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スマイル01 俺は櫻井王雅(さくらいおうが)だ!

初めまして、さぶれと言います。

主にエブリスタでラブコメ中心に執筆、活動しています。

今回『小説家になろう』2作目を掲載させて頂きます。


笑いあり、キュンありの楽しいラブコメです。

ズッコケヒーロー目線ですが、ハートフルなラブコメになっております。

どうぞよろしくお願いいたします。

https://36707.mitemin.net/i562207/


表紙イラスト

紗蔵蒼様

 


 俺、櫻井さくらい 王雅おうが



 東京都心に大きなホテル・マンション・不動産・レストラン等、ありとあらゆる資産を持つ、金持ち。

 ちなみに、一人息子だ。

 王様のように優雅に、という意味を込めてこの名を授かった。


 お陰で長身・ルックス最高。最強無敵の怖いものナシ。

 逆らう者もナシ。言い寄る女は数知れず。


 これだけの財産とルックスを持っていれば、何でも欲しいものが手に入る。

 世の中平等って言うけど、アレはウソだな。



 俺が法律だ。

 俺が全てだ。



 今までがそうだった。



 けど

 たったひとつだけ




 この世に金では買えないものがある事を、知った。






 ※





 


「王雅様、今日は色々と有難う御座いました」



 ホテルの総支配人に頭を下げられ、別に、と会釈を返して迎えに来たリムジンに乗り込んだ。

 全くつまらん世の中だ。

 俺を刺激的な世界へ導いてくれよ、たまには。


「今日は飲みに行くから、適当に車回してくれ」


 運転手にそう告げて、ホテル建設予定プランの資料に目を通す。

 ご大層な資料作りやがって。目を通すのもめんどくせー。

 こんなの俺の気分次第で、建つか建たないかが決まるってのに。アホだな。



 バサッ、と分厚い資料をリムジンのシートの上に放り投げ、ため息を吐く。



 そういえば、ホテル建設予定地に邪魔な施設が建ってるんだっけ。

 頑なに立ち退きしないとか言ってたな。

 全く、何でこんな面倒な案件を俺に持ってくるんだ。

 別の会社に持って行けよな。


 とはいえ、俺が行けば詐欺師のような口ぶりで上手く丸め込み、そいつ等を立ち退かせるのが出来るのを解っているから、わざわざあのハゲ(さっきのホテルの支配人)は俺の所にやって来て頭をペコペコ下げるんだ。


 そんな施設ごとき、俺がすぐ潰してやるさ。

 まあ、退屈しのぎには丁度いいかも知れない。

 とりあえず行きつけのクラブで飲むことにして、車を銀座方面に走らせた。

 ゴージャスな内装、煌びやかな光で包まれた店内。



 CLUB 雅-miyabi-



 仕事の接待でよく使うクラブだった。

 俺の名前の一文字が入っているから、という理由だけで贔屓にしている。

 店なんて何処でもいいんだ。別に。

 女が居て、ボーイが居て、ママが居る。

 全部一緒だ。

 ホント、世の中何時でも何処でも同じなんだ。

 もっと刺激的な日常ってのは無いのか。


 何時ものVIP席に通され、革張りのソファーにふんぞり返っていると、雅のママが現れた。「これは王雅様、いらっしゃいませ」


 斜め四十五度の角度できっちり頭を下げ、俺に挨拶をするママを見て会釈を返す。

 


「今日は新しい子が入店してますの。王雅様に紹介しますね。ミューちゃんって言うの」



 こんばんは、とキョドりながら挨拶してきた女、ミュー。

 少し大きめの瞳に、薄くて長い茶髪を巻髪にしてる女だ。

 見た目、田舎から出てきたて。俺の第一印象。

 しかも、ドレスが全く似合ってない。着られてるってカンジ?

 イモトロ(イモくさくてトロイ)そうな女だな。



 ちょっとからかってやるか。



 適当に会話しているとママが別の席に立っていったから、「ちょっと新人チャンと二人で話したいから」と今日の俺の席の担当の女に言い、女を下げさせた。

 ミューは突然先輩ホステスが「ミューちゃん、王雅様がミューちゃん気に入ったみたいだから、後宜しくね」と言い残して席を去っていったので、ますますキョドってる。


 オモしれー。

 コイツ絶対、前世はどんくさいウサギだな。


「あっ・・・・あの・・・・初めまして。オウガさん、とおっしゃるのですか? 今日入店したばかりのミューです。どうぞ宜しくお願いします」


 深々と頭を下げ、お辞儀をするイモ女、ミュー。


「そんな堅苦しい挨拶はいーからさ。飲めよ」


「あっ、あの・・・・でも私、お酒飲めなくて・・・・」


「ハア? 酒が飲めねーだと? 知るか、そんな事。いいから飲めよ」


「は、はい・・・・」


 ミューは仕方なく自分のグラスに、少量のブランデーを垂らし、それからごまかす様にしてウーロン茶を大量に入れてウーロン割りを作る。

 おい、新人。それはどう見てもただのウーロン茶だろ。



「貸せよ、そんなチビチビ飲んだって美味くねーよ。ホラ」



 俺は無理矢理ミューからボトルを取り上げ、コップに半分くらいブランデーを入れてやった。

 乾杯を交わして、適当にハナシをする。

 ミューのグラスが全然進んでないから、飲むように急かすと、しかめっ面したまま、濃いブランデーのウーロン割りを小さな口に流し込む。


 コラ、新人。客の前でそんな顔して飲むなっつーの。


 一本幾らするボトルの酒だと思ってんだ。

 お前の給料じゃ、到底買えねーような額のブランデーだぞ!

 有り難く思って飲め。

 


「なあ、ミュー」



 俺はわざとミューの肩を抱いて、耳元で囁いた。「お前、処女?」


「えっ?」


 見る間に真っ赤になって、大きな目を更に見開く。

 クックック。男にも慣れてないのか。

 そんなイモ娘が、何でこんなクラブなんかで働いてんだよ。

 ホント、オモしれーなコイツ。今までに無いタイプだ。



 極上の笑みを湛えて俺は言った。「お前、幾らだったらヤらせてくれる? 俺、処女好きなんだ。だって汚くねーだろ? 誰もツッ込んでねーんだから」



 処女が好きな理由は、今言った通りだ。

 汚くないから。


 俺は何でも一番でないと気がすまない。

 女もそうだ。

 他の男とヤリまくった女なんて、別に抱けないことはないけど、他の男より後、というのがイヤだ。

 それに、最近慣れた女とするのも飽きた。

 処女は何かとメンドーだけど、俺が征服していく――手に入れているという支配欲に満たされるあの一瞬が好きだ。



 ま、後はポイだけど、手切れ金たっぷり包んでやるんだ。別に文句はねーだろ。

数ある作品の中から、この作品を見つけ、お読み下さりありがとうございます。


評価・ブックマーク等で応援頂けると幸いですm(__)m


次の更新は、6/29 12時です。

毎日0時・12時・18時更新を必ず行います! よろしくお願いいたします。

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