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7話『千里の道』

こんにちは、今日の更新は少しだけ短いですが楽しんで頂ければ幸いです。


戦闘シーンは苦手なのでカット気味です…。

戦闘シーンの書き方などわかる方は、教えてくれたら嬉しいです…!

それから、ドライド、キルナ、リーナの順で模擬戦に挑んだ。



ドライドとディランは引き分けに終わり、キルナは疲労したディランに勝利。リーナは途中でめんどくさくなったのか降参し、雪は獣使いなのにこの世界で使役した動物がいなかったので模擬戦は免除された。



そして、千里の番が来た。



「次はお前か…はぁ、そろそろ俺も疲れてきたぞ」


「よ、よろしくお願いします…」



千里は緊張感をもって模擬戦に挑んでいた。

先程までの戦いで、ユリエスからは警戒心を、ドライドからは近接格闘のコツを、キルナからは長剣のコツを、リーナからは魔法を、千里は自分なりに頭の中に叩き込んでいた。



「武器は長剣でいいのか?使い慣れてるようには見えねぇが…」


「だ、大丈夫です!」


「そうか?なら行くぜ」


「はい!」



(みよう見まねだけど…『ブースト』)



心の中で静かに詠唱する。

そして、戦いは始まった。













「千里君…大丈夫かな…」



雪は観戦席で見守っていた。

千里は自分が能力者であることを認識しておらず、身体つきからして鍛えている様にも見えなかった。

極度の心配のせいで目を開けて見る事も出来なかった。



しかし…。



「…どうなってるんだ?召喚された勇者の中で一番弱いオーラだった千里が…あの動きだと?」



ブツブツと呟くグラディアスの声を聞いていた雪は、閉じていた目を少しづつ開いていった。



案の定、訓練場では千里が圧倒的に押されていた。



「やっぱり…千里君が危ない…!」


「待て。よく見てみろ」


「えっ…?」



観戦席から飛び出そうとした雪を引き止めたのはあのドライドだった。

ドライドが千里を指さすので、雪もそれにつられて千里を見た。



「あいつの動きは完璧だ。ディランの攻撃を完全に読みきっている。それに、あの動き…俺と全く同じものだ」


「…あっ、本当だ…」



雪もようやく気づいた様だ。

一見、ディランの攻撃を避け続けている千里は押されている様に見える。



しかし、逆もあるのではないか?と雪は思った。

ディランの攻撃を千里がギリギリで避けているのではなく、ディランの攻撃が全てギリギリで千里に避けられているのだとしたら。



それは…。



「あいつ…」


「…ひっ」



ドライドの顔を見た雪は怯えた。

その顔がニヤリと笑っていたからだ。



「あ…あの?」


「なんでもない」



ドライドはまた元の無表情に戻った。



「っ…ふっ…ほっ…」


「くそがっ!お前!避けるの上手いじゃねぇか!」


「ありがとうございます!」


「ちっ…『オーバーブースト』!!!」



嫌味にすら礼をしてくる千里に腹が立ったディランは本気で攻撃を当てるべく魔法を詠唱した。



(うおっ、いきなり速くなった!これがさっきの魔法か!これに付いていってたドライドは凄すぎるだろ!)



内心ドライドを褒めながら正確に攻撃をかわしていく。



「避け続けてもいいけどなぁ!それじゃあ俺は倒せねぇぞ!」



ディランが挑発する様に叫ぶが、千里も馬鹿ではない。

挑発に乗って突っ込む事だけはしないように心掛けた。



(ちっ…無闇には突っ込んでこねぇか。にしてもコイツ…動きがさっきのガキ…ドライドと同じじゃねぇか。いや、ドライドよりも考えて動いてやがる。ドライドは天性の感で俺の攻撃を避けていたが、コイツはそれに頭脳も足している。…厄介だな)



ディランが舌を巻く程に、千里の動きは良かった。

しかし、それが続いたのは戦闘が始まって五分程度だった。



「くっ…うっ…ぐぁぁ!!」



突然動きが悪くなった千里は呆気なくディランにやられてしまった。



「な、何やってんだお前?」



拍子抜けしたディランはワザとやられたのではと問い詰めるために千里に近寄る。



「ぜぇ…はぁ…ぜぇ…はぁ…おえっ…もう…無理…」



千里はただ、バテていただけだった。



「お前…バテてんのか?」


「は…はい…。もう……動けない…っす」


「…くっ、ははははははっ!!!スタミナ切れで倒れる奴なんて初めて見たぜ!お前面白いな」


「そ…んなこと…ないっす…」



ディランに大きな声で笑われた千里は少しだけムカッとしたが疲労のせいで怒る気にもなれなかった。

そして、頭の後ろに柔らかい感触がきたと同時に、千里の意識は微睡みの中に消えていった。











「…おいグラディアス、コイツはやべぇ奴を召喚したな」


「そうだな。高良千里…しばらくは下で訓練させようと思っているんだが」


「いいと思うぜ。アイツ、スタミナ切れで倒れたんだからな。まずは基礎体力、それと動きは良かったが戦闘慣れはしていなかった。そこを鍛えれば相当強くなるぜ、アレは」



千里が〝キルナ〟の膝枕で寝ている間のグラディアスとディランの会話。

これからさらに大変な事になるとは、この時の千里は微塵も思っていなかったのであった。



ありがとうございました。

またの更新をお待ち下さい。



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