竜碑石と再終戦争1-1
不老族
【ギルド】
物語は、『彼ら・彼女ら』が、真実を見つける前より始まる。
世界は、幾重にも重なっている。
まるで、螺旋し渦巻く、DNAのように。
ここ。
セカンド・ダイヤも、初めから特異な世の中で
あった訳では無い。
多様な種、異なる性質を合わせ持つ、
少数民族が歴史を重ね。時間を刻み、進化していったのだ。
邂逅。
あれは、初めて特異点が生じた日。
歴史が、変わった期日。
【聖歴312年】
まだ世界に龍の存在は、知り渡っていなかった。
この世は、混沌と無縁であったからだ。表面上では。
歴史は、何度も戦が秩序を問い質し。争いが、技術を発展させた。
痛みと絶望を撒き散らす代わりとして。
であれば、過酷な競争・戦渦の過程にこそ、
私たちの真価は、結集してしまうのだ。
【不老】の誕生も、【不死】の開発も、当然であったと。
また歴史が、答えてくれるといいのだけれど
抜粋 不老不死者『ダイヤ』の手記
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パナマは、16歳を迎えた男の子だ。
勝気な赤髪と父親譲りの、隆々とした肉体。
華麗な品格を纏った、闇すら照らすその瞳は、
彼が【ドナルディンダック】のリーダーである事を、示していた。
彼率いるメンバー六人は、ダイヤの情報を求め、世界を旅している。
時は、夕暮れ。近場の、宿屋を探しつつ荒野を魔道具に頼り、
六名は、静かに休息を嗜んでいた。
「サリヤ嬢、
拠点地のある『マナ共和国』までは、あと何メル程だか〜?」
静寂を閉じる、野太い声が聞こえてくる。
僕は、隣で寝ていたサリヤを起こしながら、リュウヒョウに頼む文言を考えていた。
ーーー。
後ろ部屋に居るゾーンが、まだ何かを言っているみたいだ。
「ほわぁ。おはよう、パナマ。なにかあったの??」
優しさと、可憐さに包まれた声が、僕の耳に届く。
「寝起きのところ、すまない。
ゾーンが、座標を確認したがっていて。リュウヒョウの力を借りたいんだ!」
「ふわぁ。
それなら、任して。彼女も、充分休めたでしょうから、
問題ないわ」
サリヤは、そう立ち上がると鍵を取り出して、空をきった。
流線を残して、彼女の腕が光を帯びだす。
軌跡の一つ一つが、赤く閃光する様は、系譜を飾るモノトーンみたいだ。
すっと、
完成した扉から、綺麗な青鳥が出現した。
コンコンコン。
ゾーンは、右窓に契約獣『リュウヒョウ』を認めると
立ち上がろうとしたが。
「ほいっ」と、
窓際で寝ていたアレクサが、器用に脚を使い、窓を開けてくれた。
「サンキュー、アレクサ!」
「お!リュウちゃんの幻影ってば、超久々だな!!」
後部屋の三人目の仲間。
天使を思わせる、ピクシーコマクメが、
興奮を始めた。
読了お疲れ様です!
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