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5話『不安な心』

不定期更新です、良ければ感想お願いします。

甘くて、良い匂いがする。

幸せな匂いに包まれながら千里は目を覚ました。



「…なんでベッドの上にいるんだ?」


「貴方が私の部屋の前で倒れていたのよ」


「えっ……あ、えっと…」


「もう大丈夫よね?ならさっさと訓練場に行くわよ。少し遅れてるわ」


「あ、あぁ…」



まさか、キルナのベッドで寝ていたなんて。

キルナの無表情な顔にビビってしまった千里は全く声が出せないまま部屋を出た。



「それで、貴方はなんで私の部屋の前で倒れていたの?正直に言うと私は貴方を信用してないわ」


「なっ…何もしてないよ俺は」


「私の部屋、覗いてたんじゃないの?」


「いや、違う!俺は雪を捜していて…」



千里の前を歩くキルナ。

背筋がピンと伸びていて、堂々と歩くその姿はとても凛々しい。

ついつい、遠慮しがちになってしまう。



「雪?…もしかして、一緒に召喚された白い女の子のこと?」


「そ、そうそう!見かけなかった?」


「そうね…食堂を出て外を少し散歩した時に見たわ」


「どこに行ったか分かるか?」


「さあ?でも、訓練場の方に走って行ったから先に着いてるんじゃないかしら」



(雪…訓練場に向かったのか?)



片手で頭を押さえる千里。

泣いて食堂を出て行った雪が何故訓練場に向かったのか理解できなかった。



「着いたわよ」


「あ、うん。案内してくれてありがとう」


「ええ」


「そうだ、俺は高良千里って言うんだけど。君は?」


「キルナよ」



それだけ言ってキルナは先に訓練場に入っていった。

後に遅れて千里も訓練場に入る。



「遅かったな。お前が最後だぞ?」


「す、すいません」



訓練場にはグラディアスと、他の勇者達が揃っていた。その中には雪もいて、気まずそうにしていた。

千里と目を合わせる様子は無かった。



(雪とリーナは…あー、まあそうだよな)



案の定、雪とリーナはお互いに離れた場所に立っていた。



「よし、全員集まった所で俺からお前らにプレゼントだ。この中から好きな武器を選んでくれ」



グラディアスが両手を広げて、木の台の上に置かれた様々な種類の武器を千里達に見せつけた。



「ふーん、僕たちに武器を与えて何をさせる気なんだい?」


「そう警戒するなよ。お前達にはこの訓練場で力をつけてもらう。つまり、特訓をしろって話だ」


「はぁ?僕は前の世界で勇者をしていたんだ。特訓なんてしなくても十分強いよ」



ユリエスが反発するように強気な発言をする。

そして、手には片手剣を握っていた。



「特訓の相手はお前がするのか?」



ドライドが大剣を手に持ちながらグラディアスに問う。



「俺は無理だ、仕事があるからな。その代わりにこの国を守護する聖王国騎士団の団長と副団長がお前達の訓練に付き合ってくれる」


「その団長と副団長が見えないのだけれど?」


「あー…さっき呼んだんだが、まだ来ないな」



キルナは細剣を手に取りながらグラディアスを睨む。



「国を守護する騎士団が時間を守れないなんて、この国は秩序すら保たれていないのね」


「ハハハッ、痛い所突いてくるな」



グラディアスが少しキルナに押され始めた時、訓練場の扉が勢いよく開かれた。



「すまねぇ国王様。こいつがなかなか飯を食い終わらなくてな」


「ご、ごめんなさい!ついついご飯が美味しくておかわりが止まりませんでした!」



金髪オールバックの大柄な男と、青髪セミロングの眼鏡を掛けた美女が訓練場に入って来た。



「おう、お前らが遅いせいで俺が怒られたんだからな」


「す、すぃませーーん!」



眼鏡の女はグラディアスに頭を下げてから、千里達の方に顔を向けた。



「こほんっ、私はこの国を守護する聖王国騎士団の副団長を務めているネメリアと言います。あなた達の訓練を全力でサポートする所存です!よろしくお願いします!あと、遅刻してしまい申し訳ございません!」



ネメリアがブンっと頭を下げる。

すると、その後ろから来た金髪の男が続いて挨拶した。



「俺は団長のディランだ。お前達を指南する任務についた。言っておくが今のお前達の実力じゃ魔王なんて絶対に倒せない、簡単に殺されて終わりだ」



ディランがその言葉を言った瞬間、千里はゾッとした。



「へぇ…この国の団長さんってそんなに強いのかい?」


「…無礼ね、私が貴方みたいな脳筋に負けるとでも?」


「…」


「リーナそんなに弱くないしぃ。ちょっとカチンときたかなぁ」



千里の横にいた他の勇者達から凄まじい圧が放たれた。



(なんだこいつら…)



ここまであからさまな威圧を感じて、微妙に引いてしまう千里。

雪はオロオロとするだけで特に威圧などは出していなかった。



「おいおい、まだ訓練は始まってないぞ?とりあえず落ち着いて俺の話を聞いてくれ」



グラディアスが宥めて少しだけ勇者達の威圧が緩まった。



(はぁ…こんな事で本当に魔王なんて倒せるのかよ…)



不安だ…と、人知れず千里は心の中で思うのだった。


ディラン…金髪オールバックのイケメン


ネメリア…青髪セミロングの眼鏡美女



誤字脱字がありましたらご報告お願いします。

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