警視総監自ら取り調べを行っている。今回の取り調べの音声を記録すべく博に同行していた結愛は光明にICレコーダーを借りていた。警察側もうそ発見器を使用している。
警視総監「もう一度聞こう、お前に殺人を指示したのは貝塚義弘で間違いないな?」
ラルク「ああ・・・、俺はあいつに金で雇われただけだ。」
警視総監「義弘が直々にお前を雇ったんだな?」
ラルク「しつこいな、そうだと言ってんだろ。」
うそ発見器も反応していない様なので、どうやらラルクは本当の事を言っているみたいだ。はっきりと音声も録音されているので、これは十分証拠となる。
数日後、ラルクが吐露した通り両方の殺人が義弘のものか確証を取るため、義弘の取り調べを行った。しかし、義弘は一貫して黙秘を貫いた。
次の日、博は幸太郎と共に結愛に会いに行った。現在、一時的にだが貝塚財閥の全権を握るのは結愛だからだ。
博「結愛、ちょっと時間あるか?」
結愛「良いけど、何?」
博「海斗も一緒に聞いてくれると嬉しいんだが。」
結愛「そこにいるから呼んでくる。」
結愛はすぐに海斗を呼んできた。
博「凄く、言いにくい相談なんだがね・・・、お前さんらの親父を会長から降ろそうと思っているんだ、今の学園では生徒たちが安心して生活できんだろう、それにこれを見てくれ。」
義弘は懐から大量の手紙を取り出した。博が義弘に内緒で貝塚財閥本社内に設置した意見箱に無記名で投じられた社員からの義弘によるパワハラ報告だった。
博「私は偉そうな事を言える身ではないが会社で最も大切なのは社員、そう人だ。社員が皆一人ひとり安心して働ける会社に立て直す必用があるだろう。なのに一社の長が社員を駒の様に扱い気に入らねば頭ごなしに怒鳴って切り捨てる、決して許されない行為だ。
そして先日の警視総監への借金が故の脅迫罪の疑いもある。義弘が社長や理事長にふさわしくないのは一目瞭然だ。」
幸太郎「それともう1件疑いがあってね、それはここの先生に関係する事なんだ。それは計画を実行したときに判明するだろう。
その為に結愛ちゃん、いや結愛社長代理、緊急株主総会の開催の許可をお願いします。」
結愛「じいちゃんやその友達の為ならどんな事でも協力します、緊急株主総会の開催を許可します。」
幸太郎「良かった・・・、ありがとう。それともう一つ、この生徒の事は知っているね?」
結愛「勿論知ってるけど。」
幸太郎はとある生徒の写真を結愛に見せ、その生徒の元へ案内する様に頼んだ。そして生徒の元に着くと幸太郎はこう切り出した。
幸太郎「君だね、会いたかったよ。今度貝塚財閥の緊急株主総会を行うから君も結愛ちゃんや海斗君と一緒に来て欲しいんだ、君にも関係する事だから。」
生徒「は・・・、はい・・・。」
しかし、幸太郎に招待された生徒は不可解で仕方なかった。生徒は全く貝塚財閥との関りが無く全然思いつかなかった。
数日後、証拠となる資料や音声を扱いやすくCDにまとめてもらった物を光明から受け取ると結愛は幸太郎の元へと急いだ。その日学園は久々に休みとなり生徒たちは各々の家路へと向かった。
その日の午後、運命の緊急株主総会が始まる。博に結愛や海斗、そして招待された生徒は幸太郎のミニバンで貝塚財閥本社へと向かった。
結愛「緊張するな、久々だよ、本社に行くの。」
ついに株主総会が開かれる・・・。