1話『いろんな奴らと異世界』
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ここはとある世界の王城にある王室。
王座に座るのはこの国の王であるグラディアス。周囲には兵士が50人近く待機していた。
そして、その王室の中央には異なる衣服を身に纏った6人の男女がいた。
「さて、説明してもらおうか。なぜ僕達はこの世界に召喚されたんだい?」
この世界に召喚された6人の男女。その中の金髪の少年が王座に座るグラディアスに問いただした。
「ハハハッ、お前は召喚された自覚があるんだな。お前の後ろにいる奴は驚いてるみたいだぞ?」
「まあね。僕は前の世界で勇者をやっていたんだ。この世界に召喚される時に使われていた魔法陣に見覚えがあったんだ」
グラディアスに向かって挑発的な笑みを見せる金髪の少年、名前はユリエス。召喚される前は勇者をしていたリーダーシップのある少年だ。
そして、ユリエスの後ろで唯一この状況に対応していない少年。名前は高良千里、黒髪黒目でまあまあ整った容姿の日本から召喚された高校生だ。
(ど、どうなってんだ?え、なにここ?)
混乱する千里を無視して、話は進んでいく。
「話を戻してもらえませんか?事情によっては、私はあなた方の敵になると考えて下さい」
話が逸れたことに苛立った黒髪の美人な少女、キルナがユリエスの横に並んでグラディアスに言い放った。前の世界では剣姫と呼ばれる魔法剣士だった。
「そう怖い顔をするなよ。俺はお前達に頼み事があるだけなんだ」
「頼み事ってぇー、リーナには関係ないよね?お仕事が残ってるから元の世界に返してもらっていい?」
魔法少女のリーナ、ピンクの髪をツインテールにした美少女は頬を膨らましながら文句を言った。千里はリーナの話し方を聞いて密かに思う。
(この子は絶対性格キツイな…)
グラディアスはニヤリと笑うとここにいる6人全員に向かって言った。
「悪いがお前達が元の世界に帰るには、この世界の神に話を聞いてもらうしか方法はない。そして、神に話を聞いて欲しいなら魔王を倒すんだ」
「それが本当の話なら従いますが、その証拠はありますか?」
「そんなものまずないだろうね」
キルナとユリエスが徐々に殺気を放ち始める。グラディアスを疑っているようだ。
「あ、あの…」
「へ?え、な…なに?」
殺伐とした雰囲気の中、今まで黙っていた小柄な少女が千里に話しかけた。真っ白なショートカットと身体に似合わない大きな胸が特徴的な美少女。名前は雪。前の世界では有名な獣使いだった。
「えと…その…私、雪って言います…」
「え?…あ、あぁ…自己紹介?俺は高良千里…です」
「あ、別に敬語とかは…」
「そ、そう?じゃあ雪…よ、よろしく」
「あ、うん!よろしくね千里君」
「……」
「……」
(き、気まずいんですけど!?)
(はわわわっ…お話しちゃった…私頑張ったよね?)
と、空気を読まずに和む2人だった。
そんな中、1人の少年がユリエスとキルナの前に出てグラディアスに詰め寄った。
「へぇ…速いね」
ユリエスが小さな声で呟く。
赤髪オールバックで大柄な身体に逞しい筋肉を持った少年、名前はドライド。前の世界では格闘家だった。
「聞きたいことがある」
「なんだ?」
「この世界に俺より強い奴はいるのか?」
「ハハッ、それはどうだろうな。自分で確かめてみればいいだろ?」
「そうだな。…どうやらお前は俺より強いみたいだ」
「お褒めに預かり光栄だ」
(どういうことだ?あの2人何をして…?)
千里には見えていなかったが、先ほどドライドがグラディアスに詰め寄った時、ドライドの拳をグラディアスが片手でガードした。カウンターでグラディアスの手刀がドライドの首元寸前で止まっている。止めていなければドライドの首は胴体と離れていた事だろう。
「どうだろう、魔王を倒してもらえないか?望む褒美を用意するぞ?」
グラディアスの実力を見たユリエスとキルナ、リーナとドライド、雪、そして千里。
「…しょうがないね。魔王討伐、引き受けるよ」
「魔王を倒しても帰れなかった場合、私は本気で貴方の首を取りに行きますから」
「えー、めんどくさいなーもう。ご褒美はたくさん貰うからねぇ〜」
「俺は強い奴と戦いたいだけだ。それ以外は何もいらない」
「わ、私も皆さんのお役に立てるように頑張ります!」
「マジかよ、俺普通の高校生なんだけど…」
こうして、6人の男女は共闘することになった。見知らぬ異世界の地で……。
高良千里・まぁイケメン
ユリエス・イケメン
ドライド・強面
雪・可愛い美少女
キルナ・美女
リーナ・美少女
グラディアス・渋いイケメン