プロローグ
こんにちは。
本作を執筆したものです
よくある転生物です……が、かなり暗めです。それでもよろしければ、読んで言って欲しいです
しんしんと雪が降る日、降り積もった雪をそりに乗せて近くの田んぼまで来ていた。
家から1分くらいの場所で凄く離れているわけではないが、雪を掘り起こしてそりに乗せて運ぶという作業を淡々と繰り返すこの作業はなかなか答えるものがある。
豪雪地帯であるこの辺では夜雪を退かしても朝になればドアが開けられないほどの雪が積もる。だから生き埋めにならないように雪掻きをする。
敷地の雪は道路に放置するわけにはいかない。ゴミをゴミ捨て場にもって行くように雪は用水路に流すのがこの辺のマナーだ。
向かいの家を見れば家族総出で雪かきをしているのが見えた。小学生くらいだろうか、小さな子供たちは楽しそうに悲鳴をあげ雪合戦をして、大人たちはそれを笑いながらそれでも雪掻きは淡々と続ける。
本当なら俺もあんな感じで雪掻きをするんだろうな。
人っ子一人いない日本家屋を見て急に寂しくなった。
両親はいない。
多分死んではないが子育てが面倒になったのか父形の祖父の家に預けられた。
だからこの家は生まれ育った思入れの家だ。
だが寒い。
純日本家屋の趣のある家といえば聞こえはいいが、夏は暑く冬は凍えるほど寒い欠陥住宅だ。
そんな家に住んでいたからか祖父と祖母が体調を崩して病院に入院してからは長らく歳上の姉と二人暮らしだった。
姉が特に面倒見がよかったということはない。しかし父も母も祖父も祖母もいない中、自分の家族がいるということが寂しさを和らげてくれていたが昨年、ひったくりされた衝撃で橋から転落死した。
葬式には出席したが棺に収まる姿をみても信じられなかった。
淡々と雪をそりに乗せて用水路に捨て行く。いない家族のことを考えるなんて疲れているらしい。
こういうのは悶々と考えても気持ちが暗くなるばかりでいいことはない。
だからといってそれを糧にして前を見るなんてそんな冷静に気持ちを変えられるわけでもない。
「っ……!?」
考え事をしていたからか途端に飛んできた雪玉に反応する間めなく顔面に直撃した。
顔がひんやりした。
ゴアゴアとした手袋で雪玉を払い落とせばさっきの子供たちが両手に雪を持って騒いでいる。
「おい、じじい!雪合戦しようぜ!」
じ、じじい……って。お前と10歳くらいしか年齢変わらないぞ。
人をじじい呼ばわりするとんでもないガキの奥、向かいに最近引っ越してきた彼らの親に目を向ければにこにこするばかりで止める気配もない。
わかってるのだろうか。
この辺の雪はちゃんと毎日綺麗にしないと最悪、うちのような日本家屋は屋根から潰れる。
"親も注意しろよ……."と思っていたがそういえば向かいの家の家族は"ねりな"だか"ねりま"だという東京の都会からこの田舎に引っ越してきたと、お隣さんが言っていたのを思い出した。
「あのなぁ、雪掻きが忙しいんだよ。他の奴とやりな」
再び空っぽになったそりを押して自宅へ歩みを進めると後ろから『じじいが逃げた!』という叫び声が聞こえた。
ブチ切れそうになったが子供だからと子供だから仕方ない繰り返し無視して自宅へ戻りそりに雪を乗せた。
雪掻きは結局、夕方まで続いた。
途中何度かガキ達が雪を投げてきたが無視して淡々と雪を捨てに行くと、飽きたのか疲れたのかいつのまにかに、いなくなっていた。
クタクタになっている中雪玉を投げつけられるとは、キリストもこんな気持ちで十字架を背負い処刑台(ゴルゴダの丘)まで向かったのだろうか……違う、こんなものではないな。
はっ……!俺は何を考えているのだろうか。
少し疲れすぎたらしい。そりに乗せられたてんこ盛りの雪を見た。まだまだあるが仕方がない。
これを捨てたら今日は終わりにしよう。
冬の夕方は暗い。
まだ5時だというのに日は沈み空は赤く染まってはいるがあたりは真っ暗で街頭も少ないこの辺りではそろそろ何も見えなくなるだろう。
水が流れている音が聞こえきた。
雪を捨てるために外されたコンクリートの蓋から暗闇が覗いていた。
ソリの雪わ捨て周りに積もった雪も流していると後ろで何か動いた気がした。
この辺りは熊や猿が山から降りてくることもある。
恐る恐る振り返るが特に何も見当たらない。雪が落ちた音か。
夜間に道を歩いてる人が落ちないようにコンクリートの蓋を閉めようと手を伸ばした。
後ろで何かが動くような音がして気付くと用水路に向かって体が傾いていた。
「ぎゃははは!!!」
後ろで聞こえた笑い声でそれがあの子供に押されたのだと気づいた。
一瞬、世界がゆっくりになったように感じたが次の瞬間には地面に叩きつけられのか身体が燃えるような痛みに包まれた。
「―――ぁ―…………あ……」(痛い、苦しい、俺が何をした!)
頭は水の中にあった。身体は動かそうにも動かず伸ばした手は痙攣し、鼻と口から空気が漏れて泥と雪が混じった冷たい水が入り込んでくる。
「―――――――」
(痛いよ熱い、だれか助けて……体が焼けるように熱いよ……)
「―――――――」
(寒い!寒い!凍えるように寒い!暑くて寒くて苦しい……)
防寒用の服は用水路に落ちた身体を守るどころかどんどん冷たくなって体の熱を奪って行く。
「――――――」
(苦しい!息が…….)
走馬灯は見えなかった。
ただあるのは流れてゆく水と自分が酷く響く心臓の音だけだ。
「―――――」
(どうしてこんな)
姉の葬式でも泣かなかったというのに、身体の痛みに耐えかねて涙が出た。
「――――」
(おかしい……)
どうして自分はこんなに不幸なのだと思った。そしてあの餓鬼が憎かった。
いや、自分より幸せそうな全てが憎くて憎くて羨ましくて殺したいほど憎かった。
「―――」
(あの餓鬼が憎い)
神は信じない。どうせ天国なんてありえない。こんなあっけない死に方をするならムカつく奴らを殺しておけばよかった、と思った。
「――」
(殺してやる!許さない……)
俺がいないと雪掻きを誰がするんだ。
ああ、そういえば漫画まだ見てないやつが……。
田んぼの管理、誰かに頼んでおけばよかった……。
こんなはずが。
こんな、はずが……なかった。
「―」
(あの家族は幸せそうだった……羨ましい)
もし……死後の世界とやらがあるならば、
「」
(許さないユルサナイ……絶対に……
今度こそ家族と離れ離れになりたくない、な。
雑談
ラッキーボーイっていうweb?漫画があるんですけど、知ってますか?超能力モノの王道作品でリメイク版が講談社から発売されているのですが……これがつまらないのなんの!原作は絵が……上手くない代わりにストーリーがすっごい面白いのですがリメイク版は絵が上手い代わりにストーリーが雑。学園モノを舞台にしているのに講談社から出たリメイク版のストーリーやらキャラの表情がジャンプの主人公かよっていう熱血ぶり。
ちょっとなぁ……絵がうまかったらもっと面白いだろうと思ってましたがそんなことなかったですね。
久しぶりにこの前読み返してみて、そういえば人を助ける動機ってストーリーで大切なんだなぁと気づかされました(笑)
そんなことも気づかず小説書いてました……(苦笑)
雑談長々と書いてしまいましたが次回の更新も楽しみしていてください。