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義弘の特別授業とは?


-㉒伊津見の経験-


 4組の伊津見は、義弘による深夜の特別授業に強制参加することになり、筆記用具片手に渋々特別教室へと向かった。左耳には光明に渡された無線機、そして胸元に小型マイクを身につけスパイとして参加する。特別教室に入ると分厚い資料を配布し終えた義弘が教卓のすぐ近くに座っていた。ノートパソコンを教室に設置されたプロジェクターに接続した黒板代わりに使うのだろうか、大きなスクリーンを広げていた。伊津見達が教室に入ると義弘が歓迎の言葉をかけた。


義弘「深夜の特別授業へようこそ、ここでは私自ら過去数年分の大学入試センター試験、及び大学入学共通テストの過去問を調べ上げ関連づけた資料を一緒に見ながら学んでいくものです。『かなり充実した』内容になっているはずなので存分に学んでいって欲しいです。席は決まってませんので見やすい所に自由に座ってくださいね。」


 珍しい位に柔らかな笑顔で出迎えられた生徒たちは少しゾクゾクとした気分となっていた。日ごろのイメージと真逆だからだ。しかし各席に配布されている資料の厚さがこれから行われる授業の厳しさを物語っていた。


義弘「各席に配っているのが私自ら調べ上げ、資料と紐づけたお手製のプリントです、最初から試験を解けと言われても無理なものは無理、解けないものは解けないものです。ですので解答・解説や資料を見ながら一緒に勉強していきましょう。元々白黒表記になっている問題や資料の写真は見やすくカラー表記にしてみましたのでお役に立てて頂ければ幸いです、勿論そちらは差し上げますのでご自由にお持ち帰りください。お役に立てて頂ければ幸いです。

私はこの授業の為に眠気覚ましのブラックガムをドカ食いしましたので、徹底的に勉強できたらと思います。それでは1教科目の国語から始めていきましょう。」


 授業が始まった。一斉に分厚い資料を開いていく。5年前のセンター試験の過去問の大問①が現れた。義弘は生徒たちに小問や問題文を読み聞かせていく。義弘の声は優しさに満ち溢れ皆聞き入っていた。

 授業が順々と進んでいく。皆重要な場所を赤ペンや蛍光ペンでチェックしていき通常の学校の授業の様に生徒たちは集中していった。義弘の解説は思った以上に分かりやすくそこにいた全員が次のクラス決めの摸試の時、ダークホースになってもおかしくない程になっていった。

 学園が朝日に照らされていく、午前7時。通常の教室で朝の補習が始まる30分前だった。義弘の授業が終わりを告げた。生徒たちの顔は充実感に満ち溢れていた。今なら大学入学共通テストも自信をもって解ける気がする、伊津見はそう思った。配布された資料は思った以上に塗りたくったり線を引いたり、そして書き加えたりでボロボロになっていた。他の生徒の中にはプリントを纏めていたホチキスが千切れプリントが落ちてしまっている人もいた。伊津見は取り敢えず光明や結愛に会い報告せねばと2人が潜入作戦を実行する教室に向かった。


結愛「おかえり、長かったな。無事か?」

伊津見「無事どころか充実感が凄すぎて未だにドキドキしてるぜ。」

結愛「資料ってあるか?」

伊津見「うん、これだ。」


 結愛は伊津見から資料を受け取ると、1ページ1ページじっくりと読み込んだ。焦りの表情と共に。


結愛「すまん、ありがとう。もうすぐ補習が始まるからまた後で見せてもらえるか?」

伊津見「勿論だ。」

結愛「因みに親父はどんな表情だった?」

伊津見「とっても優しかったぜ。」


 光明は結愛の表情からただならない物を感じ取った。


光明「結愛、何かあったか?」

結愛「親父・・・、あそこまで・・・。」

光明「ん?」

結愛「あ、すまねぇ。いや、あそこまで綿密な資料を作成しているとはと思ってよ。」

光明「それがどうしたんだ?」

結愛「下手したら伊津見が親父の術にハマって、4組の奴らが次の摸試のダークホースになり兼ねねぇかもなんだ。」

光明「義弘の・・・、術?」

結愛「分かりやすい資料と優しい雰囲気の授業で生徒を取り込んで次からはスパルタでの授業を展開。その結果バッタリと倒れていく生徒が・・・。」


 先日銃殺者が出たくらいだ、義弘が十分あり得る話で生徒を地獄に落とそうとしているのが見え見えで怖くなってきた。その術に伊津見がかかろうとしている、光明と結愛は被害者が出る前に阻止せねばとゾッとしていた。


2人はどうするのだろうか?

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