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3-9 体調不良。そして、初めての感覚。

 

 

「……頭がボーっとするわね」

 

 

 ベルテと楽しい休日を過ごした次の日、トワの体調は少しおかしかった。

 

 ――なんだこれ?自分の体なんだけど、自分の体じゃないような……

 

 

「お嬢様?どうかされましたか?」

 

「……大丈夫よ。なんでもないわ」

 

 

 そんな不調も、朝食を食べ終わる頃には治まっていた。

 

 

「第一ダンジョンは制覇しましたし、そろそろ次のダンジョンに行きましょう!」

 

「具体的にはどこにするんだい?」

 

「そうですねぇー……」

 

 

 アンデッドと虫は、気持ち悪くて無理。

 

 となると、巨大魔物かゴーレム。つまり、第三か第五のどちらかになる。

 

 どちらにしようかなをしたら、第三ダンジョン。巨大魔物の方が選ばれた。

 

 

「第三か。となると、僕は外れた方がいいね」

 

 

 戦闘向きでは無いアランには、第三ダンジョンはさすがに厳しいようだ。

 

 だが、せっかく黄銅級まで来たのだ。

 

 あと一つで橙銀級。ダンジョン貴族である。

 

 

 というわけで、あと一ランク上がるまで、トワが補助をするということで、アランも第三ダンジョンに行くことになった。

 

 

 あんな凄惨な事件の後にベルテを一人にしたくなかったが、私は大丈夫ですと力強く言われてしまう。

 

 それでも、空間把握(マップサーチ)でベルテを見守ることだけは了承させた。

 

 

 ◇◆◇

 

 第三ダンジョンは、入口も内部も全てが巨大である。

 

 入口だけでも、高さ20メートル以上ある。

 

 もちろん、中の魔物も巨大だ。

 

 

 

「オォラァッーー!」

 

 

 現在、ネジャロと戦っているのが、二つの獅子の頭を持つ、蛇のような魔物。

 

 ライオネルスネークである。

 

 

 巨体と鱗が厄介で、なかなか倒せないでいる。

 

 そこに、アランも魔法で援護を始めるが、決定打にはならない。

 

 

 最後には、ネジャロが大槌を口の中に突っ込んで、ライオネルスネークごと壁に叩きつけるという荒業で倒してみせた。

 

 

「いやー、強かった」

 

「やっぱり火力が厳しいな」

 

 

 アランの魔法はともかく、ゴブリンキングと殴りあえるネジャロですら苦戦するとは思わなかった。

 

 それだけ、第三ダンジョンの難易度が高いということだろう。

 

 

 今日、アランを橙銀級まで上げたら、そろそろネジャロに質のいい剣でも持たせた方が良さそうだ。

 

 というわけで、トワがさっさと狩りまくることになった。

 

 

 魔物がいる所へ出向き、ササッと首を切り飛ばす。

 

 魔物からしたら、通り魔に遭うみたいなものだろう。

 

 

「おぉ?」

 

 

 ――空間切断(リージョンカッター)が抵抗された……

 

 

 抵抗と言っても、ティッシュを破るような感覚から、割り箸をわるくらいに変わっただけだ。

 

 

 それでも、ゴブリンキングより、第三ダンジョンの雑魚の方が強いということになる。

 

 

 ――高難易度って言われてたけど、まさかボスクラスがその辺にころがってるとはなー……

 

 

 トワの戦闘力は次元が違うので置いておくとして、普通の人がこのクラスの魔物と渡り合う姿が想像できない。

 

 現に、この第三ダンジョンには、トワたち以外の冒険者はいない。

 

 最下層の様子は分からないが、多分いないだろう。

 

 

 その後も特に問題なく戦闘、もとい蹂躙が続き、ライオネルスネークの他に、ジャイアントシューヴァという、大量の水で攻撃してくる巨大鳥も倒した。

 

 

「そろそろお昼にしよう」

 

 

 ダンジョン内ではあるが、トワがいるので魔物の脅威もほとんどなく、三人は昼食を摂ることになった。

 

 

「あ、私は大丈夫です。なんか、朝から食欲がなくって」

 

 

 今朝の頭がボーっとする状態は治ったが、食欲は湧いてこず、二人にお弁当を渡して近くで横になる。

 

 

 ――なんか体調がおかしいんだよなー。

 

 寝不足ってわけでもないし、なんだろこれ……?

 

 

 二人の食事が終わり、立ち上がると、下半身からどろりとした気持ち悪い感覚を覚えた。

 

 ――うそっ、漏らし……てない。血だ。

 

 もしかしなくても、生理というやつか。

 

 だから朝から変な感じだったのか。

 

 てか、気持ち悪いこれ……

 

 

「アラン、ちょっと体調不良再発なので、今日は帰りたいです」

 

「大丈夫かい?回復魔法かけようか?」

 

「いえ、女性ならではのやつなんで」

 

「あ、そっか。お大事にね」

 

 

 二人に今回の成果の魔石と素材をいくつか渡し、入口付近まで転移(テレポート)で送る。

 

 

「それをギルドに持って行って、ランクアップしちゃってください」

 

 

 とだけ言い残し、宿に転移(テレポート)した。

 

 

 

 ◇◆◇

 

 ちょうど昼食時で、ベルテはいなかった。

 

 トワは、こんな時どうすればいいのか分からないので、ベッドで横になり、ベルテの帰りを待つ。

 

 幸いなことに?よく言われているような腹痛はなく、食欲がないことと、なんかダルい程度で済んでいた。 

 

 

「お嬢様!?どうされたんですか?」

 

「生理ー……」

 

 

 帰ってきたベルテはトワの状態を察すると、毛布をかけて、暖かいパン粥を作り、食べさせてくれた。

 

 

 ――鳥の雛にでもなった気分。

 

 

 毛布に包まれ、スプーンで運ばれてくるパン粥を食べさせられる姿は、情けない感じだ。

 

 パン粥を食べ終わるとそのまま寝てしまい、次起きた時は深夜だった。

 

 

 ベルテが着替えさせてくれたようで、服は変わっていたが、ダンジョンから帰ってきてそのままなので、浴場へと向かう。

 

 体を洗って、いざ浴槽に浸かろうとするが、ふと考える。

 

 ――血で汚れるよね?入んない方がいいかな……

 

 

 もう血は垂れてきていないが、また出るのかどうかも分からない。

 

 他に客がいないため、誰かに聞くことも出来ず、渋々諦めた。

 

 

 浴場から部屋に戻ると、机の上にオムツみたいなものが置かれていることに気づく。

 

 浴場で服を脱いだ時に履かされていたことに気づいたが、諸々で汚れていたため、用意してくれた新しいものを履き直す。

 

 ――この歳になってオムツを履くことになるとは……複雑な気分だ。

 

 

 仕方がないことだというのは分かっているが、あまり人には見られたくない姿ではある。 

 

 

 そんな生理は数日間つづき、本格的にダルくなってきてしまい、ベルテのお世話になった。

 

 今まで、誰かに看病されるという経験が無かったため、誰かに甘えられるというのは、とてもありがたいことだと骨身に染みた。

 

 

 

 ◇◆◇

 

 やっと生理が終わり、完全復活。とはならず、さらにおかしなことになっていた。

 

 ――はぁ……アランッ。アランが欲しい!

 

 

 完全にアレな気分。まぁ、つまりは発情しているのだ。

 

 

 この世界に転生してから数ヶ月。

 

 トワの体はそういった感情がないものだと思っていたが、ダムが崩壊するように、突然溢れ出した。

 

 

 ベルテの一件から男女で部屋が別れていたので、アランのいる男子部屋へと突っ込む。

 

 バンッと勢いよく扉が開かれ、男子二人が驚いているが、そんなことを気にしている余裕はなかった。

 

 

 アランに飛び乗り、ネジャロも見ているというのに、服を脱ぎ捨てる。

 

 二人とも呆気に取られ、ポカンとした表情をしている。

 

 アランのズボンも剥ぎ取り、いざ!

 ――それは私の感情よ。止まって!

 

 

「あ゛ぁァァ゛ーー!!」

 

 

 突然頭の中に声がひびき、割れるような痛みにおそわれる。

 

 アランが回復魔法をかけてくれるが効果がない。

 

 

 絶え間なく続く痛みに耐えられなくなり、気を失った。

 

 

 ――ごめんなさい、お兄ちゃん。こうするしか無かったの。

 

 

 気を失ったはずのトワは、異空間倉庫(アイテムボックス)から取り出したローブを纏い、アランから離れたところに立っていた。

 

 

「アランも、ごめんなさい。これからしばらくは、私に近づかないでもらえるかしら?

 多分、抑えられそうにないから……」

 

 

 そう言うトワの顔は火照り、恍惚とした表情をしていた。

 

「どういうこと?さっきのは一体……

 それに、最近よく性格が変わってるよね?今だって……」

 

「ごめんなさい。その話はいずれ……」

 

 

 トワは、アランの問いに答えることが出来ず、女子部屋へと戻り、ベッドに飛び込む。

 

 心配するベルテに「発情期」とだけ答え、目を瞑った。

 

 

 

18禁に引っかからないよね!?大丈夫だよね?大丈夫だと信じます!(>人<;)

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