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玉野の色

作者: プチメタボ

私が初めて玉野にやってきた時は

これまでに経験したことのない田舎っぷりにひどく驚いた。

更に岡山弁の「おえん」の意味を理解するまでに数ヶ月を要した。


寮に入ってすぐの頃、食堂のおばちゃんが声を掛けてきた。

私がご飯を盛ろうとした時に炊飯器の釜を替えようとしていたからだ。

「あ、おえんおえん、お兄ちゃん、今みてっとーからちーと待ちいや。」

「おえん」と「みてる」二つも分からない言葉出てきて意味不明であった。

私が思わず聞き返した言葉は

「すみませんが、どういう意味ですか?」

普通ならば「おえんてどう意味ですか?」などと分からなかった言葉のみを

聞き返すと思うのだが、当時の私には何を言ったのかすら聞き取れなかったのである。

標準語の横浜にいた私は同じ国内でこのような大きな

言葉の壁に出くわすとは夢にも思わなかった。


それから4年半。今ではすっかり岡山弁に染まってしまった。

「おえん」「いらう」「てごーする」「ぼっけー」「じゃろー」

「じゃけん」「〜ろーが」「〜してーよ」「〜しねー」

などなど覚えた方言はかなり多数に上る。

使う言葉もかなり増えてきた。そして今では全く違和感も無い。


「住めば都」という諺があるが、全くその通りで

今ではインターネットの普及も手伝って玉野の不便さを感じることも少ない。

当初の半年間は休日のあまりの静けさに気が滅入って生きた心地がしなかった。

それがいつの日か見慣れぬ景色が見慣れた景色になり、

気付いてみるとすっかり玉野市民となっていた。


天満屋玉野店が次第に便利なデパートに感じつつある。

横浜からすればなんてちっぽけな店だという感覚を覚えるはずだが、

洋服以外のほとんどの日用雑貨は天満屋で揃ってしまう。


人間も動物も自然に環境に適応して生きていくものだなと感じる今日この頃である。

無意識のうちに体がその地に慣れてくれることは大変歓迎できる能力である。


次はどの地に行くのだろうか?

何年かして結婚することにでもなれば、岡山か倉敷辺りに体が保護色していくのであろう。

次の地がまた楽しみだと思いつつ玉野の色を満喫した夜だった。

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