第四話 【I dream in my dreams.】
入学式の日の夜、いつもと比べられないぐらい気持ちの悪い寝起きだった。なぜって、昼から寝たのだから。
夜7時に起きた亮誠はキッチンで夕飯を用意している母親の音を聞きながら、リビングに行き、テレビをつけて見始めた。
「亮、明日は休みだよね?」
母親が手を動かしながら、亮誠の方を見て訊いた。
「そりゃ土曜日だし、入学してすぐだし授業は無いでしょ」
そう言われた母親は、料理をしながらカレンダーを見て、そうだった、と言ってすぐに手元に集中した。
夕飯の献立はサラダに豚カツというよく分からない献立だったが、母親の料理の腕は確かなので、普通に美味しかった。
夕飯を食べ終えた亮誠は、自室に戻ると本を読み始めたのだが、1章分を読み終え、時計を見ると11時になっていたので、仕方なく布団に蹲った。
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なかなか眠れない亮誠は、時計を見つめ秒針を聞いて、眠りにつこうとしていた。しかしながら、昼から寝たことが余りにも痛手で、全く眠れない。
11時59分、48秒、49秒、50秒、と秒針は進むが亮誠は一向に眠れない。
56秒、57秒、58秒、ああ、もう日が変わってしまう。
刻々と進んだ秒針はやがて真上を向き、全ての針が上を向いた。しかし、亮誠は何を考えることもなく、何をしようにもできずに1秒は進む。
しかし、亮誠は目を瞑ったため、時計を見ていなかったので、耳から入る情報はより繊細に、より大きくなる。
零時を指した秒針がいつもよりも明晰に鳴ったその日、その時に、星野亮誠は目を閉じ、目を開けた。