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一話 こんにちは末期

僕が7月にあげようと思っていた新作です。記念すべき二作目です。

一話 こんにちは末期


光をよく通すボロボロのアパートの中で僕は目覚めた。


そして羽のように軽い財布の中を見た。

決して札がある訳でもなく入っているのは一つの硬貨500円が一枚。

それだけしかなかった。


財布の中も俺と同じで寂しいな。


「腹へったぁ」


扉を開けて三ヶ月前に故障した意味のない鍵を一応閉めて、表に出た。


「はぁ〜、疲れた」


生活費が危ぶまれた俺は、金になる最後の糧の自転車はこないだ売ってしまった。

そのため、のそのそと気怠げにコンビニへと向かう。


もはや生活のルーティンとなってしまった図書館での立ち読み。


それをするために、図書館に入った。


「あ、新しい本入ってる」


水が止められているため洗うことの許されない髪を目の辺りからはらい、本を読むことにした。


その刹那


『転生したらいいんじゃないの?』


「へ?」


「この本が喋ったのか?いや、それはないな…」


不思議に感じながら俺は本を開いた。


「この本、転生について書いてある。もしかしてさっきの声空耳じゃないのか?」


心の中のクエスチョンマークは募る一方だった。

だが、昔から占いなどを信じる俺は少しワクワクしつつも、そのことを頭から追い払って本を読んだ。


「やり方まで書いてあるのか……もう今の生活なんてどうでもいいしやってみようかな」


妻や子供はいないから、迷惑をかけるのは親だけだ。でも、実際に声にだししてみると、今の生活が今まで以上に悲しく思えた。


本を置いて立ち上がりゆっくりと図書館を出てコンビニに向かい始めた。


「ハァ〜疲れたなぁ〜」


独り言と共にため息がもれる。

コンビニに着いた、すると入り口に今人気の「TERU &ZERO」のフィギアがあった。俺は欲しいと思ったがつい値段を見てしまう。

. . . .

「1071円か……はぁ〜高いなぁ〜」


その時俺の悪い心が疼き、俺は、そのフィギアを片手にコンビニから走り去った。


「おい!待て」


よくわからない気持ちのまま家についた。

鍵という名の壊れたガラクタがついたドアを開けて、小さな家に転がり込んだ。


「はぁ、はぁ、はぁ」


まだ自分がしたことをはっきりと理解できないでいた。



♢♢♢



家で三十分ほどダラダラしていると、少しずつ自分がしたことが理解できてきた。

自分が馬鹿すぎるあまり悲しくなり頬に涙が流れた。


「ドンドン……警察です。入ってもよろしいでしょうか。」


急に心臓が悲鳴をあげた。バクバク聞こえる。


「はぁ、はぁ、はぁ」


息遣いは恐ろしいほどに荒くなり、混乱した。

警察に捕まるのだけはごめんだ。

僕は窓を開けて外に出て、上に繋がる一本の棒を力一杯握り上がっていった。

屋上についた。


「……。 」


自分に言葉を失い、屋上にぼうっと立っていた。


屋上の端にあった30㎝ほどのコンクリート片を見て意識は戻り、考えが思いつた。


「転生……」


腕を軽く切って、その血で大きな丸を描きその中に正七芒星を書いた。

ゆっくりとその中心に向かった。


「ふー、ふーー」


暑い訳でもないが、汗が身体中を濡らしていた。

中心に着き、正座をした。


準備は整っている、後は自分をこのコンクリート片で突き刺すだけ。


震える手でコンクリート片を持って、その手を左胸の前にゆっくりと持ってきた。


「ふー……待ってろよ可愛いエルフ!」


良くわからないがエルフという言葉が頭の中に出てきた。

言い終わると同時に、コンクリート片は左胸にあたり心臓を貫いた。


何かが僕の体を包み込むのを肌で感じる。

僕は、光に吸い込まれた。


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