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優しき魔王さま  作者: 第二世界、三國の沌国のとある図書館司書
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第三篇 挨拶

魔王さまとサリエル(天使)の出会い。

第三篇 挨拶

 ご挨拶にも、この魔王と名乗る少女は、私の存在意義を疑っているのだ。

 始まりはこうである。まず、私は神との交合をしていた。

 それからしばらくして「あなたは何を祈っているのか?そんなに熱心に祈る価値などあるのか?」と話し掛けられた。

 そう、神との交合とは、祈りによる神との対話だったのである。それを邪魔する者がいる。

 キッとなって闖入者をにらみつける。

 始めから説明しよう。

 今、サリエル・クランテスがいる所は神殿であり、ここ聖都では神殿建立が進んでおり、戒律時代から自由時代へと大きく発展していた。

 どう見ても、イテリオル・サヴァー、魔王さまが話し掛けたのは、マナー違反、サリエルが怒ったのも無理はない。誰だって集中している時に、話し掛けられたくはないものだ。

 サリエルがキッとしたのもつかの間、すぐに魔王さまのコートにロングスカートという出で立ちに警戒する。どうやら親しく話し合える相手ではないらしい。

 そこで、サリエルは「あなたはまともな手合いではなさそうですから?いいでしょう、話し合いたいなら外で話し合いましょう」

から?と確認も含めて彼女に聞いてから、外に出る様に促す。


 男同士ならばケンカでもするのか、と思うところだが、あいにく、女同士それも少女対少女。

「分かった。外で話そう」

 最低限の答えを魔王さまは返す。

「それと、私は魔王だ。神とは対極の手合いと知れ」

 私は魔王と名乗る少女と連れ歩く。

 この二人実に、明暗の区別がはっきりしており、サリエルが白のワンピースを着ているなら、魔王さまは黒のコート、ロングスカートを身に着けているのである。どちらが明でどちらが暗というのも分かるだろう。

 まじめなサリエルにとって、休憩時間中の散歩とでも言うのか、そうサリエルは生活にここに来て遊びを入れる事を一考したのである。

 その結果が魔王さまとの連れ添いであった。

 さて、しばらく歩いて本題を切り出すサリエル。

「それではあなたは神を持っていないのですか?」


「持っていない。魔王だからだ」


「魔王だからと言うのは、ともかくとして、あなたは男神にも女神にも興味がないと言うのですか?」


「ない。虚構だからだ」


「でも、それって一個人の意見ですよね」


「そうだ。まあ魔族に共通しているだろうが」


 という事はこの人にとって、神は錯覚の産物でしかないという事だ。


「神はあなたの事も知っておられるはずですが」


「あなたは自分が聖女であるとでも言うのか?」


「そうではありません。あなたがやっている事は意味が分からない。と言っているだけです。」


そう、神を中心に動いている人にとって、神が絶対指針なのだから、素直に思いを口にするのは、本来、あってはならない事だが、魔王さま相手に本音が零れてしまったのである。


まあ、あいさつはこれぐらいにしておくとして、と魔王さまは本題を切り出す。


「私は魔王だから、殺しもするし、最大限同情もする。どうだろう、私を知りたいならば、私の仕事ぶりを見てみないか?」


たしかに、サリエルの中には興味が生まれていた。


もしも、気に障らなければ、だが。と魔王さまは付け加える。

魔王さまには珍しく繊細な一面を見せる。

その様子を小さな悪魔のコウモリ羽根の少女が見ているのだった。

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