裏切り
「アマンダ!」
俺が状況を理解した時には既にアマンダは地面に倒れていた。左目に刺さっていた短剣の姿は見えず、ただアマンダの潰された左目から滴る赤い血液が流れ地面を赤く染めていた。
「んー?思った以上にしぶとい。脳を狙ったのにかわされた。」
トオルが狙いを外したと不満を述べる。その手には先ほどアマンダの左目を突き刺した短剣が握られており、剣先にはアマンダのものと思われる赤い血がついていた。
「お前…」
俺は頭が真っ白になりただトオルをまっすぐに睨み付けていた。
そして、自分の聖剣に手をかけたその時だった
「ウラァーーーー!」
大剣が真上からトオルに向けて降り下ろされた。アルベルトが俺より早くにトオルに向けて攻撃をしかけていた。
ドゴォォォコン
しかし、その斬撃は空を切り、そのまま地面へと叩きつけられ地面を砕いた
「すごい力。まともに当たればヤバいかも。」
アルベルトの斬撃を軽々とよけたトオルが呟く。
「まぁ、当たればね。」
次の瞬間、トオルは一瞬にしてアルベルトの背後に回る
「突き刺せ!」
「おぉぉぉぉぉぉぉ!」
トオルが短剣でアルベルトを誘うとしたのと俺がトオルに向かって聖剣を振り抜いたのは同時だった。
「おっと、またしくじった。」
しかしトオルは俺の攻撃も軽々とかわす。
「大丈夫か?アルベルト!」
「ワリィ、油断した!」
俺達からトオルが距離をとった隙に俺はアルベルトに寄りかかる
「アマンダは?」
「一応ルナが治癒魔法で傷はふさいでる。けど左目はおそらく」
俺は今の現状をアルベルトに伝える。
「そうか。よくもウチのモンを傷つけてくれやがったなぁ偽勇者ども!」
「偽物とは不服。僕たちは本物の勇者。実力も全勇者の中でもトップクラス。」
トオルがアルベルトの叫びに対して否定を述べる。
「じゃあ、何で俺達を攻撃するんだ?同じ魔王を倒す仲間だろ?」
俺もトオルに疑問を述べる。なぜ同じ勇者同士で争わなければならないのか、