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スマイル04 お徳用トイレットペーパー

 やがて戦利品らしきものを獲得したミューが、満面の笑顔で歩いて来た。「あぁー買えてよかった!」


 何か買えたらしい。喜んでいる様だ。


「あれっ。貴方、まだ居たの?」


 俺の姿を見つけたミューが、怪訝そうな顔をして驚いている。


「お前が人の話、ちっとも聞かねーからだろっ!」


 この俺様をコケにした揚句、振り回しやがって。

 やっちゃうぞ、このアマ。


「聞くも何も、貴方の話、つまらないから聞きたく無いもの。それより私忙しいの! 貴方、私を追い掛けるヒマがあるなら買い出し手伝ってよ。ハイ、これ持って」


 さっきの戦利品を押し付けられた。「落とさないでよ。命懸けで買った御馳走なんだから!」


「何で俺が、お前の御馳走とやらを持たなきゃいけねーんだよ! お前、俺を誰だと思ってるんだ!!」


「知らないわよ。アンタなんか」


「昨日クラブで名乗っただろ! 王雅だ! 櫻井王雅!! 名前聞いたコトくらいあんだろ」


「知らない」


 興味もなさそうに俺に一瞥をくれると、ミューは商店街を歩き回って色々買い物を始めた。


「おいっ! この俺様に何でお前の荷物持たせんだよ! 捨てるぞ!!」


「そんな事したら、殺すわよ。ちゃんと持っておいてね、王様」


「王様にはちげーねーけど、名前は王雅だ!」


「どっちでもいーでしょ。大王様」


「ダッ・・・・大王だぁ!?」


「ええ。煩い大魔王よ」



 何か、扱い雑じゃね?

 何、この女?

 マジ、ありえねーんだけど。



「おい、あんまそんな事ばっか言ってたら、今すぐ抱くぞ?」


 あからさまに嫌そうな顔を向け、汚らわしいものでも見る目つきでミューが俺を見る。


 コラ。

 そんな目で俺を見るな!


 

「救い様が無い変態ね、アンタ」


「うっ・・・・ウルセーよ! 大体俺は、女に断られた事なんかねーんだ!」


「良かったじゃない」ミューは笑った。「初めて断ってくれる女が現れて」



 アイツはそう言って、スタスタ歩き出した。そして商店街の一角に、タイムセールと書かれた看板の前で立ち止まる。



「お一人様、一コ限りか・・・・」



 ブツブツ呟いていたかと思うと、腕を急に掴まれた。「一緒に来て!」


「ハア!? 何だよ急に!」


「いいから!」



 アイツは俺の腕を掴んだままスーパーに入り、レジに並んだ。

 両手に持つのは、お得用トイレットペーパー。



 何だ?

 何でそんなもの二つも買うんだ?



 っつーか、そんなの召使いの仕事だろ。




 レジで会計を済ませたミューは、嬉しそうにトイレットペーパーの袋を下げ、商店街の買い物を楽しんで居た。

 ヤツが買った物は、生活用品や食材。沢山の荷物を抱え、嬉しそうに走り回る。



 俺、一体何やってんだ?



 何でこんな貧乏女の後を、俺が着いて回らなきゃならねーんだよ!

 この俺様をこんなに振り回しやがって!


 ミュー。

 今に見とけよ。





――絶対、手に入れてやるからな!





 

数ある作品の中から、この作品を見つけ、お読み下さりありがとうございます。


評価・ブックマーク等で応援頂けると幸いですm(__)m


次の更新は、6/30 12時です。

毎日0時・12時・18時更新を必ず行います! よろしくお願いいたします。

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