プロローグ ～SSとある国の伝承～
初書き初投稿です。
完結まで毎日投稿を続けていくつもりなので、暖かい目で見守ってやってくださいm(*_ _)m
魔女暦756年、アルヴ王国には、真っ白な肌と髪、真っ赤な瞳を持つ王子がいる。
彼は好奇心が強く、文字が読めるようになってからは、よく城のメイド達の目を盗み、書庫へと忍び込んでいた。
そして、今日も書庫へと向かう人影が一つ。
「この鍵は、きっとあれの鍵だ！」
と口ずさみながら、手に持った鍵を大事そうに握りしめる。
王子が握っている鍵は、先日、母である王妃の寝室で見つけた鍵である。
そして書庫には、本に埋もれてホコリを被っている、怪しさ満載の金庫がある。
父にその中身を聞いてもはぐらかされ、母も、「もう少し大きくなってからねー」などと言い、取り合ってくれない。
メイド達に至っては、そもそも存在さえ知らない。
ここまで隠されてしまうと、なんとしててでも暴いてやる！という気持ちになるものだ。
「今日こそ、あの金庫の謎を解くんだ」
そう意気込み、慣れた手つきで書庫へと忍び込む。
そして、明かりもつけずに、山のように積まれた本をどかしてゆき、金庫の鍵を開ける。
「……無限の魔女トワの伝承？」
金庫の中には古びた本が一冊だけ入っていた。
そっと手に取り、破らないように一ページ一ページ、慎重に読んでいく。
――無限の魔女トワは無限の魔力をもつ。
その姿は、時に一つ目の竜であり、時にしっぽの生えた人型の悪魔であり、時に純白紅瞳の女神である。
一つ目の竜は、人智を超えた災害の時に現れ、しっぽの生えた悪魔は、巨大な犯罪組織の壊滅現場に現れ、純白紅瞳の女神は、世界各地で見られている。
そして、その女神に助けられたという話はほぼどこの国でも耳にする。
「純白紅瞳って、僕とお母様と同じだ……」
王子は、自分や母の体が他の人たちとは違う、珍しい色だと知っている。
そして、本に描かれた純白紅瞳の女神。
特徴が一致している事に気づき、いても立ってもいられず、本を抱え書庫を飛び出す。
「お母様なら何か知ってるかも！」
王子は母の寝室から金庫の鍵を盗み出したことも忘れ、ウキウキとした顔で城を駆けてゆく。
それが3日間のおやつ抜きの刑になるとも知らずに……
本編は完結済み。
この物語には続編もございます。そちらも是非ご一読下さいませ！
⬇⬇⬇以下続編の題
続、無限の魔女 トワの世界
