第三話 なんてことも無い日常
小手毬の飲み物を買ってから思ったのだが。
今日部活に行かなければ、小手毬に飲み物を買ってやらなくて良かったのでは?
今日は買ってしまったから次買うことになったら、そうするとしよう。
まっ、これ以降買うことになることなんて無いんですがね。
私は無言で部室に入った。
「うわっ、水月さん挨拶位してくださいよ。」
「めんどくさい。」
「めんどくさがらないでください。」
「そんな事より飲み物買って来てやったぞ。」
そう言って私は小手毬に飲み物を渡した。
「おっ、ちゃんと買って来たんですね、忘れていたと思ってましたよ。」
「何かの間違いとはいえ負けたからな。」
「おっ?もう一回やりますか?」
「いや、やめとく。」
「勝負に乗らないなんて珍しいですね。」
「とある用事で、レポートを作らないといけないからな。」
「そうですか。」
こいつ全然俺に興味無いな。まぁ、普通だけど。
レポートを作っていたら部室のドアが開いた。
「よぉ、お前ら」
「こんにちは。」
「こんにちは、何で昨日は居なかったんですか?」
それ、私も聞こうと思ってたんだ。
「仕事が有ったからな。後お前ら来てなさそうだったからと行かなくて良いかなって思って。」
「あんた本当に顧問か?」
「いくら先生が顧問に見えないからって流石にそれは失礼ですよ。」
「水月、お前は普通に失礼だし、小手毬、お前は失礼なの自覚しろよ。言ったのが俺で良かったな、俺じゃなかったらキレてたぞ。」
「最近の先生って直ぐキレるんだな」
「そうですね水月さん。」
「こういう所は、変わって欲しかったんだがなぁ…」
「だってよ、成長しろよ小手毬。」
「貴方のことだと思いますよ、水月さん。」
「お前ら二人だよ馬鹿共。」
「馬鹿共ですって、水月さん。」
「親の顔が見てみたいな。」
「お前らめんどくせぇな」
「嫌だなぁ先生、私たちがめんどくさいって?酷いですよ。」
「ストレスでハゲそう」
「可哀想ですね。」
「お前らのせいだからな?」
「そうなんですか!?」
「そうなんだよ水月。」
「それは良かった。」
「何が良いんだよ。」
「さぁ?なんですかねぇ?小手毬知ってる?」
「私が知るわけ無いじゃないですか。」
「誰も知らないようですよ、先生。」
「そうか。(呆れ)」
私がレポートを作っていたら、後ろから見てたのか知らんが小手毬が後ろから。
「え?この内容マジなんですか?」
「知らんけど多分出来ると思うぞ。」
あの先輩が書いてたしな。
「何ですかそれは...まぁ、ここは、こうやった方が速いですよ。」
「いや、そう言われても分からんが。」
「仕方ないですね、こうやるんですよ。」
そう言うと小手毬が、隣の席から椅子を取って来て、私の近くに座り、私が持っていたマウスを強引に奪い取った。
「ここを、こうやって、こうするんです。」
「おお、ありがとう。」
「更にここを、こうやってやるともっと楽になりますよ。」
「おい、余り詳しくない俺でも分かるぞ、データを消そうとすんな。」
「そんな事しようとしてませんよ嫌だなぁ。」
「おいっ、本気で消そうとすんな。」
「水月さん酷いなぁ、泣いちゃいますよ。うわーん。」
「泣いて無いけど泣いてんじゃねーか。そんな事よりその手を離せっ。」
俺は小手毬が操作していたマウスを奪い取ろうとした。
「おっと、水月さんやめてくださいよ。」
小手毬はうまくかわしてそう言った。
「やめてやるから返せ。」
「嫌です。」
などと私たちがくだらない攻防戦をしていたら、先生が。
「お前らイチャイチャすんなよ。」
目と耳が腐ってんのか?
「してるように見えますか?」
「俺にはそう見えたが。」
「チッ。」
「おい、水月今舌打ちしたよな?」
「してないです」
「いや、絶対してた」
「してないですしてないです多分先生の気のせいです。」
「そうか、そういう事にしといてやる。」
「…やる気が無くなったんでデータを消すのはやめてあげますよ。」
そう言って小手毬は小手毬が使ってた席に戻った。
「おう、そのままずっとやる気無くしてくれたら助かる。」
私がパソコンを操作していたら、小手毬が。
「そろそろ良い時間ですし帰りますね。」
時計を見るともう六時に近かった。
「あっ、俺も帰るか…先生はどうします?」
「俺は、もう少しここに居るわ。」
「分かりました、ではまた明日。」
「また明日。」
「じゃあ明日………俺明日も来ないといけないじゃん。」
私たちが下校をしてる途中。
「そう言えば今日どうする?」
私と小手毬は部活が終わった後に飯食ったりゲーセンに行ったりしている。
「うーん…今日はやめときますね。水月さんのせいで疲れたんで。」
「お前のせいだけどな?」
「そうですかね?」
「そうだよ。」
「そうですか…」
「何で悲しそうな顔してんだよ。」
そんなくだらない事を話していたら。
「私こっちの方なんで。」
「じゃあ、また明日。」
「また明日。」
そう言って小手毬は横断歩道を渡っていった。
「…帰るか。」
雪割草 一 (ゆきわりぐさ はじめ)
大のパソコン好きでコンピューター部の顧問。
背は高い。
なんの教科を担当しているかコンピューター部の部員たちは知らない。
誤字等が有ったら報告してくれたら嬉しいです。
私事ですがついにストックが無くなりました。